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Don Basilio, o il finto Signor

ドン・バジリオ、または偽りの殿様

オペラなひと♪千夜一夜 ~第百十一夜/天使のピアニシモ~

それなりに書き出しまで準備している記事があるのですが、突然舞い込んだ訃報を受けて再び予定変更。
追悼記事が続かざるを得ないのは大変悲しいことです。この人もまた本当はもう少し時間をかけて準備したいなあと思っていた人だったのですが。

MonserratCaballe.jpg
Lucrezia Borsia

モンセラート・カバリエ
(モンセラ・カバリエ、モンセラット・カバリエ)

(Montserrat Caballé)
1933〜2018
Soprano
Spain

20世紀後半に活躍した西国のソプラノ。
ベル・カントから始まってヴェルディからプッチーニまで伊ものを総なめにし、R.シュトラウスに至るまで広大なレパートリーを誇っていた他、かのフレディ・マーキュリーとのデュエットも知られています(むしろひょっとするとこの晩年のフレディとの曲で彼女を知っている人も少なくないのかもしれません)。まさに録音史上の巨星ともいうべき存在と言えるでしょう。

信じられないことですがそんな彼女もキャリアの初期は大きな役がもらえず大変苦労をしたと言います。更にびっくりなのがそのころのレパートリーのメインはあくまで独墺系のもので、生涯ベル・カントものに行くつもりはなかったのだとか。そこに突然『ルクレツィア・ボルジア』(G.ドニゼッティ)の題名役の代役の話が舞い込み、公演は大成功、一晩にして彼女は大スターの座に就いたというのですから人生はわからないものです。

夫のベルナベ・マルティもまたオペラ歌手であり、高音に強い素晴らしいテノールでしたが、「家に2人歌手はいらない」という理由で引退したのだとか(ただ実際には健康上の理由という話もあるようです)。カバリエ曰く、「ピンケルトンに結婚してもらえた蝶々夫人は私だけだと思う」。
一方で2人の娘の1人モンセラート・ベルティもまたオペラ歌手になっています。何につけてもエピソードに事欠かない人ということは言えそうです。

とはいうものの恥ずかしながら自分は少なからずカバリエの音源には接していながら、そのあまりにも広大な業績を前に彼女の持ち味や藝を掴みかねている感があり、これまでここでのご紹介が叶わずにいた人です。未だに私が聴くことができているのは伊もののごく一部に過ぎないのですが、これを機に改めて聴き直したところから少しでも彼女を偲ぶことができればと思います。

<演唱の魅力>
「モンセラート・カバリエ 」の一番の魅力を挙げよと言われれば、私ならば「繊細な弱音」と答えると思います。と言いますのも、繰り返しますが彼女の広大なレパートリーは追い切れていないものの、知るかぎりいずれの音源でも彼女が一番勝負をかけているのが、細くても強く切れない、まさに絹糸のような弱音だからです。そして強力だからこそその弱音を操って繊細な表現をすることができる。その技術にかけては未だにカバリエを超える人は出ていないでしょう。決めどころというべき場面で彼女が聴かせる細く美しい高音は非常に耽美的で、その瞬間に時間が止まってしまったのではないかという錯覚に陥るほど。そしてそれをベル・カントでもヴェルディでもプッチーニでも成し遂げてしまうところに彼女の凄まじさの一端はあるように思います。

