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Don Basilio, o il finto Signor

ドン・バジリオ、または偽りの殿様

開幕6周年!

1日過ぎちゃいましたが、昨日9/26でこちらを立ち上げて6年目になりました。

身の回りのことがいろいろと変わり、やっていることもいろいろと変わり、好みもいろいろと変わりで、ここを始めたころからは想像もできないぐらい書いていることも変化しているように思ったりもしています。

メインの記事の1つである“オペラな人♪千夜一夜”も、筆が鈍りつつもどうにか110回を迎えましたが、初期の記事は改めて手を入れたくもなっています……まあこれから全部書き直すのは現実的じゃありませんが^^;
1本書くのにどうしても時間がかかるので次はいつになるやらですけれども、次回からは新たな特集を組む予定ですのでお楽しみに。

折り紙は折り紙でなかなか新作が作れず、こちらも滞っています。アイディアはたくさんあるのですが。。。
まあこちらも焦っても仕方がないのでゆっくり作っていきたいなと考えてはいます。

更新が減って場末感が更に増していますが、気が向いたらまたどうぞ覗いてくださいませ。
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思ったこと。とか | コメント:0 | トラックバック:0 |

オペラなひと♪千夜一夜 ~第百十夜/優雅さと可笑しみのはざま~

今回は切り番回なので通常ならば楽器紹介というところなのですが、この4月に愛すべき仏国の名歌手が亡くなったということを知り、だいぶ時間は経ってしまっているのですが予定を変更して追悼記事を。

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Platée

ミシェル・セネシャル
(Michel Sénéchal)
1927〜2018
Tenor
France

いわゆる超有名歌手ではないものの、「名前だけは見たことがある!」という方は少なくないのではないでしょうか。
本当に幅の広いレパートリーと藝歴を持っていた人で、若い頃には仏ものを中心とした軽い演目で主役として活躍し、キャリアの中盤から後半には味わい深い脇役として数々の録音に登場しています。よくよく見るとあの録音にも、この録音にも……という具合に彼の名前を見つけることができるでしょう。フォン=カラヤン、ショルティ、プラッソン、ミンコフスキ、小澤など多くの指揮者の名盤と呼ばれる録音で、その得難い持ち味を発揮しています。

その中でもどちらかといえばコミカルな脇役での仕事が手に入れやすいように思います。以前ご紹介したデ=パルマのように伊ものの小さな役での録音は枚挙にいとまがありませんし、モーツァルトやチャイコフスキーも歌っています。そしてなんといっても彼のレパートリーの中核をなすといってもいいオッフェンバックの作品の数々!70歳を超えてからのユーモラスで憎めない、かわいらしくて楽しいおじいちゃんっぷりが映像に残されていることは、仏ものを愛する人たちにとってかけがえのない財産だといって良いでしょう。

名優を偲び、彼の多面的な歌の魅力を語っていきたいと思います。

<ここがすごい!>
私見ですが伊ものを聴いていると歌手たちの声にメタリックな輝きを感じ、独ものを得意とする人たちの声には硬質な芯を思うことが多いです。では仏ものを得意とする人たちはというと、もちろん上記とかぶる印象の声の人もいますが軽みのある、やわらかな明るさを魅力とする人が多いようです。洗練された洒脱な優雅さは時に歌っている内容の俗悪さを覆い隠し、耳に心地よくさえ響かせてしまう……今日のセネシャルもそんな魅力を持っている人でしょう。
数々のコミック・リリーフを受け持っていることからキャラクター・テノールを中心に活動していたと思われている向きも多いのでしょうが、この人の神髄はその声の魅力に加えて卓越した言葉のセンスと上品な歌い回しを備えているこそあると思います。一般のイメージから最も離れていそうな役どころでいけば『ミレイユ』(C.F.グノー)のヴァンサンでの優美な歌い口は特筆すべきもので、仏ものを得意としたテノールと比べてもその繊細な表現は抜きん出ています。

