ホウボウ2013-04-23 Tue 00:26
先日この記事を書いていたら、無性に作りたくなって作成。
ホウボウ Chelidonichthys spinosus ![]() 普通に赤い折り紙で折っても良かったんですが、ホウボウ自体華やかな色の魚なので、今回は敢えてカラフルな千代紙で。ちょっと別の方向で派手になっちまった感も否めないかな(^^; ![]() ホウボウと言うからにはちゃんと胸鰭から出た足も作ったぜ!笑 というかそもそもこの足を折りたくて作り始めたと言っても過言ではないし、むしろこの足がために他の部分がおろそかに見えるんじゃないかと言うのが若干の心配…汗。けどこのカクカクした頭とか結構頑張って作ったのよ?写真じゃわかりづらいけど(^^: ![]() 後ろから見るとこんな感じ。 魚って結構背鰭だ尻鰭だとかって言って上下に結構でっぱりがあるから、こういう横方向にも伸びてるやつって作りづらいんだよね~一応それなりの形には纏めてるつもりですが、たぶん鰭の枚数とか違う(苦笑) と言う訳で不満が皆無な訳ではないけど、これはこれで結構気には入っていたり。 スポンサーサイト
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かはくの展示から~第16回/タヌキ~2013-04-21 Sun 12:53
このblogは国立科学博物館の公式見解ではなくファンの個人ページですので、その点についてはご留意ください。
******************************** タヌキ Nyctereutes procyonoides (地球館3階) ![]() 「この動物、知ってますか?」 と訊いて、 「タヌキ!」 答えられる人が意外と少ないのは、ちょっとさびしいです。 何しろタヌキは、日本が世界に誇る珍獣なのですから。 まずタヌキがこれだけ身近な動物なのは日本ぐらいであるということがあります。欧米の人たちは、まずタヌキを知りません。 ここでちょっと英語のお勉強。イヌは?もちろんdog、ネコは?catですね、ゾウは?elephant!トラは?tiger、キツネは?foxに決まってます。じゃあタヌキは…?私がこれを訊いて答えられた来館者はいままで1人だけでした。raccoon dog或いはraccoon-like dogと言います。単語が2つな時点であんま身近じゃない感じがしますが、raccoonというのはアライグマと言う意味で、日本で言うならさしずめアライグマイヌだとかアライグマモドキイヌといったところでしょうか。もうまったく身近じゃない(笑) そう思って考えてみると海外の童話やアニメでタヌキって出てこないでしょう?ディズニーが"the clacking mountain ~KATIKATI-YAMA~"とか作ったら別ですがね(笑) 要するにどういうことかと言うと、タヌキの生息域は世界でも東アジアに限られるのです。なかでも日本においてはばっちり文化になじんでいます。まったく個人的な推測ですが、里山や農業がそのあたりのキーワードになってくるのではないでしょうか。 ![]() タヌキが何の仲間かと言うと、実はイヌの仲間です。 イヌの仲間と言えばオオカミ、キツネ、コヨーテなど脚が長くていかにも身軽でスラッとした狩人というような体形をしていますが、タヌキはご覧のとおり脚は短く胴が長く、日本人がシンパシーを感じやすい体形をしております笑。但し、一般的にイメージにあるような丸顔でお腹の出た信楽焼のような姿では全くありません。顔そのものは意外とシュッとしており、確かにイヌっぽいです。 ちなみにこのタヌキの剥製は触れる標本となっているので、目で見るだけではなく実際に触って彼らの体形や触り心地などを感じることができます。これはぜひかはくに足を運んで体験してみてください。 さて実はタヌキは現在生き残っているイヌの仲間でも最も古い時代の姿を残していると考えられています。