彼女のキャリアを切り拓いたのがドニゼッティということもあり、また彼女のレパートリーでそれらが重要な位置を占めてもいますから、ベル・カントこそがカバリエの真髄というご意見は十分理解できます。ただ一方で、ロッシーニ・ルネッサンス以降登場してきた歌手たちと較べると転がしの技術にはまだ遜色があるのもまた確かではないでしょうか。それでもなお彼女のベル・カントの魅力を不朽のものとしているのは、他でもない彼女の藝術的センスでこそにあるように私には思われるのです。カバリエの甘みのある豊かな響きの声は単に美しいというだけのものではなく、芯の通った力強さをも兼ね備えており、だからこそ彼女はジョコンダ(A.ポンキエッリ『ジョコンダ』)やアイーダ(G.F.F.ヴェルディ『アイーダ』)、R.シュトラウスの諸役といったドラマティックなレパートリーでも名声を得ることができたのだろうなと(恥ずかしながらシュトラウスは未聴なのですが『サロメ』と『アラベラ』を聴きました!アラベラは素晴らしかったので詳しく追記します^^)感じます。普通はこうした役を歌う人が同時にベル・カントなど歌えるものではありません。そうした強さのある声をしなやかに使って繊細に表現するセンスが、カバリエを偉大な歌手たらしめているように思います。

<アキレス腱>
上述のとおり今飛ぶ鳥を落とす勢いでロッシーニやドニゼッティを歌っている人たちのメカニックな歌唱を愛する人にとっては、コロラテューラの精度はもう一声と思われるところが少なくないかと思います。その分弱音のコントロールでたくさんの美しい瞬間を作っているのが彼女の持ち味ではあるのですが、それが音楽の流れを止めてしまっているという批判もまたありうるのかなとは思います。
私自身がそうでしたが、あまりにも様々な役を歌っているので返ってその魅力が伝わりづらくなってしまっているところは残念ながらあるかもしれません(私は今回記事を書くために色々と聴き直して大変反省したクチです……)。

<音源紹介>
・ルクレツィア・ボルジア(G.ドニゼッティ『ルクレツィア・ボルジア』)
ペルレア指揮/クラウス、フラジェッロ、ヴァーレット、エル=ハーゲ共演/RCAイタリアオペラ管弦楽団&合唱団/1966年録音
>カバリエを一躍有名にした名刺がわりの役のスタジオ録音で、十八番をこうして良い音で楽しむことができるのは嬉しいかぎりです。この音盤全体にかなりハイレベルなのですが、登場アリアの第一声からお得意のppの高音を繊細に響かせていて、ここでの主役は紛れもなく彼女であることを感じさせます。最後のカバレッタは作曲者のドニゼッティ自身があまり望まなかった改訂でつけられたものだそうですが、ここでの歌唱は迫真のもので本録音の白眉といって良いでしょう。彼女にしては珍しく声を荒げたり走っている部分もありますがそういった部分がむしろ大きくプラスに働いていると思います。気品溢れる背筋の通った歌唱を披露するクラウス、味のあるバスを広い音域で響かせるフラジェッロなど共演も端役にいたるまでお見事。
ペルレア指揮/ヴァンゾ、パスカリス、ベルビエ共演/アメリカ・オペラ協会管弦楽団&合唱団/1965年録音(2020.5.9追記)
>本当はこのカバリエの記事を書くまでに手に入れたかったのですが叶わなかった録音を漸く耳にすることができました。彼女の名を世に知らしめたという1965年NYでの上演の録音だと思います。CD2枚分の時間があっという間に溶けてしまう、聞きしに勝る圧倒的名演です。登場した瞬間からカバリエには未来のディーヴァの貫禄が感じられ、一縷の不安も抱かせないまま聴き手を歌の世界へと惹き込みます。このカヴァティーナの緊密で繊細なこと!精度の点で決してスタジオ録音に劣りませんし、集中力の点でスタジオ録音を大きく上回ります。重唱ではヴァンゾ、パスカリス、ベルビエが異様な熱気のある歌唱を繰り広げていることもあり、これぞ伊ものの醍醐味という丁々発止のやり取りが凄まじいです。終幕はスタジオとは異なりジェンナーロとの重唱と簡潔なフィナーレによるもので、ドニゼッティが描きたかったドラマティックな音楽の効果を最大限に発揮していると言えるのではないでしょうか(スタジオでのカバレッタ・フィナーレと聴き比べられるのも嬉しいところ)。本作の大推薦盤です。

