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Don Basilio, o il finto Signor

ドン・バジリオ、または偽りの殿様

かはくの展示から~第14回/アンビュロケトゥス~

このblogは国立科学博物館の公式見解ではなくファンの個人ページですので、その点についてはご留意ください。

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アンビュロケトゥス
Ambulocetus natans
(地球館地下2階)
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四肢しっかりありますが、クジラの先祖です。
こうして肢があるといっても陸上の生活が達者だった訳ではなく(陸上ではトドのように動いていたとか)、基本的には海の生活に適応した生き物であったと考えられています。ただしこいつら、かなりの変わり者。

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「目の穴と鼻の穴はどこでしょう?」と訊いてあてられる人はかなり少なそうです(^^;
一見すると、つい後ろの大きな穴が目の穴だと思ってしまいがちですが、実は目の穴は手前の小さな窪み。鼻の穴は予想どおりの位置にあります(笑)
そうして見てみると、顔のバランスの中で目鼻の位置がかなり上の方にあるのがわかりますか?これは彼らが水から目鼻を出して陸上の様子を窺い、獲物を待ち伏せしていたからではないかと考えられています。

これ、結構大きなことです。
一般的なイメージで行くなら、「恐竜の時代に海の中で生きていた大型爬虫類が絶滅し、生態系のトップが空いたところにクジラの仲間が進化してきた」という筋書きがあると思うのですが、実は彼らはその筋書きを覆してしまう存在なのです。というのは、もしそのとおりだったとするのであれば、クジラの仲間は最初から大型の魚や海の動物を食べる、生態系のトップとなるものだけが進化したはずだからです。しかし、上記のとおりアンビュロケトゥスはその特徴から見る限り、海中生態系のトップを目指す進化からは全く外れ、獲物を陸上に求めたと考えられています。
進化というと「Aという生き物がBへと進歩する」という一本道のイメージがありますが、実際にはそうではなく「Aという生き物がBにもCにもDにも変化する」というような、さまざまに枝分かれをした道のイメージの方が、より正しいと言えます。そのうちたまたま現在生き残ったBとその祖先Aを見て、つい一本道のイメージで捉えてしまうのですが、進化はもっと複雑な現象なのです。

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これは頸から背中にかけての背中側の突起の写真ですが、全般的に高さが低くなっています。
ここには頭を支える筋肉がつくので、高いほどその筋肉がたくさんついているということになりますが、彼らは大きな頭を持っている割にそんなに発達していません。彼らは水に依存した生活であったので、浮力で頭を支える時間が長かったからではないかと考えられています。
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参考にジャイアント・バイソンBison latifronsの写真。巨大な頭を支えるための突起が非常に発達しているのがわかると思います。

<参考>
新版絶滅哺乳類図鑑/冨田幸光:文/伊藤丙雄・岡本泰子:イラスト/丸善株式会社/2011
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つくってあそぼ

最終回と言うことで、昨日は遅かったんですが早起きして観ました。
実は中身的には数日前に放送されたものと一緒だったんで、ひょっとするとお別れなしでさらっと終わるのかな?なんてことも思ったのですが、最後はやっぱり出てきてご挨拶でしたね(笑)

物心がついたのがちょうどノッポさんが終わったころ、ということで世代的にはどんぴしゃでこの番組を観ていました。記憶をあてにすれば始まった当初は、「つくってあそぼ」は単独の番組ではなく、「みんなとあそぼ」、「しぜんとあそぼ」、「うたってあそぼ」という兄弟番組の中のひとつという位置づけだったと思います。キャラクターも確かソラミちゃんとかモンタくんとかがいて、それぞれが担当の番組を持っていて、「つくってあそぼ」担当だったのがゴロリくんだったような。残りの番組はスタイルの変わった「しぜんとあそぼ」を除くと割と早くなくなって、結局初期形を保って20年以上もやっていたのは「つくってあそぼ」だけでした。それだけ番組としてよくできていたのでしょう。

