Don Basilio, o il finto Signor

ドン・バジリオ、または偽りの殿様

かはくの展示から~第21回/カナダオオヤマネコ~

このblogは国立科学博物館の公式見解ではなくファンの個人ページですので、その点についてはご留意ください。

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カナダオオヤマネコ
Lynx canadensis
(地球館3階)
130713_1309~01

今回は地球館3階の剥製のエリアから。どうです、非常に躍動的な剥製でしょ?(^^)
このエリアの剥製は非常に出来のいいものが多いのですが、その話はまた今度。

さてここで問題です。本州にはヤマネコは棲息しているでしょうか?



え~いるんじゃないの?と思ったそこのあなた、残念ながら間違いです。
本州には野生のヤマネコは棲息していません。
日本に棲息している野生のネコ科の生き物は、イリオモテヤマネコとツシマヤマネコしかいないのです。そして彼らにしても厳密には生物学的なヤマネコからは外れます。学名では、ヤマネコはFelis属、イリオモテヤマネコとツシマヤマネコはPrionailurus属ですから、そもそも属からして違う訳です(属の説明はこちら)。そういう意味ではヤマネコは日本には棲息していません。
※ノラネコは人間の持ち込みなので、ここではちょっと除外させてくださいね^^;

そんなヤマネコのいない国からすると、「ざっつ・ヤマネコ!」というイメージなのが今回の主役オオヤマネコですが、こちらにしてもLynx属ですからさっきの話で言うとヤマネコではありません。オオヤマネコはオオヤマネコ、ということになります。実はlynxはそのまま英語でも彼らの仲間のことを指しますが、これは「オオヤマネコ」と訳されるより「ヤマネコ」と訳されることの方が多いようで、どうやらそのあたりからイメージの混同が起きているようです。ちなみに「ヤマネコ」はwild catとそのままですね笑。
また、実際このオオヤマネコ、欧州人にはかなり身近な存在だったようでlynxということばを使う表現も多ければ、昔話やら伝説やらにも結構登場しているようです。このあたり、日本に於けるタヌキとの関係性なんかを思い出すと掴みやすいかも。

130713_1310~01

体毛がかなり長く、防寒対策はばっちりと言った感じでしょうか。
足の部分が大きいのはかんじきと同じ発想でしょう。雪の上でもかなり速く動けるようです。

カナダオオヤマネコと餌となるカンジキウサギの棲息頭数の関係については、古くから研究がなされています。
カンジキウサギが増えればそれを餌とするカナダオオヤマネコが増えます。カナダオオヤマネコが増えれば餌となるカンジキウサギの数も増えるので、カンジキウサギの数は次第に減っていきます。カンジキウサギが減れば今度は餌がなくなってカナダオオヤマネコが減ります。カナダオオヤマネコが減ると、捕食圧が減りますからまたカンジキウサギが増えます。そして頭に戻る。こんな感じで両者の数はバランスが取れているという訳です。
生態系とは結局こうした喰う・喰われるの関係性で成り立っており、そのバランスが重要です。

130713_1310~02

そんなカナダオオヤマネコも毛皮目的で乱獲され、数を減らしています。
剥製展示のこの一角は、数が減ってしまったり絶滅してしまった哺乳類のエリアです。
こうした生き物については保護の話や再導入の話が出てきて、世の中的にはそれが肯定的に見られる傾向にある訳ですが、上記の話を踏まえればわかるとおり生態系のバランスを考えれば生き物の保護というのは大変厄介で、一部の希少種だけを保護したり、一旦絶滅したものを再導入するといったことには慎重になる必要があります。
話は、そうそう単純ではないのです。

<参考>
動物/学研/2002
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