・イモージェネ(V.ベッリーニ『海賊』)
ガヴァッツェーニ指揮/ベルティ、カプッチッリ、R.ライモンディ共演/ローマRAI管弦楽団&合唱団/1971年録音
>夫のマルティとはいくつか共演盤があるようですが、全曲のスタジオ録音はこれだけのようです。いまのベル・カントの水準ではカバリエもベルティもカプッチッリもコロラテューラの技巧ではたどたどしいのですが、声に圧倒的な魅力があって全く不満を感じさせません。とりわけカバリエの声の濃密な美しさは際立っており、彼女の魅力を楽しむ上での代表的音盤の一つと言って差し支えないと思います。マルティはやや締まるような癖もあるので好き嫌いは出るように思うのですが、明るく華々しい歌いっぷりは天晴れで、録音が少ないことが心底惜しまれます。カプ様はアリアもありますがむしろアンサンブルでいい味を出しています。3人が絡むいくつかのアンサンブルは伊もの好きにはたまらないものでしょう。チョイ役のライモンディも美味しいです。

・マルゲリータ(A.ボーイト『メフィストーフェレ』)
ルーデル指揮/トレイグル、ドミンゴ、アレン共演/LSO&アンブロジアンオペラ合唱団/1973年録音
>カバリエにはこの他にエレーナを歌ったデ=ファブリツィース盤(ギャウロフ、パヴァロッティ、フレーニ共演!)もあり、そちらの方が有名かと思うのですが、個人的にはマルゲリータの方が彼女の持ち味が引き立つように思います。聴きどころは何と言っても昇天の場面のアリアで、ppで高音を濃やかに表情づけするテクニックは正に至藝というべきもの。時間を忘れて聴き入ってしまいます。早逝したため録音の少ないトレイグルはお得意の悪魔役だけに悪くない歌唱ですがちょっと大仰すぎる気もしなくもなし、ドミンゴも立派ですがこの役には声の厚みがありすぎるきらいもなくもなし、ですがまあいずれも贅沢な悩みでしょう。若いころのアレンが何故か通常テノールが歌うヴァグネルを歌っているので面食らいますが、歌は悪くないです。

・マティルド(G.ロッシーニ『ギョーム・テル(ウィリアム・テル)』)
ガルデッリ指揮/バキエ、ゲッダ、コヴァーチ、メスプレ、ハウウェル、ビュルル共演/ロイヤルフィル管弦楽団&アンブロジアンオペラ合唱団/1973年録音
>この作品の仏語版の代表的な録音です。ロッシーニの作品ですから曲芸的なコロラテューラもありながら全体的には重厚な大作ということもあって厄介な役だとは思うのですが、彼女のしなやかで馬力のある声と細かい動きでのフットワークの軽さがうまくはまっています。全く性格が違う2つのアリアがあって大変だと思うのですが、最初のものは彼女お得意のガラス細工のような柔軟で凛とした弱音で美しく仕上げていますし、2つ目のドラマティックな歌もパワフルで満足感があります。あまり共演はないように思うのですがこういうところゲッダと相性がいいようで、2幕の重唱はじめアンサンブルの完成度が高いです。物語の軸として堂々と構えるバキエも魅力的ですし、沢山いる共演陣も欠けがありません。

・ジョコンダ(A.ポンキエッリ『ジョコンダ』)
ロペス=コボス指揮/カレーラス、マヌグエッラ、ナーヴェ、ジャイオッティ、ペイン共演/スイス・ロマンド管弦楽団&ジェノヴァ大歌劇場合唱団/1979年録音
>スタジオ録音で豪華なメンバーと共演した名盤もあり、そこでのカバリエの歌唱はより精緻なもので魅力的なのですが、全体の出来では個人的にはこちらのライヴ盤を推したいです。よりスケールが大きく熱の籠った堂々たる歌で、こういうものを聴けば彼女をドラマティックなソプラノと判断する方がいらっしゃるのもよくわかりますし、R.シュトラウスなどを歌っていたのも頷けます。ところどころ不安定なところもあるのですが、そこもむしろこの役のリアリティに一役も二役も買っているのです、特に素晴らしいのは2幕の重唱と終幕で、私自身は低音趣味なこともあっていずれもそれまであまり熱心に聴いていなかった場面なんですが、そこでのあまりにも鬼気迫る歌唱に仰天し、一気に気に入ってしまったほど(笑)ここでは共演しているカレーラス、ナーヴェ、そしてマヌグエッラも凄まじい形相が伝わってくるような歌で、この作品の他の録音と較べても随一の完成度ではないかと思います。ジャイオッティの貫禄の歌いぶりやペインの深みのある美声、そしてロペス=コボスの力感溢れる指揮、いずれも欠けない完成度の高い演奏です。