そしてそこに更に様々な登場人物の個性を乗せることができるからこそ、あれだけ長い間多くの指揮者からオファーがあったのではないかと。例えばオリー伯爵(G.ロッシーニ『オリー伯爵』)は現代のロッシーニ歌唱に親しんだ耳から判断すると単に技巧的でない印象を持ってしまうかもしれませんが、何と言ってもその声はおちゃらけた人物であっても気品のある貴族性をまとったものですし、テンポよりほんのわずかに引きずった歌とまったりとした口跡ではマイペースで鷹揚な人物像が大変見事に表現されています。そしてこれができるからこそのオッフェンバックやコミック・リリーフの諸役での活躍なのです。フランツ(J.オッフェンバック『ホフマン物語』)は幸いなことに音源でも映像でも残っていますがいずれもこの役の決定的名演ですし、トリケ(П.И.チャイコフスキー『イェヴゲニー・オネーギン』)に至ってはうますぎるんじゃないかというぐらいです(笑)。
こうしたうまさ、器用さはバスタンやベルビエ、お国は違えどプルージュニコフにも通ずるところがあります。特にプルージュニコフとはその声区やレパートリーの遷移の点でも類似が多いように思います。

私見ではそんな彼の美質が最もよく表れているのが、ジョルジュ・ブラウン(F.A.ボワエルデュー『白衣の夫人』)と蘇演において重要な役割を果たしたプラテー(J.P.ラモー『プラテー』)です。いずれも作品全体を牽引する主役であり、まさにセネシャルを楽しむためのものと言えるでしょう。格調高くロマンチックなジョルジュではタイプの異なるアリアが3つもありますから彼の歌のさまざまな持ち味を知ることができますし、プラテーでは柔らかで繊細なファルセットの中性的で不思議な響きに魅了されます。特にプラテーは、あらすじとしては数あるオペラの中でも最も悪趣味なものの一つではないかと思うのですが、そういったものを飛び越えた作品の魅力を感じさせる超名演です。

<ここは微妙かも(^^;>
オリー伯爵のところでも少し触れましたが、ロッシーニやベルカントの復興がなされるよりはかなり前の世代の歌手ではあるので、息を呑むような超絶技巧はありません。なので『白衣の夫人』のジョルジュなど例えばロックウェル・ブレイクの技巧的な歌で親しんでいる方には物足りなく思われるところはあると思います。
彼のその他の長所に、そのマイナス以上の魅力を感じることができるかでしょうね。

<オススメ録音♪>
・プラテー(J.P.ラモー『プラテー』)
ロシュバウト指揮/ゲッダ、ミショー、ジャンセン、ブノワ、カステッリ、ユク=サンタナ、ソートロー共演/コンセルヴァトワール交響ソシエテ管弦楽団&エクサン・プロヴァンス祝祭合唱団/1956年録音
>復活に関わったセネシャルを主役に据えた、本作の演奏史でも重要な録音です。ゲッダ、ミショー、ジャンセン、ブノワと仏ものが好きな人にはたまらない豪華メンバーを脇に回し、我らがセネシャルが圧倒的な活躍で印象に残ります。この作品では醜悪な沼の女王プラテーをテノールが女装して歌うという指定がされているのですが、上述の通り彼の歌声の響きがとても中性的で、聴いていて不思議な気分になります。確かに彼はそもそも洋菓子のように軽やかで繊細な声と歌を売りにしている人ではあるのですが、他の録音と比較するとここでは明らかに「女性」の役であることを意識した声と表現になっていますし、しかもそこから不自然さを微塵も感じさせないというとんでもない芸当を成し遂げています。言葉さばきも抜群で、カエルの鳴き声と仏語を引っ掛けた部分もとてもコミカル且つ美しく聴こえます。正直なところ古楽は得意ではないのですが、これはとても愉しんで聴くことができました^^

・ジョルジュ・ブラウン(F.A.ボワエルデュー『白衣の夫人』)
ストル指揮/ローヴェイ、レグロ、ベルビエ共演/パリ管弦楽団&合唱団/1962年録音
>こちらも超名盤です。ゲッダの力強く瑞々しい歌唱やブレイクのハイパー超絶技巧も捨てがたいのですが、個人的にはここでのセネシャルの歌唱が一番好きです。殆ど出ずっぱりで歌い続けなくてはならない大変な役ですが、明るい美声と1音1音を愉しんでいるかのような優雅な歌いっぷりでこともなげに、自然に歌ってしまっています。彼より立派に歌うことができる人はたくさんいるのでしょうが、彼より趣味良く歌うことができる人はいないでしょう……。共演も優れていますし、こんなにいい録音が埋もれているなんてもったいない!と思います。

