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Don Basilio, o il finto Signor

ドン・バジリオ、または偽りの殿様

ヤグラタケ

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ヤグラタケ
Asterophora lycoperdoides

博物ふぇす、結構な混雑だったのと自ブースの対応であんまり動けませんでした^^;
そんな中で回ることのできた数少ないブースが、素晴らしいキノコの写真と詳しい解説、そしてかわいらしい編みぐるみのきのこの展示されていた「役に立たないきのこの小部屋」の三橋さんのブースでした。
僕自身はそこまで詳しくはないのですがキノコは好きで(でなきゃあんな作品は作りませんわなw)、楽しみに観に行ったのです。ありがたいことに自分の作品もご覧になっていたそうで、ゆっくりこそできませんでしたが暫しお話しできまして、その中で「是非ヤグラタケを!」とご要望をいただいたんですね^^
そこで一念発起して作ったのがこちら。

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ヤグラタケはこの上に生えているやつで、他のキノコに寄生しています。クロハツに生えているイメージが強いので、黒いキノコから生やしています^^
聞いた話ではあまり寄生先のキノコは選ばないそうですが、やはり大きなキノコ、しっかりしたキノコにつくものの方が見つかりやすいとか。クロハツはその条件を満たしている、ということですね。

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寄生されてる側のキノコは栄養をすすられてるので、ちょっと崩れめを意識しました。
本当はもう少したくさんヤグラタケ部分をはやした方がそれっぽいかなとも思ったのですが、これぐらいの方がキノコの襞部分も作れるので、こんな感じで纏めてみました。

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実は昨日のやつより気に入ってるかも(小声)

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金星を代表するあの大怪獣

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金星を代表するあの大怪獣
The typical monster of Venus

ええ、キングギドラですwww
特撮や怪獣は言うほど詳しくないんですが、こいつはデザインが最高に完成されていてカッコいいので、形にしたいと思っていました^^
(とか言って実はかなり前に一度作っています。ただ、その時は尻尾が1本しか作れなくって、むりやりもう1本を作ったんで、尻尾が左右ではなく上下に分かれてしまったので、今はなかったことにしたいw)

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金紙ピント合いづらいなあ^^;
ヤツメウナギ日本を代表する大怪獣で監修を頼んだ彼に再びお願いをしました。特に頸回りをぐっと纏めるのが、紙の反発で巧くいかず、何度も習作を繰り返しました。で、ダメもとでホイルを使ったらこっちの方がうまく纏まったっていうww
顔がいまいちおざなりなので、ここはもっとどうにかしたいですね。

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あと背中が結構白いのもw
とは言え全体のフォルムだけ取れば、そこそこ見られる出来なんじゃないかと思います。

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この辺のカットがカッコいいかな^^

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実は全く別の方針でもう1作やってみています。
折り紙的にはこちらのほうが綺麗に纏まっているかな?

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ピントぼけぼけ^^;
とはいえこっちはおなかが思いっきり白いんで、前から見たところはいまいちなのですが。

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翼、結構気に入ってます。

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背面の重厚感はこちらの方がいいですね。
けっこうどっちがいいか悩みましたが、監修の友人にどちらも見せたところ、どちらも公式デザインのそれぞれ別の映画でのモデルに近いけど今回最初に紹介した作品の方がスタンダードなモデルに近くて「俺の趣味」というコメントをいただいています。
みなさんはどちらがお好きでしょうか?^^

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並べてみた。左の子の方が右の子より大きな紙を使って作っています。

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両方作ったらこれはやりたくなるよ、そりゃあ笑。
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Ankylosaurus

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アンキロサウルス
Ankylosaurus magniventris

有名な割に情報の少ない恐竜というのは少なくありません。
アンキロサウルスもご多分に漏れず、そういった種類のひとつ。曲竜の代表選手のようなイメージがありますが、わかっていることはあまり多くなく、エウオプロケファルスなどから推測しているところが大きいとか。そういう意味で、本作も「まあこういうイメージ」という作品です。

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Web上でお友達づきあいをさせていただいているSHUNさんやほかのtwitter仲間と話をしていて、「アンキロサウルスって有名な割にあんまりちゃんと折られていないんじゃない?」という話題に。全体のフォルムを取って鎧のディティールを諦めるか、鎧のディティールを取って全体のフォルムのふくらみからは離れるかになってしまっているのではないかと。
(ちなみにそのときに話題に出たフォルム派の私の旧作、ディティール派のSHUNさんの作品。いやあ、これぐらい僕もディティール折り出したいです^^;)