イヌの仲間は元来は森林性だったものが、草原での生活に適応していき、所謂オオカミのような姿に進化していったと言われていますが、そんななかでタヌキは森林での生活を維持したため、先祖の姿のまま現在まで至っているのでしょう。染色体の本数も68本と、イヌの仲間で最少だとか。 そういう意味でもタヌキは世界の珍獣なのです。 ![]() そんなタヌキ、かはくの展示の中でも一目置かれた存在になっています。 いまや単なる“わが子のための写真スポット”のようになっている写真の展示ですが、これはもともとそんな意図ではなく、タヌキの目線を体験する展示なのです。このドームから周りを見渡すと獣道がなるほど道なのだということがよくわかりますし、周りの植物の高さやイノシシの大きさなどを体験することができるのです。これは是非かはくに来て観てみてください! 子供がたくさん並んでいたり、その子供の写真を撮るのに夢中な親がたくさんいたりしますが、どうぞそんなことには気兼ねすることなく、大人の方にこそ楽しんでいただきたいと思います。 <参考> 世界珍獣図鑑/今泉忠明著/桜桃書房/2000 |
Desmostylus2013-04-18 Thu 00:47
長く作りたいとあっためていたものを。
![]() デスモスチルス Desmostylus sp. 最も謎の多く奇妙な哺乳類であるとともに、日本を代表する古生物です。 古脊椎好きな日本人としてはどうしても作りたかったものの、兎に角謎が多くて姿勢ひとつ満足に定まらないため、どういう復元を参考にしようかということから悩んでしまう。そういう存在でした。 そんな中で新聞でも報道されましたが、林昭次さん(現・大阪市立自然史博物館学芸員)を中心とした日本とドイツの研究チームの論文により、基本的に水中を活発に泳ぎ回る生き物であったということが示されました(同じグループの別の仲間や現生の水生哺乳類との骨の密度の比較から。また折を見てご紹介できればと思いますが、今回は詳しくはこちら。) と言う訳で水生哺乳類としての復元を参考に作ったのが今回の作品。 ですので、話題に上がることの多い前肢は「腕立て伏せ」スタイルではなく「前ならえ」スタイルになっています。 ![]() 後肢はいずれの復元でも蟹股となっているので、ここでもそうしました。 また、今回のどのカットでもわかりづらくなってしまっていますが、足は小指の方が長くなるような形を意識しています。 ![]() 時にはこのように水から目鼻を出して呼吸することもあったかも。 顔自体はかはくにおいてあるDesmostylus japonicusとされる頭蓋を参考にしましたが、彼らの種のレベルの区別はもめているようなので、特定の種ではなくsp.(「~~の1種」ということ)として作りました。 |
オペラなひと♪千夜一夜 ~第三十八夜/隠れた性格俳優~2013-04-16 Tue 08:15
20世紀中葉はさまざまなタイプの歌手が活躍し、まさに百花繚乱と言うべきであった時代です。
中でも性格的な歌い回しで知られており数々の素晴らしい録音を残していながら、残念ながら現在ではいまひとつ取り沙汰されることの少ない名優を。 ![]() Iago (Verdi) レナート・カペッキ (Renato Capecchi) 1923~1998 Baritone Italy 伊ものを結構聴く人にとっても、どちらかというと「名前は聞いたことはあるな」程度の認識になってしまって居そうですが、それはまことにもったいない! 彼の歌がものすごいのは、そこからあらん限りの表情が溢れ出ている点にあると思います。音を聴いているだけなのにその人物の顔の表情、動き、更に言えばその人柄までもを表出するかのような歌。オペラは演劇であると同時に音楽ですから、これは非常に重要なことだと言うべきでしょう。 特にその本領が発揮されるのはブッフォや屈折した役どころ。 ひょっとすると多くの方にとってはブッフォのイメージが大きいのかもしれません。