Don Basilio, o il finto Signor

ドン・バジリオ、または偽りの殿様

ロッキー博物館見聞録

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早いものでもう1年経つんですね......昨年10月に米国はモンタナ州のロッキー博物館に行ってきた記事、かなり前に書いてはいたものの、諸々の事情で公開しておりませんでした。
1年も経ってしまいましたが、覚書までにそのレビューを挙げようと思います。

この話が決まった時点でこの博物館を調べてみたのですが、これだけの有名博物館なのに日本語の情報が殆どない!これは由々しき事態と思いまして、一介の素人ながら筆を執った次第です。
なお、この記事の内容はすべて2015年10月現在のものです。また、館の方にお話を伺った部分もあるものの個人のあくまで私的な感想記事なので、ご注意ください。

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日本では恐竜の博物館として非常に有名ですが、ロッキー博物館の展示はそれだけではありません。展示は恐竜を中心とする古生物、ネイティヴ・アメリカンの文化と歴史、開拓時代、特別展示、子供向けのイエローストーン国立公園の紹介、プラネタリウム、夏のみ公開されている野外展示の大きく7つのパートに分かれています。
博物館の運営形態は日本ではあまり見られないユニークなもので、モンタナ州立大学の一機関としての側面と、独立した博物館としての側面を持っています。大学の機関として寄付金を受ける場合には半分程度が大学の資金、残りが博物館の資金となる一方、博物館として寄付を受ける場合にはその全額を資金にすることができます。また、研究者や職員は身分上大学の職員であり、同じ待遇を受けています。
博物館に多くの人が来てもらうための努力も様々な面でなされていて、学校への標本や簡易プラネタリウムの貸し出しや、低所得層の児童を博物館に呼び込むためのプログラムも行われています。あとでご紹介しますが、時にビアイベントなども開催していて、多くの地元の人が足を運んでいます。
日本から行く場合には、デンヴァーかシアトルを経由してボーズマン空港に向かいます。そこから30分程度歩いてSmith & Missoulaのバス停でグリーンラインに乗ります。30分程度でモンタナ州立大のキャンパスに着きますので、そこからは徒歩で10分弱。

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入館するとすぐ右手に入館受付、左手にはお土産物屋があります。
入館料は大人が$14.50、子供(5~17歳)が$9.50です。1度払って入館すると、2日間は出入り自由なステッカーをもらうことができます。
開館時間は月曜から土曜が9:00~17:00、日曜のみ正午開館です。改めて米国はキリスト教国なんだなあと思う時間設定ですね^^

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ショップの横にコートや荷物を置ける場所があるのですが、そこにこんなものが!下にスケールとして24×24cmの折り紙を置いているのでサイズ感が伝わると思いますが、これはマンモス属でも最大種のコロンビアマンモスだそうでかなりの大きさです。
他にバイソンの化石なども。

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展示室に向かうと簡単なイントロダクション展示があり、早速古生物の展示です。古生代のものは化石もありますが、模型中心。

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続いて化石のクリーニングを見学できるエリア。時間によってボランティアの方が作業しています。

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この見学エリアのすぐ近くにある階段を上ると次の展示室が一望できます。また、ここには新生代の化石も何点か展示されていて、数は多くないながらもいずれも非常に状態のいいものです。

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恐竜の部屋はジュラ紀からスタート。広くはないので竜脚類(ブロントサウルスの親戚筋)は全身骨格こそありませんが、展示は充実しています。
ご存知のとおりこの博物館はホーナー先生のお膝下なので、恐竜の成長に関わるものが多いです。こちらはディプロドクス。幼体以外は実骨です。

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細かい種類はわかりませんが、この胴椎と肋骨はかなり大きい!

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反対側にはアロサウルスの展示。全身骨格はレプリカですが、ケースに入っている化石はほとんど本物。
これはビッグ・アルと呼ばれる個体の頭蓋骨。シュッとして実にかっこいい!