最終回が近いということがわかってから数回分をHDDに録画して観ていたのですが、15分という時間の枠の中で本当によく練られていると思います。わくわくさんとゴロリの自然な会話の中にすっすっと工作の工夫や、作る際のポイントなどを挟んでいくところなど、大人になってから観て改めて感心します。番組全体の構成で見ても、基本の流れとしては、あまり難しくない基本形から徐々に発展させていって、最後には“わくわく”する巨大工作を登場させるかっこうですが、盛り上がりを考えて微妙に匙加減を変えています。最終回もまさにそれで、紙飛行機を紹介するとなれば、普通なら簡単なヤリから始めることを考えてしまいますが、ヤリを発展させた「かみヒコーキ・カタパルト」――これは本当にユニークで素晴らしい工作。基本的な紙飛行機の折り方を知っている人にもアッと思わせ、紙飛行機は初めてという子供たちにもとても魅力的――を登場させるために、敢えてイカからスタート、難しい方を先に教えたことを怒るゴロリとわくわくさんとのやり取りを挟んでヤリ、そしてカタパルト、と話の流れとしても自然にしてしまう手腕は、お見事と言うほかありません。

工作好きの子供だった僕は、この番組に育ててもらいました。考えてみれば、そのころからずっと同じルックスを保ち、そして常に手をきれいにしていた(絆創膏張ってるところなんて見たことありません!)わくわくさんの職業人としての努力は相当なものだったに違いありません。ゴロリくんも、あの手で工作するのは本当に大変だったはず。
そんなふたりにこころからの感謝を。わくわくさん&ゴロリ、ありがとう!
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かはくの展示から~第13回/水晶~

内容を改めて再掲しました。(2013.3.21)
このblogは国立科学博物館の公式見解ではなくファンの個人ページですので、その点についてはご留意ください。

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水晶
Crystal
(日本館3階鉱物室周辺)
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ご存じのとおり最もポピュラーな鉱物ですが、ヒトとの繋がりも古く、初心者から上級者まで鉱物ファンを普く魅了しています。その結晶の簡潔な美しさや、色・形のヴァリエーションの豊富さが多くの人の心を捕えるのでしょう。
はてさてその正体は?といえばSiO2、即ち石英です。さまざまな姿かたちをしていますが、水晶はすべて石英の結晶です。
今回は鉱物室の周りにある水晶を何点か。

まずは上の写真の煙水晶。
これはガラスケースの外に出してあり、触ることができます。「え?触って大丈夫なの?」と思われるかもしれませんが、水晶は硬い部類の鉱物なので大丈夫です。但し、鉱物にも硬いものとやわらかいものがあるので、なんでんかんでん触って大丈夫ではないのでご注意を。
触ってみると柱面に水平にたくさんの条線が入っているのがわかると思います。結晶と言うとつるつるしたイメージかもしれませんが、これは水晶の特徴です。触れない小さな標本でもそうなっているので、ご覧になってみては。
また少しひんやりと感じられますが、これは水晶の熱伝導率が高く、体温を奪っていくからです。こうした冷たいイメージがあるからでしょう、古代ギリシャでは水晶は岩の中で氷が石に化したものと考えられ、氷を意味するギリシア語(krystallos)から英語のcrystalと言う語は生まれ他と言われています。
いずれにせよ、是非実際の展示室で観て、触ってみてください。

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こちらは紫水晶(アメシスト)。
実物をよく見てみると、紫色の濃いところと薄いところがあります。
実はこの紫水晶も上の煙水晶も、鉱物自体を形作っているSiやOが発色の原因となっている訳ではありません。僅かに含まれる不純物(紫水晶の場合は鉄が、煙水晶の場合はアルミニウム)が、天然の放射線の影響を受けて発色していると言われています。ですので場合によっては、この標本のようにちょっと斑だったり、ということもあるのです。写真だとちょっとわかりづらいので、是非これも本物を(笑)
鉱物自体を作っている元素が発色の原因ではないので、粉々にしていくと次第に色がなくなって、終いには普通の水晶と同様無色になってしまい、顔料にはなりません。また、加熱処理すると紫水晶だったものがなんと黄水晶(シトリン)になってしまいます。