特にG.F.F.ヴェルディ『運命の力』のメリトーネ兄は彼の当たり役だったこともあり、少なからぬ録音が存在します。もちろんそうした役どころでは抱腹絶倒の大活躍を聴かせて呉れる訳ですが、彼が単なるブッフォで終わらないのは屈折したキャラクターの巧さ。イァーゴやリゴレットを聴かずに彼の魅力を語ることは不可能です。「器用で手堅い」などというような範疇にはとても収まらない、もっと語られるべきスターでしょう。 <演唱の魅力> 一にも二にもその演劇的な歌唱について述べねばならないでしょう。 多くの録音が残されていることからもわかるようにおどけたブッフォ役をやらせれば天下一品。ここで彼がすごいと思うのは、時に隙間に笑い声すらはさむぐらいの余裕綽々っプりで、音だけでしっかり面白おかしいキャラクターを作り出してしまうところです。しかも歌自体に不必要な崩しを加えることなく。当然ながらベースとしてかなりきっちりと歌えるということがある訳ですが、そこから先はもうセンスの世界なのでしょうね。彼はそういう意味で、録音史に残るハイセンスな歌い手だということができるように思います。とにかくもう、聴いてるだけで笑えてくるのです。 有名なところではやはりメリトーネ兄が筆頭に挙がるのかもしれませんが、W.A.モーツァルト『フィガロの結婚』のフィガロやG.ロッシーニ『セビリャの理髪師』のバルトロ及びフィガロ、G.ドニゼッティ『愛の妙薬』のドゥルカマーラあたりも比較的取り上げられることが多いしょうか。 しかし彼は二面性の歌手です。 上記のような陽気で愉快な役を演ずる一方、シリアスな役どころ、特に複雑で屈折のあるキャラクターの巧さはまたひとしおです。喜劇をやる時と同様、歌だけでそのキャラクターの持つ特性を感じさせる手腕には脱帽してしまいます。しかも非常に抽斗が多く、豪快なfを鳴らしたかと思えば囁くようなpでひっそりと悪事を企んだり。残っているもののなかでも特にすごいのはG.F.F.ヴェルディ『オテロ』のイァーゴでしょうか。また、意外と若々しく精悍な役も悪くなくV.ベッリーニ『清教徒』のリッカルド・フォルトなど非常に格好いいです。それが上述したような明るいブッフォをやった人ととても同じ人物とはとても思えない。 このように、その心憎いまでの藝達者ぶり、性格俳優ぶりでもって記憶に残る人物と言うことができますが、そうした性格俳優的なバリトンが、どういう訳だかしばしば声そのものの美しさやハリと言う点ではいま一歩譲るところが多いのに対して(古いところで行くとゴッビなんかは美しい声ではないですよね)、カペッキはゆったりとした美声なのもまた嬉しいところ。そういう部分でのバランスの良さ、器用さを考えると、この時代に於いてはタッディと双璧と言うべきでしょう。嬉しいことに彼らが共演した録音も少なからず残っています。 いまはオペラも演劇の時代になってきて演技の達者な歌手がたくさん出てきており、歌を演技で魅せる人が多くなっているような気がします。しかし、カペッキの藝達者と言うのは冒頭でも少し書きましたがそんな現代の演技巧者とは少し違っていて、歌を歌として聴かせる中に必要な演技がすべて詰まっているというところにあるように思います。だから歌を聴くだけで面白い。歌を聴くだけでそのキャラクターがどんな人物なのかを我々に想像させて呉れる。オペラ歌手の鑑と言ってもいいかもしれない人物なのです。 <アキレス腱> 「歌自体に不必要な崩しを加えることなく」なんて前述しちゃいましたが、時々やり過ぎになってしまっていることもあります(苦笑)W.A.モーツァルト『ドン=ジョヴァンニ』の題名役の録音などはその最たるところでもあり、明るいところはまるでブッフォだし地獄墜ちはまるで狂乱の場(と言うか最早あれは殆ど発狂してるよ^^;)。あと、おなじDGの話で行くのであれば、あまり超イケメンという感じの声でもないし、色男が似合わないのです。やはりどちらかと言えば脇を十二分以上に固めるのが持ち味の人なのだと思います。 