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続いて白亜紀前期のエリア。
こちらはデイノニクス、手足や尾などが展示されていますがこれらも実物。
ここ、実骨が多すぎて紹介しきれやしない!笑

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デイノニクスの獲物として有名なテノントサウルス。思っていたより小さい恐竜です。
この個体も襲われたものなのだそうで、周囲にはデイノニクスの歯が散乱しています。襲われたにしては随分綺麗に骨が揃っているような気もしたんですが、どんなもんだろう。

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これはオストロドロメウスです。この展示は実骨じゃないんですが、彼らの生活を再現していて面白いです。ロッキー博物館の学生の研究により、彼らは地中に住んでいたのではないかと考えられています。理由としては数頭で纏まって見つかったことや、穴を掘る現生の動物同様の強い肩を持っていたこと。
個人的にはこの説に疑問もあるのですが、こうして学生の研究があちこちの展示に生かされているのも、この博物館の素晴らしいところです。

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この部屋の記事の最後は、恐竜ではなく海の爬虫類。実は個人的には一番気に入った展示のひとつです。上海ワニのテルミノナリア、首長竜のエドガロサウルス、そしてプリオサウルス類。いずれも実骨!
恐竜に較べると展示されることの多くない連中なだけに、これだけのものが観られるのは嬉しい!

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次の部屋は情報室。でっかいタブレット端末で研究や発掘の様子などを知ることができます。

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次いでオムニバス的な展示が並ぶエリア。ここは広くはないですし、部分的なものが多いですが、並んでいるものがとんでもないです!
まずこちらはティラノサウルスなどに見られる足の特徴について。ダスプレトサウルスとブラキロフォサウルスというチョイスもなかなかですが、これら実骨です!こういう解説的なところでぽーんと実骨を入れてしまうあたり、流石はモンタナ!

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恐竜の成長の展示。マイアサウラの足の骨ですが、これらも実骨!

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こちらはパキケファロサウルスの頭のドーム。これも実骨。
有名な割にそんなに実物を観る機会はない連中なので、これもまた嬉しい!
※その後科博の常設にも入りました。

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実はここの中央に鎮座ましましているケースが個人的には一番のお気に入り。
これら、いずれも実骨だと思います。素晴らしい保存状態!
順にアケロウサウルス、ブラキロフォサウルス、ダスプレトサウルス(同定に議論のある標本のようですが)、ヒパクロサウルス。しかもアケロウサウルスはホロタイプです!
こういう超有名ではないけど昔からそれなりに有名、というぐらいの恐竜って日本では意外とあんまり観られる機会がないので、それがこうしてひとつのケースで観られるとは!

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こちらのケースもまたとびきり素晴らしい!
エラスモサウルスとモササウルスの頭、これもまた実骨です(普通こんなに実骨常設で展示しちゃおらんですぜ^^;)しかもご覧の通りこちらも凄まじい保存状態!全身あるんだろうなあ、観たい!
さっきも海の爬虫類の展示をご紹介しましたが、モンタナは彼らの化石も非常によく出るとのことです。中生代、北アメリカは今のイメージで言うとざっくり東西二つのパーツに分かれていて、その間の海だった地層があるんです。

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恐らく多くの人が興奮するのはこちらのホールでしょう。
中央にはティラノサウルス。発見部位がわかるように色分けがなされています。色の濃い部分が実骨ですが、その保存のよさがお分かりいただけるかと。
頭だけは、来館者が近くで観られるようにするためと、非常に重いということでレプリカ。実物は別に展示されています。

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ここでもホーナーの学説がかなり前に出た展示になっています。
最初のティラノサウルスの頭は最大のものだとか。

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エドモントサウルスも面白いものがいろいろ。
最初のものはティラノサウルスに咬まれたと思われる生々しい傷跡があるもの。拡大した2枚目の写真で赤い矢印で示されているのはティラノの歯だそうです。
3枚目の写真はかつてアナトサウルスと呼ばれていたものですが、現在ではエドモントサウルスの老齢個体とされています。

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こちらはエドモントサウルスのしっぽ。
これもまたすごい保存状態で、滅多に残らない皮膚の印象まで残っています。

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非常に有名なトリケラトプスの実物頭蓋。子供のころに本で見ていた化石だけにこれは嬉しかったです!
これらもまたよく残っているなあと思う一方で、そのスケールの大きさ!でかい!