・オリー伯爵(G.ロッシーニ 『オリー伯爵』)
グイ指揮/バラバーシュ、カンネ=マイヤー、アリエ、マッサール、シンクレア共演/トリノRAI交響楽団&合唱団/1957年録音
>これも彼が得意とした役どころで3種類ほど録音が残っているようです。僕が聴いたことがあるのはそのうち2つですが、比較的音が良く聴きやすいこちらを。何と言ってもセネシャルの陽気なキャラクターが、このおバカ貴族に実にぴったりなのです!品のいい貴族なんだけどイロゴト好きの本当にどうしようもないヤツを、嫌味にならず憎めない風情で聴かせる絶妙な手腕には脱帽します。こういうところがのちの名脇役としての活躍に繋がるんだろうなあ、と感心することひとしお。マッサールとのろくでなし主従コンビはとても息があっていて楽しいですし、アリエの風格ある家庭教師もGood!女性陣は全体にもう少しというところなのですが、シンクレアがどっしりとした声でコミカルに演じるラゴンドは絶品!

・フランツ(J.オッフェンバック『ホフマン物語』)
小澤指揮/ドミンゴ、グルベロヴァー、エーダー、シュミット、バキエ、モリス、ディアス、ルートヴィヒ、シュタム共演/仏国立管弦楽団&仏放送合唱団/1986〜1989年録音
ロペス=コボス指揮/シコフ、ランカトーレ、スウェンソン、ユリア=モンゾン、メンツァー、ターフェル、ギュビッシュ、ヴェルヌ共演/パリ・オペラ座管弦楽団&合唱団/2002年録音
>知られざる彼の実力が発揮されている演奏の紹介がつい中心になってしまっている感があるのですが、そうは言っても彼の良さが最も活きるのはやはりオッフェンバックかもしれません(笑)ホフマン物語の4役というとヒロインであったり悪役であったりの陰に隠れてあまり注目されないのですが、実はキャラクターテナーが受け持つる道化が重要なのではないかと思うのです。で、こういうところでのセネシャルの良さは得難いものがあります。小澤の全曲ではこのうち2役を受け持っていますが、特にフランツのアリアは巧すぎるぐらい。いい曲ではありますがこの歌を思わず聴き入ってしまうというのは珍しいかもしれませんwそれから10年以上あとのパフォーマンスが映像に残っているのがまた嬉しい!流石に往年の絹のような輝きのある美声は衰えてはいるのですが、存在感は圧倒的です。このDVDは『ホフマン物語』の映像の中でも音楽面でも視覚面でも群を抜いて素晴らしいと思っているのですが、その中でも際立って印象に残ります。全体に仄暗いアントニアの幕での可愛らしいおじいちゃんぶりには癒されます^^

・メネラオス(J.オッフェンバック『美しきエレーヌ』)
ミンコフスキ指揮/ロット、ブロン、ナウリ、ル=ルー、M.A.トドロヴィッチ、ウシェ、ガブリエル、アルヴァロ共演/ルーヴル宮音楽隊&合唱団/2000年録音
>可愛らしいおじいちゃんぶりが際立っているといえばこちらの映像も忘れるわけにはいきません!この作品、伊歌劇と希神話をこれでもか!というぐらいおちょくっていて、ちょっとおバカな人物にされてしまっているメネラオスなんですが、これがまあ気持ちいいぐらいハマっています!仏ものなのでこういう区分を当てはめるのは必ずしも適切ではないのは承知の上なのですが、地位のある老年の人物が体よく小馬鹿にされるというところで行くと、まさにコメディアデラルテのドットーレを地で行っているような感じで、しかもそれが不快にならない!小回りの効くブロンやナウリ、ル=ルーに対してのそのそうろうろしているところなど、ギャップが効いていて最高です!