高音が強くない、というのも意外な欠点ですが、その点は大抵別の部分で補ってしまっているように思います。 <音源紹介> ・メリトーネ兄(G.F.F.ヴェルディ『運命の力』) ミトロプロス指揮/デル=モナコ、テバルディ、プロッティ、シエピ、バルビエーリ、デ=パルマ共演/フィオレンティーノ・マッジオ・ムジカーレ管弦楽団&合唱団/1953年録音 >不滅の名盤。音質は酷いが、内容はとんでもなくいい恐るべきライヴ録音。カペッキのメリトーネ兄はこの録音にこだわらなくてもギャウロフとも一緒に歌っていますし、クリストフとは映像(!)も残っています。しかしこの尋常ならざるメンバーのライヴ録音は、いくつかの音盤の中でも最高のものでしょう。本編と関係ないという理由でカットされることも多い役なのですが、この役を名刺代わりにしていたような、しかも藝のある歌手が歌うとその必要性が明らかになるように思います。 ・フィガロ(G.ロッシーニ『セビリャの理髪師」) バルトレッティ指揮/モンティ、ダンジェロ、タッデオ、カーヴァ共演/イタリア国立歌劇場合唱団/バイエルン放送交響楽団/1960年録音 ・バルトロ(G.ロッシーニ『セビリャの理髪師」) レヴァイン指揮/ゲッダ、ミルンズ、シルズ、R.ライモンディ、バルビエーリ共演/ロンドン響&ジョン・オールディス合唱団/1975年録音 >いずれもバリトンが演じることのある役ですが、どちらでも素晴らしい録音を残しているのは彼くらいではないでしょうか。まずフィガロですが、この役はもちろん様式感的な部分や歌の巧い下手も大事な訳だけれどもそれ以上に湧き出るような生命力が必要不可欠で、そういう意味でカペッキの歌唱は全く理想的と思います。しかもひたすら楽しそうなのがまたいい(笑)他のメンバーがちょっと古風過ぎるので全面的におススメはしづらいけれどもカペッキのフィガロは一聴の価値ありでしょう。ついでバルトロの録音では、流石に声の衰えはあるもののそれが却ってうるさい老人っぷりを引き出していて最高です。例の早口アリアにしても、ねちねちといかにも老害らしくまくしたてるさまが非常に面白い。こちらの録音ではレヴァインの生き生きした指揮に、同じようにフィガロになりきってるミルンズやこの役には重い声なのが逆に面白いゲッダ、とぼけたR.ライモンディなどが聴きものですが、バルビエーリの強烈なベルタと共にこのカペッキの印象が強いです。 ・フィガロ(W.A.モーツァルト『フィガロの結婚』) フリッチャイ指揮/ゼーフリート、フィッシャー=ディースカウ、シュターダー、テッパー、サルディ、クーエン共演/ベルリン放送交響楽団、RIAS室内合唱団/1960年録音 >不滅の名盤。何箇所かのカットが残念ではあるものの、ベーム盤に対抗できる数少ない音盤。この作品は題名役の割にフィガロの活躍はそこまで目立たないこともありますが、彼のような存在感があれば別。自由で活力があって闊達なフィガロ像を築いており、非常に魅力的です。特に“もう飛ぶまいぞこの蝶々”は、フリッチャイの采配もあって録音史に残る名演だと思います。そのフリッチャイも主要キャストも勘所を押さえた最高の演奏。愉しいフィガロを聴きたければ是非! ・バルトロ(G.パイジェッロ『セビリャの理髪師』)2014.1.27追記 ファサーノ指揮/パネライ、シュッティ、モンティ、ペトリ共演/ローマ合奏団&コレギウム・ムジクム・イタリクム/1959年録音 >なんだかフィガロとバルトロばかりですが(笑)数少ないパイジェッロの方のセビリャの録音として、充分楽しめるものではないかと思います。ややファサーノの指揮がのったりしているのが残念ではあるのですが。ロッシーニの方でもそうでしたが、まあうざったい親父ぶりを発揮しています。ひたすら喋り倒すような歌い口はやはりコミカルで楽しく、例えば家来2人との重唱なんかは抱腹もの。フィガロのパネライともども、音楽をリードしています。 ・ドゥルカマーラ(G.