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で、一応両者を狙ったのが本作です。特に前方から見た時の曲竜の独特の体形が出るようには拘ったつもり。
なるべく細かく棘を折り出したつもりですが、もう少し整然と並ぶようにできた方が良かったですね。。。やはりこの御代は難しいです。

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尻尾結構気に入ってます^^
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Anomarocaris canadensis

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アノマロカリス・カナデンシス
Anomarocaris canadensis

博ふぇすの最中パフォーマンスとして大きな折り紙で作品を作っていた訳ですが、今回の出展作品にカンブリア紀の生き物が全然いなかったことに気づき、折角ならこいつを作ろうと。旧作があってそれも作ったのですが、即興でアップデートも図りました!笑
実のところ博ふぇす中に作ったものではこのアップデートの展望は見えたものの、完全にはうまくいかなかったので、終わってからいろいろと試行錯誤。Twitterでばらばらあげていたところ、結構いろいろなレスが入って面白かったので、折角ですから簡単に流れを記事に^^

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まずは旧作。これを作ったのも何年前だろう…下手すると10年ぐらい経つのかも(汗)1辺を8等分した観音折りが基本になっています。
完全にNHK教育のスペシャルの復元に引っ張られています。今見てもそんなに悪い出来ではないと思う一方で、やっぱりアノマロと言えば必ず出てくるあの円い口が作れていなかったのが心残りで、博ふぇすでもそれを目指しました。

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で、第一弾としてやってみたのがこちら。これも1辺の8等分が基本。
特徴は入れつつも割とデフォルメした感じで、これはこれで結構可愛い感じ^^色合いもあってなんだか岡本太郎みたいだけどw
旧作であった背中の段々を辞めた分、その余力を口に回した感じ。思ったよりも綺麗に円く纏まる方法ができました^^ただ、これだと頭に比して口がやや大きすぎな感じ。
背中の段々は、それこそNHKではしっかりついていた訳ですが、その後ないんじゃないかという説が出てきているということをお仲間のカンブリ屋さんに教えてもらい、このつるっとした造形になりました。

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ちょっとさっきのやつだとアノマロの最大の特徴である触手がいまいち目立たないのと、やっぱり口が大きすぎるなあと思ったので調整したのがこちら。1辺を12等分しています。
面構えがよりリアルになり、口ももう一段階複雑になりました。本当は肢もつけたかったんだけどうまくいかず、よって肢が見つかっていないアノマロカリス・カナデンシスになりましたw

やや頭でっかち尻すぼみながらこれ自体は結構気に入っていて、Twitterでの評判も良かったのですが、恐竜イラストレーターの山本聖士さんから「幼体?」との指摘をいただき、やっぱり頭でっかち尻すぼみなんだなと自覚しまして^^;もう一度手を入れることにしたのです。

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で、こうした紆余曲折を経て冒頭のやつが完成!最終的には1辺16等分がベースになりました^^
前段階でちゃっちかった尾鰭をかなり拡充し、逆に頭はやや小さくなってだいぶらしいプロポーションになったんじゃないかと思います。口も更にもう一段複雑になりました。

あんまり普段細かく上げていませんが、こうやって微調整しながら仕上げてるんですよ?笑
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オペラなひと♪千夜一夜 ~第七十一夜/ベル・カントの貴公子~

切り番回直前第六十九夜から始めた三“アラ”テノール。今回は2人目にして個人的には3人の中でも一押しのひとを。

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Il Conte di Almaviva

フランシスコ・アライサ
(Francisco Araiza)
1950~
Tenor
Mexico

この記事を書こうとして調べて驚きました!日本であれほど人気があったにも拘わらず、Web上の情報が全然ない!本当にえ?!って言う感じ。

怒り心頭に発してこう書きたくなるぐらいの人です。この人は名前だけではなく、実力は本当のもの。特に全盛期のギュッと実の詰まった甘みのある、やや太めの音色の声は最高。危なげのない高音も胸の空くような爽快な響きです。しかし、或意味でそれ以上に彼を特徴づけているのは、その転がしの技術の確かさでしょう。ロッシーニはじめベル・カントのレパートリーが一般化していく時代の旗手としての活躍ぶりが、自分の耳には強く残っています。