・オルフェ(J.オッフェンバック『地獄のオルフェ』)
プラッソン指揮/メスプレ、トランポン、ロード、ビュルル、ベルビエ、コマン、ラフォン、マラブレラ共演/トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団&合唱団/1978年録音
>こちらはうんと若いときのもので優男ですが、まあ役柄もあってかなり笑えるヤサグレっぷりで笑わせてもらえますwユリディースが死んじゃって自由だとかのたまっちゃうとこなんて最高ですし(ここはまたこの後のロードの押し出しのいい歌いっぷりが楽しい!)、わざとっぽいユーリディースとの重唱にもニヤリとさせられます。歌もさることながら地の科白の多い演目でもあるので、ことばの巧みさにも改めて感心させられます。役柄の多い演目でテノールもたくさんいますが、主役として存在感を発揮していて流石の一言(ビュルルのトリッキーなアリステ&プリュトンもめちゃくちゃ楽しいんですけどねw)。名手を揃えているものの全体には凸凹のある演奏だったりはするんですが、セネシャルについてはブロンと共にこの役のベストと思います。

・ヴァンサン(C.F.グノー『ミレイユ』)
エチェヴリー指揮/ドーリア、マッサール、ミシェル、レグロ共演/パリ交響楽団&合唱団/1962年録音
>こういう大真面目な役でも一級品の歌唱を残しているんだぞ!というのがこちら。グノーのメロディ・メーカーっぷりがとてもよく出ている作品ですが、派手に歌い上げるのではなくあくまで繊細に上品に仕上げて欲しいという辺りが難しいところだと思っていて、こともなげにそれをこなしてしまうセネシャルのセンスの良さには脱帽させられます。終幕のアリアの美しさなどほとんど神々しいほど。共演の人たちの歌がまた洗練されたもので仏もの好きにはたまりません!

・ニシアス(J.E.F.マスネー『タイス』)
エチェヴリー指揮/ドーリア、マッサール、セルコヤン共演/パリ国立音楽院管弦楽団&合唱団/1961年録音
>逆に大真面目な演目の中で物凄い享楽性を表現しているのがこちら。それなりに重要な役のわりに歌う場面も少なくてアリアの1つもないので、結構な大物がやってもあんまり印象に残んなかったりするんだけれども、ここでの彼の虚無的な明るさはかなり強烈。不器用な修道士とも聖女になってしまう踊り子とも違う、アレクサンドリアの普通の人(でも客観的には異常な躁状態)を、これもまたごく自然に創り上げており圧巻です。

・トリケ(П.И.チャイコフスキー『イェヴゲニー・オネーギン』)
ショルティ指揮/ヴァイクル、クビアク、バロウズ、ギャウロフ、ハマリ共演/コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団/1974年録音
>最後2つは仏ものではないものを。知るかぎりでは露もので歌っているのは流石にこの役ぐらいなんですが、まあこういうちょっとしたコミック・リリーフをやらせたらうまいことうまいこと……クープレしか出番がないものの、この歌が結構長いので正直なところ退屈することも少なくはないのですが、弱音を巧みに使った繊細な歌唱で思わずうっとりさせられてしまったり(役としては近所のちょっと変な外国人というところなのでここまで純粋に聴けてしまうのもどうなんだろうというところではあるのですがw)。彼の手広さを知ることができる音盤ですね^^

・ペドリロ(W.A.モーツァルト『後宮からの逃走』)
ロシュバウト指揮/ゲッダ、シュティッヒ=ランダル、アリエ、プリエット共演/パリ音楽院管弦楽団&エリザベス・ブラッサー合唱団/1954年録音
>独ものでもモーツァルトはいくつかレパートリーがあります(今回は音盤紹介をしていませんが、ヴェルディやプッチーニなどの伊ものもたくさん残しています)。プラテーでもそうでしたが、同じようにやわらかで上品な藝風ではあるもののはっきりと声の性格の違いが出るのでゲッダとは共演が多いですね^^この演奏でもヒーローのゲッダに対してフットワークの軽い従者を演じていて良いコントラスト。今回ご紹介するものの中でも最も若いころの演奏だということもあってこけおどしっぽいアリアなどは思わずクスリとさせられてしまう可愛らしさがあります。バッカスの重唱などはアリエとバッチリ息が合っていて聴いているだけでも笑みがこぼれるほど。シュティッヒ=ランダルとプリエットの主従も理想的ですし、ロシュバウトの指揮も格調高く隠れ名盤だと思っています。
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蕈三題