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こちらは日本式双晶と呼ばれている水晶。
大抵の場合平板状になった2つの水晶が約84°34′の角度で接合しており、ハート型に見えることもあってか人気が高いです。この標本も結構大きいので良く見ると条線が見えます^^
山梨県などが有名産地ですが比較的珍しくない形なのだそうで、「日本」という名前を冠しているのも、たまたま明治期に独国の学者が日本産の標本をもとに研究したからなのだとか。かはくの鉱物室の周辺でも大きいのと小さいのとひとつずつ展示してあります。

<参考>
・鉱物と宝石の魅力 つくられかたから性質の違い、日本で取れる鉱物まで/松原聰、宮脇律郎著/ソフトバンク・クリエイティブ/2007
・たのしい鉱物と宝石の博学事典/堀秀道編著/日本実業出版社/1999
・楽しい鉱物図鑑/堀秀道著/草思社/1992
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【目次】折り紙


Helicoprion

Amargasaurus

水浴する河馬

シノノメサカタザメ

Desmostylus

ホウボウ ⇒ ホウボウ・改

ウミユリ

冬虫夏草

Tarbosaurus

曲竜

Top, è già fatto! ~メフィストーフェレと契約するファウスト~

ダイオウグソクムシ ⇒ ダイオウグソクムシ・改

雷竜今昔

Ah! Che ne dite? ~バルトロとバジリオの陰謀~

始祖鳥

Nasutoceratops

Concavenator

Allosaurus

Agustinia

幽霊

Achrocanthosaurus ⇒ Acrocanthosaurus・改 ⇒ Acrocanthosaurus・三訂

Estemmenosuchus

ウミウシ

インドガヴィアル

Deinocheirus ⇒ Deinocheirus 2014 ⇒ Deinocheirus 2014-2 ⇒ Deinocheirus 2019

Opabinia

折鶴 "Oridzurusaurus japonicus"

角竜変奏曲 Dodici Variazioni "Ceratopsidae"
Triceratops・改 ⇒Triceratops・三訂
Styracosaurus・改
Pentaceratops・改
Einiosaurus・改

Carnotaurus

ハナアルキ(モルゲンシュテルンオオナゾベーム)

バビルサ

蒸気機関車

象の行進曲 March "Proboscidae"

Diplocaulus

ミツクリザメ ⇒ ミツクリザメ2014

シュモクザメ

Gerrothorax

Nigersaurus

Giraffatitan (Brachiosaurus)

ウバザメ

Hallucigenia

ホホジロザメ

Therizinosaurus ⇒ Therizinosaurus・改 ⇒ Therizinosaurus 1954 ⇒ Therizinosaurus 2015.2.6

ベニテングタケ

Chalicotherium(Anisodon)

Opisthocoelicaudia

Protoceratops

カエンタケ

ホテイシメジ

キヌガサタケ

Stegosaurus ⇒ Stegosaurus・改

ネコ

イネ

一休の説話より「屏風の虎」

ヤツメウナギ

ツチグリ

日本を代表するあの大怪獣

禽竜今昔

カブトムシ

オオクワガタ

ニホンヒキガエル

若冲の象

Spinosaurus ⇒ Spinosaurus SERENO version ⇒ Spinosaurus 2014 ⇒ Spinosaurus 2014-2 ⇒ Spinosaurus 2020

Dimetrodon

ウニ

アジサイ

Anomarocaris canadensis

Ankylosaurus ⇒ 新・Ankylosaurus ⇒ 新・Ankylosaurus(決定稿)

金星を代表するあの大怪獣

ヤグラタケ

フトアゴヒゲトカゲ

"Saichania"

荒ぶるバロサウルス

Edmontonia

シーサー

Pachycephalosaurus ⇒ Pachycephalosaurus・改

トナカイ

変奏曲「トラコドンの眷族」 Nove Variazioni "Aderenti del Trachodon"

Tyrannosaurus

翼竜円舞曲「コンポジション」

『異朝奇獣逸矢鼻歩』&『奇獣鼻歩折形』

蛙 ――古典の主題による小品――

青蛙

櫻枝

昆卡獵龍図

菖蒲

奇蝦相対図

欧巴賓蠍図

紅葉

雷羅風子図屏風

恐龍図

熊羆図

曠野群牛図

怪蟇図

赭麈図

妙歯海龍図

蕈図

戟龍図

深海図

Dürer's "Rhinocervs"



福寿

最初の選択 ~ほのお、くさ、みず~
炎の選択

癸亥図

黒松

薔薇

毒の王

金魚図

髪飾

愚者の犬

春夜図

凶龍
凶龍図



鳳凰

鯨鉢

蒸気機関車 ver.2016

髑髏

暴れ牛
ケンタロス

象の頭

牛の頭


馬の頭

束柱の頭

獅子の頭

弄臣図 "Si, vendetta"

梅菲斯特図 "Ma il reprobo fischia!"