歌い口は非常に知的。といいますか様々なエピソードを見ても本質的に非常に知的な方なんだと思います。そういう意味で自分の力をいろいろな役で試してみたいという思いが強かったのでしょう、レパートリーは非常に広大で、近年ではローエングリン(R.ヴァーグナー『ローエングリン』)やローゲ(同『ニーベルンゲンの指環』)なども歌っているようです。
ただ、個人的にはこの人はやはりモーツァルトやベル・カントもの、それに仏ものあたりに絞って歌って行った方がよかったんではないかなと思っています。

<演唱の魅力>
彼もいい意味で過渡期の歌手だと言えるんではないかなと思います。
まず、声の美しさや歌の美しさが前面に押し出された世代の最後の歌手の1人が彼ではないかと思うのです。その豊かな響きの、蕩けるような美声は耳に心地よいのみならず非常に個性的で、明るい声ではあるのですが、伊声でも独声でもありません。やわらかくふくよかで、こってりとした稠密な音色。後のロッシーニ世代のように超高音まで出るタイプの声ではないのでハイCなどは非常にスリリングに聴こえます(もちろん一方で危なげは全く感じられない訳ですが)。直球の声の美しさ、個性、そして耳馴染みの良さと言う点では、録音史に於いても指折りの存在ではないかと個人的には思っています。且つそのスタイリッシュな歌いぶりもたまりません。ときにやんちゃさが感じられることもありますが、それが失点になるのではなく、却って登場人物の情熱的な感情が溢れ出ているように聴こえるというのはこのひとの大きな美点でしょう。尚且つ、声からも歌からもそこはかとなく気品が漂っているのもまた、テノールとしては大きい。貴公子然とした歌いぶりは、様々なテノール役の説得力を増していると言っていいでしょう。見た目にもきりっとした男前ですから、全盛期の舞台ではさぞかし素敵だったんだろうなぁと推察します。

一方で歌の駆動力・技術力が求められるようになった世代をリードした人物とも言えると思います。ロッシーニ・ルネサンスやベル・カントもの再興の流れの中で、黄金の声を持っていた前世代のひとびとがアジリタで苦戦する中、それをそつなくこなしてしまう。特にロッシーニの超絶技巧はそれまではルイージ・アルヴァなど非常に軽くて技術がある、本当に限られた専門的な歌手のみが担ってきていた訳ですが、アライサは他のレパートリーだけでも充分にやっていける声でありながら、細かい装飾も達者にやってのけるのです。ファン=ディエゴ・フローレスやアントニーノ・シラグーザと言った現代の名手を聴いた耳で聴いても、その転がしには遜色を感じません。

即ち、彼は一世代前のような輝きと個性のある声を持ちつつ、現代の歌手が求められる高度な技術も備えているという意味で両者のいいところを取った過渡期の存在だと思うのです。繰り返しになりますが、だからこそロッシーニがいい。中でもアルマヴィーヴァ伯爵(G.ロッシーニ『セビリャの理髪師』)は、彼の最大の当たり役だと言っても過言ではないように思います。貴族的な品の良さ、二枚目ぶり、若々しい奔放さと力強さ、そしてコメディ・センスとどれをとっても圧倒的。

<アキレス腱>
前述のとおり重たいレパートリーに移行したのはどうだったのかな……と言う感じですね。ヴァーグナーなどを歌うようになってから急に名前を聞かなくなったような気がするのは、私があまりヴァーグナーを好まないからでしょうか?どうしても気になってYoutubeに転がっていた割かし最近のローゲを聴いてみると意外なぐらい声は往時同様美しくて小躍りしました!が、このひとの声のリソースに合っているのかというと微妙かな。この役はキャラクターテナーが歌う方が好みと言うのもありますが。
重ための声とは言っても比較論的な部分はあって、ヴェルディの中期以降やヴァーグナーを歌うようなメガトン級の声という訳では、やはりないように思います。ヴンダーリッヒやゲッダ、クラウスあたりと同じような重さの声でしょうか、と言おうとしていずれもとびきりお気に入りのテノールで、自分のテノールの嗜好を再認識したりしました。