ドニゼッティ『愛の妙薬』) モリナーリ=プラデッリ指揮/フレーニ、ゲッダ、セレーニ共演/ローマ歌劇場管弦楽団&合唱団/1966年録音 >これもまた不滅の名盤と言うべきでしょう。一般にはカペッキがベルコーレを歌ったものの方が有名ですが、あれはコレナ以外の共演キャストが魅力薄だし、カペッキはこっちの方が合っています。まーあーいかがわしいドゥルカマーラ!(褒めてます笑)しかもそのいかがわしさを認めたうえで徹底的に面白い。甘い声のゲッダのネモリーノ、娘役なら天下無双のフレーニ、渋い美声を聴かせるセレーニのいずれも魅力的で、それぞれとの絡みも楽しいです。モリナーリ=プラデッリのマンネリズム万歳な指揮も、こういう作品では好ましいのではないでしょうか。 ・ベルコーレ(G.ドニゼッティ『愛の妙薬』)2018.12.27追記 ロッシ指揮/ノニ、ヴァレッティ、タッデイ共演/RAI ミラノ交響楽団&合唱団/1954年録音 >カペッキはドゥルカマーラの方が合っていると上述していますが、こちらの映像を観てかなり認識が変わりました。録音で聴く分には重心の低いどっしりとした声質がベルコーレとはしっくりこなかったのですが、映像で観ると最高!ゆったりとした包容力のある力強い声と上背のあるどっしりとした舞台姿に反し、鬱陶しい勘違い野郎の挙動(褒めてます笑)がコミカルなバランスを築いていてニヤニヤせざるを得ません。ドニゼッティの描きたかったおバカな軍人はまさにこんな人物だったに相違ないと思わせる超名演です。ノニ、ヴァレッティ、タッデイの共演はいずれも歌だけでもぴったりだろうと思っていたところですが、映像を見てこれ以上は考えられないと感じました。音質は決してよくありませんが、この演目の決定盤と言っていいでしょう。 ・ダンディーニ(G.ロッシーニ『チェネレントラ』)2014.10.30追記 アバド指揮/ベルガンサ、アルヴァ、モンタルソロ、トラーマ共演/LSO&スコティッシュ・オペラ合唱団/1971年録音 >超名盤。アバドがロッシーニに拘っていたときの、この分野の名匠を結集した素晴らしい録音です。ここでのカペッキは偽王子を演じる従者で、物語全体を斜め上から覗いて笑うような役回りですが、こういう役をやらせるとやっぱりこの人は巧い!基本的に賢い歌い手なのだなあということを感じさせますね^^カヴァティーナでは堂々と構えているのが逆に楽しいですし、モンタルソロとのコミカルな重唱も絶品!そのモンタルソロ、意外と録音の少ないひとですが、コレナと並ぶ名ブッフォとして鳴らした人だけまさに至藝というべき歌唱。品があって優雅なベルガンサと最早様式美的なアルヴァもお見事で、トラーマも悪くありません(アリアの冒頭の音は下げていますが)。アバドの音楽も前に進むロッシーニで心地いいです。 ・ボアフレリー伯爵(G.ドニゼッティ『シャモニーのリンダ』) セラフィン指揮/ステッラ、ヴァレッティ、タッデイ、バルビエーリ、モデスティ、デ=パルマ共演/ナポリ・サン・カルロ劇場管弦楽団&合唱団/1956年録音 >マイナー作品ですし、カットも多いようですが素晴らしい録音。狂乱の場があったりセミセリア的な部分のある作品の中で、ブッフォよりな悪役(といっても根っからの悪人ではない)をカペッキが好演しています。早口があったりするものの音楽としては浮き立つようなブッフォ感は少なめではありますが、そこは彼のようなスペシャリストが歌うと断然面白さが違います。共演も優れているし、セラフィンも流石伊ものをわかった指揮で楽しめます。 ・騎士ベルフィオーレ(G.F.F.ヴェルディ『一日だけの王様』) シモネット指揮/パリューギ、オンシーナ、コッジ、ブルスカンティーニ、ダラマンガス共演/RAIミラノ交響楽団&合唱団/1951年録音 >数少ないこの作品の録音且つ低音陣については非常に楽しめる録音です。つまらない作品と言われてきましたが、とんでもない!ドニゼッティの延長線上にまだあるとは言えとても楽しい作品。