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蕈三題
Three kinds of Mushrooms

ひょんなことから今年、科博筑波植物園で開催されるきのこ展に折り紙を出すことになりました。

いずれも旧作の焼き直しです。
本当は完全新作を用意したいとも思っていたのですが、思いの外忙しかったことに加えて「これを入れて欲しい」というご要望の3点を作ったところでバランスがとてもよかったので、この3つに絞ることに。

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ベニテングタケ。
いわゆる“妖精の輪”のイメージ。

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キヌガサタケ。
竹林に生えることもあるということで、こういう背景に。

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ヤグラタケ。
キヌガサタケもそうですが、全く別の性格の紙を張り合わせて正方形を作って追っています。
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オペラなひと♪千夜一夜 ~第百九夜/新星あらわれり~

もう少し短いサイクルで更新するつもりだったのですが随分時間が空いてしまいました。
久しぶりのこちらのコーナーは、今いちばん気になっているテノールをご紹介します。


Arrigo

ピエロ・プレッティ
(Piero Pretti)
生年不詳
Tenor
Italy

今世紀入る前後ぐらいからのロッシーニ・ブーム、ベルカント・ブームで、伊もので好まれるテノールの声は随分と変化したのではないかと思います。例えばフローレスや以前ご紹介したシラグーザ、最近であればオズボーンやカマレナなど、なんと言っても軽くて明るい声、そして華やかなコロラトゥーラが売りという歌手は一昔前では考えられないほど多く、群雄割拠の感があります。

一方でそれよりはやや重い、リリコやスピントのテノールは随分減ってしまったイメージです。残念ながらラ=スコーラやリチートラは若くして亡くなってしまいましたし、M.アルバレスはその輝かしい響きを残しながらもかなり重たい役を受け持つようになっています。ベチャーワも素敵ですが彼の声は伊ものの明るい色彩とはちょっと違いますし、彼もまた重くなってきました。

そんな中で久々にこの辺りの重さのテノールで心から素晴らしいなと思ったのが彼、ピエロ・プレッティです。どうやら欧州ではさまざまな歌手の代打として暫く前から活躍していたようですが、日本での情報はほとんどありませんし、音源も当たり役のマンリーコ(G.F.F.ヴェルディ『イル=トロヴァトーレ』)を歌ったものが出ているだけなので、現代のオペラ公演を追っかけている人以外にとっては無名と言って良いのではないでしょうか。
ですがその実力はかなりもの。役によっては下手なスター歌手よりも満足度の高い歌唱を披露しています。知られざる新星の魅力に迫ります。

<ここがすごい!>
僕自身つい最近まで彼は全くノーマークでした。初めて聴いたときも正直なところあまり期待せずに望んだからでしょう、その時の印象はいまだにとても大きいです。こんなテノールが今聴くことの出来る世代にいて歌っているのか、と。

明るく澄んだ美声には鋭利な切れ味の刃物を想像させる輝きがあり、どの音域でも力強さを感じさせます。彼はその声の使いどころをよくわきまえていて、基本的な歌い口はいたって端正でスタイリッシュです。しかしそれで単に綺麗な歌に終わらないのがプレッティのいいところで、特にライヴではその美しい歌の芯のところに熱い魂を感じさせてくれます。ここぞというところではテノール馬鹿にならないギリギリのラインで端正さを維持した熱唱を繰り広げ、手に汗握るスリリングな瞬間を作り上げてくれるのです。そう、これこそ伊もので、とりわけヴェルディで欲しい熱狂!レパートリーを見るとプッチーニも歌っているようですし、それはそれで分からなくもないのですが、その歌唱スタイルにはやはりヴェルディやドニゼッティに登場する甲冑姿の若き騎士がハマっているように思います。
今の歌手のことを語るのに昔の歌手を引き合いに出すのは好まないのですが、どうしても去来するのが私の大好きなジャンニ・ライモンディです(彼も以前ご紹介しましたね^^)。彼もまたベルカントや中期ヴェルディで最もその良さが発揮される人でした。プレッティはこの偉大な先人よりもう一回り軽い声ではあるのですが、そのレパートリー選びや熱の籠ったパフォーマンスからは大変近い印象を受けます。端正さと熱情との均整を高次元で実現していると言えるでしょう。