<音源紹介>
・アルマヴィーヴァ伯爵(G.ロッシーニ『セビリャの理髪師』)
マリナー指揮/アレン、バルツァ、トリマルキ、ロイド共演/アカデミー室内管弦楽団&アンブロジアン・オペラ合唱団/1982年録音
アバド指揮/ヌッチ、ヴァレンティーニ=テッラーニ、ダーラ、フルラネット共演/ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団/1981年録音
>何と言ってもまずはこの役です。この作品を聴く上での名盤は、断然アバド指揮の伝説の来日公演だと思います。これはもう圧倒的な集中力のある舞台であり、かつロッシーニの愉悦に溢れています。客席で爆笑している人たちが心底羨ましくなります。アライサは若々しく凛々しい声で冒頭から颯爽とカヴァティーナを歌い、やんやの大喝采を受けています。この頭のアリア、いい歌手がいい歌うたっても割とスル―されがちなのに異例のことです。そして、ドン・アロンソに変装して現れる場面の作り声がまた笑えます!よくあんな作り声で響かせられるなあと。ダーラとのとぼけたやり取りが堪りませんし、バジリオが登場してからの5重唱の合間とかでも度々その作り声をやらかすものだから笑うなと言う方が無理な相談です笑。一点残念なのがこの公演では終幕の大アリアがカットだということ。じゃあ彼が歌えなかったのかと言うととんでもない!!マリナー盤では恐らく史上最高と言っていい大アリアを披露しています。男ぶりのいい、この役を演じる歌手の中ではかなり太めの声で余裕綽々で超絶技巧をクリアして、軽々と高音を飛ばす圧巻の歌唱で必聴のものだと思います。共演陣と熱気ならばアバド盤(特にバルトロは断然ダーラです)なのですが、マリナー盤はスタジオ録音で音質も良く、アライサを聴くという意味では甲乙つけがたいです。

・ドン・ラミーロ(G.ロッシーニ『チェネレントラ』)
フェッロ指揮/ヴァレンティーニ=テッラーニ、ダーラ、トリマルキ、コルベッリ/カペラ・コロニエンシス&西ドイツ放送合唱団/1980年録音
>この役は複数録音していて、一般的にはフレデリカ・フォン=シュターデ主演の映像が有名だと思うのですが、アライサ自身のノリと言うところではこれが一番のような気がしています。まさに王子様!気品があり尚且つ若者らしい情熱に溢れています。この役はブッファにありがちな単なるつっころばしのテノールではなく、王子ではあるけれども主体的に自分の納得のいく妻を見つけようという、なかなかロックな生き方をしている役なので、彼ぐらい男気を感じられる歌声ならまさにうってつけだと言えます。録音の少ないヴァレンティーニ=テッラーニは淑やかな響きの声が癖になりますし、こうした役でのダーラのうまさは言うにや及ぶ、といった感じ。マニフィコ、ダンディーニ、アリドーロの3役全てで録音を遺しているのは恐らくコルベッリだけで、それはそれで凄いと思いますし、彼自体は大好きな歌手ですが、やはりこの役にはもっと深い声が欲しい。トリマルキはバルトロなどよりはマシですが、いいとは思えません。

・リーベンスコフ伯爵(G.ロッシーニ『ランスへの旅』)
アバド指揮/ガズディア、クベッリ、リッチャレッリ、ヴァレンティーニ=テッラーニ、E.ヒメネス、ヌッチ、ダーラ、レイミー、R.ライモンディ、スルヤン、ガヴァッツィ、マッテウッツィ共演/ヨーロッパ室内管弦楽団&プラハ・フィルハーモニー合唱団/1984年録音
>不滅の名盤。アバドが執念を燃やして復活させ、肝煎りのメンバーで録音していますから悪かろうはずがありません(笑)役作りなどあってないような演目ですが、気位が高く、真面目で融通の効かない若い露貴族を非常にらしく演じています。プレイボーイでやらしい感じのするヒメネスとキャラクターの違いが出ているのも◎一番の聴かせどころの重唱も共演の多いヴァレンティーニ=テッラーニと相性のいいところを聴かせていて、ワクワクする出来。歌合戦的な大アンサンブルでも存在感を発揮しています。