ここでのカペッキは単なるブッフォというだけではなく、より若々しく男ぶりの良さそうな人物を陽気に演じています。若いのに年寄っぽいブルスカンティーニとの対比が笑えます。古色蒼然としながらオンシーナはやわらかさを楽しめますが、流石にパリューギはちょっとつらいです。 ・ジグストゥス・ベックメッサー(R.ヴァーグナー『ニュルンベルクのマイスタージンガー』) マタチッチ指揮/タッデイ、クリストフ、インファンティーノ、リッツォーリ共演/トリノRAI交響楽団&合唱団/1962年録音 >伊語版。ヴァーグナーが苦手な私がヴァーグナー面白いかもしれないと思うぐらいブッフォよりの伊国らしい録音ですが、マタチッチの豪快な指揮ぶりも印象的です。ただここで最も印象的なのはカペッキ演ずる悪役ベックメッサーとタッデイ演ずる主役のザックスとのコミカルなやり取り!これはもう本当に面白くて、ぐっと引き込まれます。クリストフのドスの効いたポーグナーやインファンティーノとリッツォーリの予想以上の好演も確かに素晴らしいのだけれども、それらが霞んでしまうぐらいひたすらこのふたりが強烈なのは、ふたりとも単なるブッフォではなく性格俳優的にさまざまな役を演じられる歌手だからこそなせる技なのかもしれません。 ・リッカルド・フォルト(V.ベッリーニ『清教徒』) ボニング指揮/デュヴァル、サザランド、フラジェッロ共演/フェレンツェ五月祭管弦楽団&合唱団/1964年録音 >少し毛色の違った役を。打って変わってこちらはブッフォではなく色仇とでもいうべき役ですが、これがまた力強い声でかっこいい!冒頭のアリアは普通に歌っているのにしみじみと悲しみが伝わってくるし、あのカバレッタの至難の部分もさらりと歌っています!2幕のフラジェッロとの豪快な重唱も聴き応えのあるもの。ボニング新盤の陰に隠れがちですが、それよりも若々しいサザランドに、無名ながら素晴らしい歌を聴かせるデュヴァルと評価すべき点の多い音盤です。 ・マンフレード(I.モンテメッツィ『三王の戀』) バジーレ指揮/ブルスカンティーニ、ベルティーニ、ペトレッラ共演/ミラノ・イタリア放送交響楽団&合唱団/録音年不詳 >これもまたマイナー作品になってしまって居ますが、伊国唯一のヴァグネリアンと呼ばれる作曲家の、しかし歌心のある短い作品。愛する女の愛を得られない若い王の悲哀を、瑞々しく力強い声で表現しています。ブルスカンティーニ演ずる老王との対比も良くついていますし、この作品を知るうえでは外すことのできない録音でしょう。 ・リゴレット(G.F.F.ヴェルディ『リゴレット』) モリナーリ=プラデッリ指揮/タッカー、ダンジェロ、サルディ共演/ナポリ・サンカルロ劇場管弦楽団&合唱団/1959年録音 >一にも二にもカペッキの名演技を聴く録音でしょう。モノローグあたりからの役になりきった演唱には思わず引き込まれます。“悪魔め鬼め”ももちろんそうですが、そこに持っていくまでの感情の昂ぶりの表現も全く見事ですし、そのあとの怒りも哀しみも痛々しいほど感じられます。能天気なタッカーがいい部分と悪い部分があるのを筆頭に、共演がやや冴えないのが残念です。 ・イァーゴ(G.F.F.ヴェルディ『オテロ』) セラフィン指揮/デル=モナコ、カルテリ共演/RAIトリノ管弦楽団&合唱団/1958年録音 >これこそ実はカペッキの真骨頂と言えるのではないかと言う録音!囁くようなp、力強く荒々しいfそのすべてがイァーゴのどす黒いキャラクターを的確に作り上げています!これ以上のイァーゴはなかなか考えられないというぐらい素晴らしい録音です。共演のデル=モナコはもちろん、こってりした声のカルテリも魅力的で、オテロを語るうえでは、欠くことのできない録音となっています。未聴の方は是非入手すべし! 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シノノメサカタザメ2013-04-10 Wed 00:22
