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Don Basilio, o il finto Signor

ドン・バジリオ、または偽りの殿様

弄臣図 "Si, vendetta"

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弄臣図 "Si, vendetta"

久しぶりに折り紙の投稿、G.F.F.ヴェルディの『リゴレット』をテーマにしました。
別の作品を作ろうと思っているうちに偶然人型ができまして、これまで作ってきた日本画的な枠の中でオペラの登場人物を描いてみようという意欲が湧いたものの、途中でいろいろな他のアイディアなど神保町WKでの頭蓋骨シリーズが間に入っているうちに完成が先延ばしになっていたので、どうにか記事にできてほっとしています。

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場面としては2幕の終わり、愛娘を弄ばれて怒りに震えるリゴレットが復讐を誓うところです。
そこまでの娘とのやり取りとかつて自分を呪った伯爵の言葉で、音楽も感情も高まったところで、ふっと静かになって復讐を語りだす……ここから先、怒りの爆発に向かっていく直前の、嵐の前の静けさのようなところを表現できたらと思いました。

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試作をいくつか作った時にはうまくすると自立できることも分かったのですが、この平面の世界に落とし込んだ方がむしろ緊張感がうまく引き出せるように思いました。その目的をより達成し、爆発的な怒りの籠った姿を表現するため、敢えてやや無理のある体勢を取らせています。
個別のパーツとしては、顔の表情以上に手の表情に苦労しました。演劇をやる人が手を大事にするのがよくわかった気がします。

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背景はごちゃごちゃ作りこまず、暗黒の中にぽつんと置くことでリゴレットの孤独を感じさせたいと思いました。

ただ、最近観て感銘を受けたフランス人間国宝展などを思い返すと、もっともっと抽象化させた世界の中でこうしたことを表現できたかもしれない、と感じています。
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