・エルネスト(G.ドニゼッティ『ドン・パスクァーレ』)
ヴァルベルク指揮/ネステレンコ、ポップ、ヴァイクル共演/ミュンヘン放送管弦楽団&バイエルン放送合唱団/1979年録音
>隠れ名盤。こちらは思いっきりつっころばしてきな面のある役ですが、ここでも持ち味のやわらかな歌が冴えています。ややオーバーな音楽のつけられているアリアも大真面目に歌っており、これが喜劇じゃなかったらホロっとさせられてしまうぐらい。思いっきりブッフォと言うメンバーではないので、例えば1幕のパスクァーレとの絡みとかもネステレンコともども面白おかしくなり過ぎず控えめな感じはするのですが、2人とも一番脂の乗っていた時期のたっぷりとした声なのでしっかり楽しめます。そのネステレンコはじめポップちゃんにヴァイクルと喜劇的ではなくても実力者揃いですから、完成度の高い録音になっています。

・レイチェステル伯爵ロベルト(G.ドニゼッティ『マリア・ステュアルダ』)
パタネ指揮/グルベローヴァ、バルツァ、ダルテーニャ、アライモ共演/ミュンヘン放送管弦楽団&バイエルン放送合唱団/1989年録音
>カットはあれど不滅の名盤。グルベローヴァとバルツァの白熱した女王対決がやはり全編中最大の聴きものだとは思うのですが、アライサ演じるレイチェステルの颯爽とした歌も忘れることはできません。この役、マンリーコ(G.F.F.ヴェルディ『イル・トロヴァトーレ』)やピンケルトン(G.プッチーニ『蝶々夫人』)に並ぶ伊もののテノールでも屈指のクズ男だと思うのですが、彼が歌うとひたむきに想いを吐露する様に思わず共感させられてしまう自分がいたりします(笑)ベル・カントものでは流石面目躍如といった感じで全編流麗な歌声!バルツァやアライモとの重唱も清新な歌で素晴らしいです。

・ザモーロ(G.F.F.ヴェルディ『アルツィーラ』)
ガルデッリ指揮/コトルバシュ、ブルゾン、ローテリング共演/ミュンヘン放送交響楽団 & バイエルン放送合唱団/1992年録音
>滅多に演奏されない演目の貴重な音盤。彼が歌うことによってこの時期のヴェルディはベル・カントの流れの中の作曲家であるということを強く感じさせる仕上がりになっているように思います。初期のヴェルディの迸る熱気と言うよりは歌の響きの美しさを聴かせると言いますか。かと言って温度の低いつまらない歌に終始している訳ではなく、アライサらしい若々しいパワーを感じさせる歌唱。コトルバシュもアライサと同じような路線、ブルゾンは朗々と歌っていますが、或意味一番ヴェルディらしい歌ですね。全体にはマイナー作品を楽しむには十二分の水準ではないかと!

・タミーノ(W.A.モーツァルト『魔笛』)
フォン=カラヤン指揮/ヴァン=ダム、オット、ホーニク、マティス、ペリー、クルーゼ、C.ニコライ、トモワ=シントウ、バルツァ、シュヴァルツ共演/BPO&ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団/1980年録音
>纏まりのいい演奏だと思います。と言うかフォン=カラヤンらしく脇役が豪華ですね~なんだこの3人の侍女(笑)アライサはこの役でも凛々しい王子様。一方で登場時の情けない感じもハマっています。彼の声は伊ものや仏ものではそれほど思わないのですが、独ものを歌うとやはりヴンダーリヒやへフリガー、シュライアーのようなすっきりとした声とは違う、脂身のあるラテンな声だと感じさせます。同じように歌っていても、その分やんちゃな印象のユニークなタミーノになっていると思います。

・ホフマン(J.オッフェンバック『ホフマン物語』)
テイト指揮/レイミー、リント、ノーマン、ステューダー、フォン=オッター、ゴーティエ、カッシネッリ、マルティノヴィチ、パーマー共演/ドレスデン・シュターツカペレ&ライプツィヒ放送合唱団/1992年録音
>新しい楽譜が発見されて以降の演奏の中では楽しめるもののひとつ。ノーマンのアントニアだけは歌は兎も角貫禄があり過ぎてどうかなとも思いますが、残る共演陣はキャラによくあった歌唱を聴かせて呉れていますし、テイトの指揮も軽やかでなかなか。アライサは40代頭の成熟した声で、ここでもまた若々しいキャラクターを作っています。ホフマンと言う人をどのような人物と解釈するかについては、かなり意見が分かれるところだとは思うのですが、ここでは凛々しくハンサムな風貌が、歌からも滲み出ているようです。非常に活きの良い歌。やけっぱちっぽさや空虚さを感じさせる酒の歌も素晴らしいですが、冒頭のクラインザックの歌の最後では予想外の強烈な高音を付加していて、痺れます。