プレッティの現在のところの唯一の正規録音(映像もあるようです)がマンリーコというのは、なんという幸運でしょう!この役は彼の声に比して重いのですが、無理やりパワフルに重たく歌うのではなく自らの美質が活きるバランスで美しく歌っています。結果として過去のドラマティックなイメージから抜け出した、よりベルカントなマンリーコを創り上げていて、非常に清新な名唱です。

<ここは微妙かも(^^;>
基本的にはスタイリッシュな歌唱の中にギリギリ限界のホットさを加えていくのが彼の持ち味なのですが、本当にギリギリのところを攻めているのでしょう、力み過ぎている箇所も散見されます。その紙一重を完全に超えてしまわないところがプレッティのうまさだとは思うのですが、声を潰さないで欲しいなあと切に祈るところです。
録音や映像が大変少ないのも残念です。今の彼の歌唱が正当に評価されるものがきちんと残るといいなと思います(まあ昔に比べればストリーミングなどライヴで残る機会はたくさんあるわけですが)。

<オススメ録音♪>
・マンリーコ(G.F.F.ヴェルディ『イル=トロヴァトーレ』)
オーレン指揮/ピロッツィ、シュコーザ、カリア、スピナ共演/マルケ地方財団管弦楽団&マルケ・ヴィンチェンツォ・ベッリーニ合唱団/2016年録音
>現時点でのプレッティのオペラでの唯一の公式音源です。先述の通り彼の歌唱は熱量が高く、気迫を感じさせるものである一方で、過度なドラマティックさを廃したものです。軽量級の歌手が無理して重たい役にチャレンジしているという印象はなく、むしろこんなに軽い声でもこれだけ自然に、ベルカントにこの役を歌うことができるということを体現していると思います。彼の美質から行けばカヴァティーナや登場の裏歌が優れているのは想像に難くないところですが、あのカバレッタすらも満足感のある歌唱に仕上げているのは驚異的でしょう。また、この盤はオーレンの勢いのある軽い風合いのある音楽づくりや共演陣の声質を取ってみても、この作品がベルカント・オペラの一つの終着点をなしていることを感じさせる佳演です(共演の人たち自体の凸凹はあるのですが)。とりわけ見事なのはレオノーラのピロッツィで、他の名盤と比べても遜色ない堂々たる歌唱です。

・レーヴェンスウッド卿エドガルド(G.ドニゼッティ『ランメルモールのルチア』)
ノセダ指揮/プラット、ヴィヴィアーニ、ヴィノグラドフ共演/トリノ王立歌劇場管弦楽団&合唱団/2016年録音
>僕が初めて触れた彼の歌唱がこちら。伊ものにふさわしいカラッとした輝かしい声色とスタイルの整った歌づくりは、まさにベルカントに適したものですし、2幕フィナーレでのブチ切れなど爆発的な力が欲しいところでの熱気も十二分で、ワクワクしながら聴くことができます。個人的には、ここ最近のエドガルドの中では最も満足度が高いかもしれません。プラットの攻めの歌唱も時々不安定になるところはありつつ美しいですし(特にpp!)、ヴィノグラドフに至ってはこのキャストの中でこの役を歌うのには立派すぎるぐらい風格のある歌です。エンリーコを演じるヴィヴィアーニが粗っぽいのだけがいただけません。

・アッリーゴ(G.F.F.ヴェルディ『シチリアの晩禱』)
コンロン指揮/ディ=ジャコモ、ヴァッサーロ、フルラネット共演/マドリッド王立歌劇場管弦楽団&合唱団/2014年録音
>これは全曲がyoutubeに転がっており、見事な演奏で聴きごたえがあります。バリトンとの重唱でドラマティックな表現が求められる一方で延々歌った5幕に突然のhigh Desを出さなくてはならないなど要求されることの多い難役中の難役ですが、ここでもプレッティはパワフルな歌唱を披露しています。このぐらいの重さの声の人としては高音も強いので、くだんのDesも爽快に伸ばしていて心地いいです(ちょっとよれているのはご愛嬌笑)。ディ=ジャコモもヴァッサーロもとりわけ気に入ったということはないですし微妙なところもあるのですが、プレッティとの歌唱の相性はいいらしく重唱も◎。この演目は重唱が多いのでこれは大きいです。そしてフルラネット!ムーティとのライヴよりも一段と成熟した歌唱で試験ではうんとこっちの方が好きです(ただ、ちょっとシルヴァ(同『エルナーニ」)のような迫力がありすぎる気もしますw)。