![]() シノノメサカタザメ Rhina ancylostoma 先日江ノ島水族館に行ったら魅力的な顔をした奴らがたくさんおりまして、中でもこいつが一際だったんで(笑) 和名には「サメ」と入っているし、実際後半身はサメっぽいのだけれども、本当はエイの仲間。そうして観てみると頭のところなんかは平らでエイっぽい。ざっくりいうと鰓孔の位置が身体の下にあればエイ、側面にあればサメということになるが、確かに鰓孔は体の下方にある。 ![]() 頭は平らなんだけど、ただ単に真っ平らに作ってもそれらしくならないし、第一面白くもないので、どれだけあのごつごつ感も一緒にだすかで結構苦労しました。もうちょっと凸凹しててもよかったかな?このカット特にそうなんですが、アマゾンにいるナマズの仲間っぽくも見えちゃうんですよね^^; ![]() このカットを見てもらえると結構頭で苦労したのをわかってもらえるかしら…?いずれにしてもこのぐらいの位置から見ると一番それっぽく見えるのではないかとw あと第2背鰭が結構うまく折りだせたので、ヘリコプリオンでも応用できるかも。 全体に、あのかっこいい感じが出てれば嬉しいんだけど… 結構膨らんじゃったんで数ヶ所糊止めしてあります。 |
かはくの展示から~第15回/ホウボウ~2013-04-09 Tue 00:29
このblogは国立科学博物館の公式見解ではなくファンの個人ページですので、その点についてはご留意ください。
******************************** ホウボウ Chelidonichthys spinosus (日本館3階南翼) ![]() 今回の主役は食卓に上がることもあるかもしれない魚、ホウボウです。 見た目も名前も奇妙ですが由来としてひとつ言われているのは、なんと鳴き声。そう、こいつら、魚のくせに鳴きます(笑)もちろん喉を使う訳ではなく、浮き袋を使ってぼうぼうと音を立てるのです。ホウボウに限らず浮き袋で音を立てる魚は実は少なからずいるそうで、鳴く理由としては威嚇だとか求愛だとかと言われているのだとか。 ![]() 名前の由来としてもう一つ言われるのはその見た目に起因するもの。 この位置からだと良くわかりますが、3対の“脚”が生えています。もちろんこの“脚”は我々の脚とは縁もゆかりもなく、胸鰭の変形したものです。これをつかって「ほうぼう歩き回るから」というのがもう一つの説。どっちもホンマかいなって感じですがね(^^; この“脚”で歩き回ること以上に重要なのは餌を探すこと。 味覚があってそれで砂の中にいる餌を探すのだそうです。ヒトの目線からすると、口からこれだけ離れた機関で味を感じるのはとても奇妙な気もしますが、同じ魚類で言えばナマズの髭なんかは有名なところですし、案外いろんな形で味覚を感じている動物はいます。 ![]() このホウボウがいる展示は日本近海の海に生活する魚を集めた展示で、南北の分布及び深度による分布を示しています。 これを見るとわかるのが、海の底の方に暮らす魚の方が色が赤いこと。ホウボウはそこまで深いところにはいませんが、やはり底生生活なので色が赤いです。これはざっくり言ってしまえば赤い光がある程度以上のところより深くには届かないからで、陸上では華やかな赤に見える魚たちも実際に海で生活している映像をみると黒く見えます。そんなことを頭の片隅に入れながら展示を見ていただければ(^^) ちなみにここ含めかはくで展示されている魚は非常に出来の良い魚の剥製が多く、これは珍しいというのはラブカのところでお話ししましたが、色については基本的には実際の色を残すことが不可能なので、ほとんどの場合塗っているのだそうです。これはこういった形で展示するためには必要不可欠な作業で、そんなのも博物館の仕事なんだなと思っていただければ。 <参考> 野外観察図鑑4 魚/旺文社/1985 |
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