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とりわけ巨大で印象的なのがこちら。ホーナーの説に従ってこの博物館ではトリケラトプスとされていますが、現在でもトロサウルスの名で呼ぶ研究者も多い標本です。最初の写真は復元、残る2枚は実骨です。まさか自分がトロサウルスの実骨を見ることができるとは思っていなかったのでこれも嬉しかった!(角竜好きなのです^^)

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ワニ、カメ、コリストデラといった同時代の爬虫類の化石もそろっています。

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モンタナの名を冠したモンタナケラトプス。
こちらもまたお見事。角のない角竜はそんなに好きではないのですが、これだけ立派な状態で残っていると見応えもあります。

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続いてネイティヴ・アメリカンの文化の展示がありますが、こちらは彼らへの敬意と配慮から撮影不許可。こちらに掲載できないのは残念ですが、彼らのデザインの美しさは目を見張るものがありました。モンタナには7つのネイティヴ・アメリカンの居留地がありますが、地域によってだいぶ文物が違います。
彼らの歴史や文化をこうした形で展示したということで、非常に意義深い、記念碑的なものになっています。

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続いてはアメリカ開拓時代の展示。
こちらも面白いものがいろいろ展示されていますが、数年後にリニューアルの予定だそうです。曰く、収蔵庫が恐竜だらけになってしまったからとのこと。
馬車やクラシックカーなどが目を引きますが、3枚目の写真に写っている水を運ぶための車が独特なフォルムで気に入りました。

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地名の由来になったジョン・メリン・ボーズマンの写真や所蔵品。
彼への評価は分かれるようです。

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ゴールドラッシュの時期に使われたトロッコ。意外なほどきれいな状態です。
コンパクトで機能的な姿がかっこいいです。

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日本ではあまり見ない銃の展示もあり、興味深いです。

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飛行機、消防車、大砲。
こういった大きなものもかなり所蔵しているようで、私は詳しくないのですが、お好きな方にとっては相当楽しめるものではないかと。

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当時のアメリカの家や町を再現した展示も。

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どれが何に使う道具かを当てるクイズ展示。
今ならみんなコンピュータやタブレットになってしまうのでしょうが、アナログならではの味わいがあります。

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この先には特別展エリア。このときはワーナーブラザーズ展が開催されていました。
ここも面白かったのですが写真NGということで、入り口にあった看板だけ^^

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チケット売り場の右側にはプラネタリウムも。
星座の解説ではなく、天文学の歴史といった内容の30分番組でした。

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2階には子供向けのイエローストーンの展示。ハンズオンで、こどもたちに様々な視点や考え方を提供する内容になっています。

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夏には野外展示も行っているようです。
残念ながら、私の覗った時期には既に閉まっていました。

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最後に、運よく参加できたビアイベント。閉館後に行われていて、大学や博物館の関係者はもちろん、地元の人も博物館に集まってビールを飲みつつ、講義を聞くこともできるという楽しいイベント!
受付時にお金を払うとこのグラスとビアチケットをもらえます^^
ご覧の通り大盛況で、日本でもこういうイベントができればよいのにと思っています。

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というわけで、これでおおよそロッキー博物館について書こうと思っていたことは全部かけたかなと思います。博物館のあるボーズマンは大都市の近くではないですが、この記事をご覧になって興味を持たれたら、是非一度足を運んでみてください^^
自信を持ってオススメします!

参考: Museum of the Rockies
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