・ポリウート(G.ドニゼッティ『ポリウート』)
詳細不明/ベルガモ/2010年録音
>これもyoutubeにアリアだけが上がっています。やった場所と何年のものかということしか情報がないのですが、ヒロイックで歌が端正な彼には実によく似合っていて、少なくともここだけ取り出す分には僕の中でのポリウートのベストです。カバレッタの繰返しではやや重たいところはありつつもヴァリアンテも加えて後半を盛り上げています^^願わくば全曲が出てきて欲しいところですが……。

・マントヴァ公爵(G.F.F.ヴェルディ『リゴレット』)
レンツェッティ指揮/チェッコーニ、フェオーラ、ヴィノグラドフ 、ベルトラミ共演/トリノ王立歌劇場管弦楽団&合唱団/2013年録音
>超大物が出ているわけでは決してないけれども、各メンバーのチームワークが実に良くて非常に質の高い演奏になっています。その一角をしっかり担っているのがプレッティの公爵で、彼らしいまっすぐな声の魅力が直情的でロマンティストな一方で暴力的な人物でもあるこの人物をよく作り上げていると思います。この役は人物としてはひどいやつなんですが、他方でしっかり魅力的な人物でないと物語全体が嘘くさくなってしまうので、盛り上げのうまい彼の歌はそれだけで大きなプラスになります。チェッコーニの滋味深いリゴレットや、ヴィノグラドフの筋肉質な殺し屋、奔放なベルトラミなど各人レベルが高い演奏なのですが、とりわけフェオーラの楚々とした、しかし芯のあるジルダが印象的です。
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サトシの友



サトシの友
Satoshi's Partner

ポケモンは世代ど真ん中ということで、ここ数年いろいろ形にしてきました。
最初の選択
毒の王
凶龍図
暴れ牛

が、いずれも僕の作風もあってどちらかというとゴツくてコワモテのやつばかり。
こいつらも大好きなんですが、世の中的にポケモンといえばまずはピカチュウだしこいつはいつかカタチにしたいなあと思っていました。

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そんな折、twitterで大変素晴らしい1枚折のピカチュウを見かけました。インサイドアウトを駆使して模様を折り出し、大きな特徴である頬の電気袋の部分のみ赤い紙で裏打ちしてきちんと折り出していて見事な完成度!
しかし、一方でわずかな不満も感じたのです。
「こいつ、アニメのピカチュウだなあ」と。

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今や押しも押されもせぬピカチュウのデザインはアニメで完成したと言ってもいいと思います。もともと比較的まるみを帯びてふっくらとした「電気ねずみ」というデザインだった訳ですが、アニメでは当然キャラクターを動かしていかねばならないわけですから、徐々に、確実にピカチュウはくびれのある引き締まった体つきになっていきました。

もちろんそれもかわいい。完成度の高いデザインだと思います。

でも、僕の知っているピカチュウは違う。
あの、ずんぐりむっくりがかわいい。
あれを再現したい。

今回の動機はそれに尽きます。

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とはいえ上述の通り、自分は比較的ゴツい作品が多いものですから、この方針で行くのはなかなか難渋しました。ぶっちゃけ、アニメのピカチュウの方がそれっぽいものは簡単にできたと思いますw
でも、折角なら新しいものをやりたいなあということで試行錯誤した結果がこちら。
旧作のトトロを原形に仕上げてみました。全体のフォルムが似てるなあと個人的には思うのですが、いかがでしょうか?

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ちなみに原寸大を目指したのでそれなりにデカくて高さ30cmぐらい。
これでも設定より一回り小さいのかと思うと、結構なサイズだなあと改めて思いました笑。
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