・アマーリア(G.F.F.ヴェルディ『群盗』)
ガルデッリ指揮/ベルゴンツィ、カプッチッリ、R.ライモンディ、マッツィエッリ共演/ニュー・フィルハーモニー管弦楽団 & アンブロジアン・オペラ合唱団/1974年録音
>カバリエはガルデッリのヴェルディ初期オペラの録音シリーズに結構参加していますが、自分の知る限りこれが一番はまっているように思います。あまり演奏されない一方でやるとなるとかなりのレベルの歌手が揃わないと面白くないという超厄介な作品で、とりわけ技巧面でアマーリアは相当大変なのですが、ここでの彼女は貫禄の演唱。ちょっとこれを超えるのは難しいかもなどと思ってしまうぐらいです。2幕の冒頭のアリアはいつもの美しい高音はもちろん転がしもバッチリで、秘曲を思う存分楽しむことができます。共演ではこういう屈折した役をやらせたら抜群にうまいカプッチッリが秀逸でゾクゾクするような力演。ベルゴンツィ、ライモンディも充実しており、この作品を知るにはまず薦められる音源です。

・レオノーラ・ディ=ヴァルガス(G.F.F.ヴェルディ『運命の力』)
パタネ指揮/カレーラス、カプッチッリ、ギャウロフ、ナーヴェ、ブルスカンティーニ、デ=パルマ共演/ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団/1978年録音
>これもまた無敵艦隊的なライヴですね^^彼女の声の芯の強さが、役柄の直情的なキャラクターに合致しているように思います。それに彼女ぐらい美声だと、このヒロインに聖性がぐんと引き立つように思われるのです。特に2幕後半のアリアから修道院長にいざなわれて修行に入って行く場面の美しさは、この演目の理想的な演奏といっていいのではないでしょうか。懐が深く堂々たる歌をうたうギャウロフと、清澄な声で純真な美しさを体現しているカバリエとのアンサンブルは荘厳な雰囲気をたたえています。カレーラスやカプッチッリといった残る共演陣も極めて優れたパフォーマンス。

・アイーダ(G.F.F.ヴェルディ『アイーダ』)
ムーティ指揮/コッソット、ドミンゴ、カプッチッリ、ギャウロフ、ローニ、マルティヌッチ共演/ニュー・フィルハーモニア管弦楽団&合唱団/1974年録音
>これも既に何度も取り上げている超名盤ですね。レオノーラもそうなんですがカバリエの声は通常この役でイメージされる声質よりもかなりリリックです。しかし、充実した芯のある響きで不足を感じさせないユニークな演唱となっています。やはり天国的なppを聴かせる場面での余韻が大きな魅力となっており、とりわけ魅力的なのは3幕でしょう。ムーティの指揮は若々しいですし、共演もご覧の通り強力。何度聴いても誰が登場しても「うまいなあ」と唸らされます。