・ファウスト(C.F.グノー『ファウスト』)
デイヴィス指揮/ネステレンコ、テ=カナワ、シュミット、コバーン、リポヴシェク共演/バイエルン放送交響楽団&合唱団/1986年録音
>並みいる競合盤の中ではやや地味かもしれませんが、マルゲリータを除けば悪くない演奏だと思います。個人的な印象ですが、ここで取り上げた他の録音よりも重めの声を出しているようで、そのあたりをきっちり使い分けて役に臨んでいることがわかります。そしてこうした出し方でも艶やかな響きで耳に心地いい。彼の声とスラヴな輝かしいバスのネステレンコが非常によく合います。如何にもこの時期に旬だった歌手の競演と言った風情で聴きものです。パスクァーレのコミカルな重唱でも楽しませて呉れた彼らですが、こちらのシリアスな重唱がやはりいい。むしろ、あのパスクァーレの歌唱陣でファウストを聴けたら、独特の魅力のある名盤になったのではないかという気がします。
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Deinocheirus 2014-2 & Spinosaurus SERENO

今回はマイナー・チェンジした作品を2つ。

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デイノケイルス 2014-2
Deinocheirus mirificus
version 2014-2

ひとつめがこちら、私の今年のイチオシ恐竜デイノケイルスです。
40年もの長きに亘って知られていた巨大な腕をモチーフにした作品、2014年に全身の情報がわかってから制作した作品を以前挙げていた訳ですが、今回はその全身の作品の第2版ということになります。

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実はこの第2版、意図的に作ったものではありません^^;
博物ふぇすで私が出したブースのカンパ特典抽選会のシークレットのひとつとしてデイノケイルスを制作していたのですが、いざひさびさに作ってみたら頭の折り方がわかんなくなってしまったんですね!で、これはやばいといろいろ弄っているうちに、何と元の作品よりも出来のいいものが出来てしまった!!!www

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具体的には特に頭の感じですね。カモのようなくちばしの細長い頭がこちらの方がいい雰囲気で出ていると。
という訳でひょんなことから第2版が誕生した訳です^^;

ちなみに今回名刺を新調してデイノケイルスをフューチャリングしたんですが、そのときはまだこいつは生まれてなくて思いっきり旧作が真ん中に鎮座ましましています。。。無念残念。。。笑。

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スピノサウルス
Spinosaurus aegyptiacus
version SERENO

スピノサウルスも博物ふぇすで展示した訳ですが、ちょうどその日頃ナショジオ英語版などで、ポール・セレノ博士が絡んだスピノサウルスの新たな組立骨格の話が上がっていました(記事こちら)。

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で、早速作ってみたのがこちら、帆をちょっと複雑にした以外は特段のことをしていないのですが、結構全体の印象が変わりますね。どうも足の折りが安定せず、毎度3本指にはしてるんだけど毎度折り方が違う気がする^^;

この感じでアクロカントも再改訂掛けられるかな?←えーまたやるのー?
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【報告】博物ふぇすてぃばる2014

さて、気づけば5日ぐらい経ってしまっている訳で、一応きちんとご報告をしなければですね^^;

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再三告知していた8/9&10の「博物ふぇすてぃばる!」、日曜日には颱風の影響による悪天候にも見舞われましたが、最終的には大盛況のうちに終了しました!2日間でなまけっとを上回る3,800人!これ2日とも晴れてたらえらいことになったんじゃないかしら笑。何にしても本当に良かったと思います。
いろいろありながら準備をされていた主催及び小委員会のみなさん、当日会場を回してくださったスタッフのみなさん、魅力的なブースを用意してくださった出展者とワークショップのみなさん、そして当然ながら当日会場にお越しいただいた出展者のみなさん、本当にありがとうございました!