露琪亜図"Eccola!"

尤達大師図 Yoda

サトシの友
サトシの友 Ver.2

蕈三題

猪の頭/亥

滄龍図

猪の肖像

Coelacanth





Phytosauria



コウテイペンギンの赤ちゃんとシマエナガ

汎用猫型ロボット D0RA-1293



宮沢賢治の主題による連作『イーハトーヴの旅』
『注文の多い料理店』
『セロ弾きのゴーシュ』
『楢ノ木大学士の野宿』
『銀河鉄道の夜』 ⇒ 『銀河鉄道の夜』補作
『オツベルと象』
『グスコーブドリの伝記』
『よだかの星』

連作『復元今昔物語』
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水浴する河馬

調子に乗って昨年のこのころ作った作品を

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水浴する河馬

珍しくあまり説明のいらない主題(笑)
ですが、一応説明しておくと、カバが水の中から顔を出して大きく口をあけているところ。単純にあくびかもしれませんし、何かに威嚇しているところなのかもしれません。

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実は個人的には現生の動物で一番好きなので、なんどか作品化しようとしてきたものでもあります。
下顎のでっぷりした感じとかを出せていたらと思っているのですがいかがでしょうか?

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カバと言えばやっぱり大きな牙の並んだ口。
最初はこれを折りだしつつカバの全身を折りたいと思っていたのですが、いくつか作ってみても納得できず。そのうち、陸上にいて全身が見える状態のカバがこうやって口を全開にしている姿はあまり見ないし、それで作ってもいかにも作品のために作った、というかあまり自然な感じのしないものになってしまうなと思うようになり、一旦白紙に。結局折りだしたいのはこの口なんだし、それを折りだすうえで自然な格好にしようと考え、こういった形に。

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背面から。結構背中長めです。
必要なパーツを考えていったら意外と角もいらず、複雑な形から作っていくことは全然ないのに気付きました。結局こいつのベースになっているのは、伝承作品の「蛙の基本形(または菖蒲の基本形)」です。
比較的平易なところから作りたかったものができたのにちょっと満足^^
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Amargasaurus

いつか改作しようと思っていたものを隙間の時間に。

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アマルガサウルス
Amargasaurus cazaui

ネタについては以前こちらでお話ししてますね^^
身体が大きくて頸としっぽが長い、所謂ブロントサウルス(という恐竜は実在しない訳ですが笑)の仲間ですが、頸から背にかけて骨が伸びて、何とも言えない独特の姿をしています。

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やっぱりこの頸の突起を表現してみたいな、っていうのはやっぱりあって。
復元自体はいろいろあって、おおまかには骨に皮膚が帆のように張っている復元、もっと棘棘してる復元に分かれます。私が最初に見たのが帆のある復元だったこと、棘棘復元だと折るのが大変なのとでこちらのモデルに。最初の突起だけは1本なので、それに合わせてあります。
あと、しれっと前肢の親指も作ってあります^^

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前作では割と身体がまったいらで、そこがちょっと気に入ってなかったんです。
ブロントサウルスと言ってイメージする重量感のある身体はずっとあっためてたテーマだったんですが、それを数年前に「ブロントザウルス」(こいつは今もお気に入りで、名刺でも使ってます笑。)で実現。アマルガサウルスでの応用はずっと考えていたんですが、なかなか時間が取れず、そしていざやってみたらこれがうまく行かなくてね(苦笑)頸の突起とこのどっしりしたボディをうまく共存させられなくて今回はそこで一番苦労したかな。結局結構膨らんじゃうんで何箇所か糊で固定してますが(^^;
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