・リュー(G.プッチーニ『トゥーランドット』)
メータ指揮/サザランド、パヴァロッティ、ギャウロフ、ピアーズ共演/LPO&ジョン・オールディス合唱団/1972年録音
>プッチーニがお好きな方からすると異色の演奏ということになるのでしょうが、私にとってはお気に入りの『トゥーランドット』です。豪華絢爛きらびやかな音楽ですが、サザランド、パヴァロッティともこの役を演じるには軽い声のメンバーで清新な印象に仕上げています(彼らもまた重さではなく声の充実度で十分な聴きごたえ)。プッチーニですからカバリエもまた重厚ドラマティック路線で歌っていてもおかしくはないわけですが、この中で弱音を駆使したユニークで可憐なリューを作り上げ、他の主役陣と見事にバランスを取っています。特にカラフを説得する最初のアリアは絶品。重厚なギャウロフとの対比もよく、死の場面からティムールの嘆きはこの演奏の中でも印象に残るところです。

・アラベラ(R.シュトラウス『アラベラ』)2020.9.26追記
レンネルト指揮/ニムスゲルン、ミリャコヴィッチ、コロ、モル、ドミンゲス、ガイファ、スコヴォッティ共演/ローマ放送交響楽団&合唱団/1973年録音
>亡くなった時には抑えられていなかったカバリエのシュトラウス歌手としての側面をやっと知ることができました。溌剌とした若々しさを感じさせるポップと成熟した女性らしいデラ=カーザのちょうど間ぐらい、大人へと相貌が変わって行く一瞬を切り取ったような絶妙な空気をまとっているのは、彼女の透明感のある美声がなせる技でしょうか。独系の歌手たちに比べると歌も声も押し出し過ぎないと言いますか、非常に慎ましやかで上品なお嬢様というこの役の側面が際立っているように思います。オケも豊麗で大満足ですし、共演陣もコロにモルにミリャコヴィッチにとびっくりするほど揃っていますが、とりわけ素晴らしかったのが相手役マンドリカを演じるニムスゲルン!彼独特のいがらっぽい声が荒々しさを感じさせつつ、背筋の伸びたキリッとした歌唱を楽しめます。

・ノルマ(V.ベッリーニ『ノルマ』)2021.3.17追記
パタネ指揮/ヴィッカーズ、ヴィージー、フェリン共演/トリノ王立管弦楽団&合唱団/1974年録音
>こちらも存在だけは随分前から知っていたのですが、最近になっ手ようやく視聴したもの。年代もあってスタイルは近年のベル・カントから行けば随分重々しくてカットも多く、言ってしまえばカラスを引きずっているノルマではあるのですが、ドラマティックな伊ものがお好みの方であれば十分に楽しめる演奏です。こういう演奏ですとカバリエの声では軽やかすぎるのではないかと危惧しますが、調子も良かったのでしょう、声の重さ以上に中身がぎっしり詰まった響きで舞台を牽引しています。もちろん名高いアリアも彼女らしいppを駆使した名唱なのですが、それ以上に2幕の集中力の高い歌に聴き惚れます。とりわけヴィッカーズとの重唱は彼の力演もあって必聴。ヴィージーとフェリンはやや地味な感じもなくはないですが、それぞれ立派な歌唱です。

・ジェンマ(G.ドニゼッティ『ヴェルジーのジェンマ』)2021.4.21追記
ガット指揮/ブルゾン、カセッラート=ランベルティ、リナウド共演/ナポリ・サン・カルロ劇場管弦楽団&合唱団/1975年録音
>現代でも必ずしも広く演じられてはいませんが、彼女が蘇演しているお蔭で耳にすることができる演目です(なんと3つも全曲録音があります)。ここまででも繰返し述べてきたとおり、そのベル・カントでの美質は転がしよりも繊細な弱音に感じられる傾向があるわけですが、ドニゼッティがよりドラマティックな表現を目指したことが窺える本作では、カバリエもまた力強く踏み込んだ歌に挑戦しているのが大変印象に残ります。とりわけ終幕のアリア、カバレッタは入魂の歌唱です(同時に声への負荷を考慮して、彼女がのちにこの役を封印するのもよくわかるのですが)。共演ではなんといってもブルゾンが素晴らしい!逞しいながらも陰翳のある声と歌がお見事です。
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