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今回はなまけっとのときのように生き物中心ではなかったことに加え、諸事情によりオールジャンルブースになったということもあり、愛読する宮澤賢治の世界をどうにかして形にしたいと想い、この『イーハトーヴの旅』を制作しました。数ある作品の中からどれをピックアップするのか、それを実現するには何を折らなければならないのか、それをどんな紙で折るのか…こうしたことから自分の得意とする動物以外のものをいろいろと考えるきっかけになり、非常に勉強になりました。特に一番苦手な植物というジャンルから、余り折られていないと思われるイネを折ることができたのは大きな収穫でした。
作品の配置や照明も沢山の助言をもらいながら形にできました。基本的に作るのは好きなんだけど、どう見せるかにあんまり関心がなかったんで^^;、これは勉強になりました。
最後まで悩んだ外観も、照明と布のおかげでシンプルながら印象的なものにできたのではないかと思っています。

そういう意味で作った本人としては勉強にもなったし面白くもあったのですが、今回のイベント・客層に合っていたかと言われると、やはり微妙でしたかね…制作する前からある程度予想はしていたのですが、やはり今回のイベントは生き物系の物販に関心がある方や理系分野に興味のある方が中心でしたから、ウケは悪かったですね。

とは言え、自分のギャラリーですし、好きなことやれたんで悔いはありませんが!

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そういう意味ではもう一つの特集展示である『復元今昔物語』の方が人気はありましたね。
どちらかというと色数の少ないイーハトーヴに対し、カラフルな色遣いを意識したというのもたぶんありますが、需要に合っていたというのが正解かな?恐竜が中心だったんだけど、どちらかというとヘリコプリオンとデスモスチルスの方が人気があったような印象。イチオシはデイノケイルスのつもりだったんだけども^^;

復元はどんどん新しくなるけれども古い復元にも敬意を払いたい(というか古い復元もかっこいい!)ということで前々からやってみたかった展示なのでした。今回はなんだかんだで結構渋好みなラインナップだったように思うので、もう少しベーシックなやつも今後やってみたいかも。そういう意味ではこの展示は第二集が出る可能性もあるかな。

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そして今回ためしに作ってみた小冊子!これも苦労の甲斐があって大変好評頂けました!
500円以上のカンパの特典ということで準備していたのですが、正直そんなに魅力がなかったらあれだなあと思っていたのですが、そんなこともなかったようでほっとしています。これも初めてのことだったん配置とか構成とかかなり苦戦し、まだまだ望むべきところもありますが、形になってよかったです^^
ちなみに在庫はまだありますので、もしあれでしたらおっしゃってください。

ブースの写真を撮り忘れるという痛恨のミスを犯したのですが、今回は会場の端だった上に初日は隣のブースの方がいらっしゃらなかったのでどちらかというと閑古鳥ブースになりそうな気配が開場すぐはしたのですが、呼び込み(主に相方の)が功を奏して最終的には多くの方に楽しんでいただくことができたように思います^^今回ぐらいの規模の会場なら立地的な部分は呼び込みでいかようにもなるということですね。呼び込み大事。何処でもそうですが「正方形1枚」「鋏使ってません」というとみんな興味持ちますね。あと「紙の大きさは?」「どのぐらい時間かかるの?」「折り方どうやって考えるの?」という質問が多かったですね~最初のはともかく残り二つは殆ど意識しないから結構きつかったw次回は考えとかなきゃ^^;
あと看板はロゴを使ったんですが、引き延ばすとわかりづらくて黒縁を一部したら一気にわかりやすくなりました。黒って大事ね。
はじっこのブースの良さとしてはバックヤードががっつりとれたこと!これはありがたかった!

イベント全体としては初回だということもあって、まだまだこれから発展できるんじゃないかなと思います。
今回はやはりクリエイター系の人が中心で、全体の印象としてはなまけっとと同じ物販イベントという感じだったので、例えば発表専用ブースを作って博物館・大学など研究関係者を呼ぶとか、ガクタメをステージ発表形式希望制にして参加しなくても物販はできるけど参加するとブース代が安くなるとか…まあこういうのは岡目八目な勝手な意見でしかありませんが、次回以降も動員数をキープしていくには、いろいろと工夫がいるような気がします。

最後になりましたが、今回の展示にあたって出展者としてダメダメだった自分にいろいろと喝を入れ、配置や照明、小冊子の文章にいたるまで助言を入れ、当日は売り込みとして大活躍してくれた相方と、スタッフとしても活躍し小冊子の構成や写真のことでたくさんの助言を呉れた妹に、心からの際限のない感謝を!
特に相方の尽力がなければ私のブースは本当に今回はつまんないブースになっていたと思います!ありがとう!!

次回の出展の際にもどうぞよろしくお引き立てを。
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