Don Basilio, o il finto Signor

ドン・バジリオ、または偽りの殿様

かはくの展示から・恐竜展特別編~第14回/サウロロフス

このblogは国立科学博物館の公式見解ではなくファンの個人ページですので、その点についてはご留意ください。

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サウロロフス
Saurolophus angustirostris
特別展

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今回の特別展でも特に目立つ恐竜であり、メインのひとつと言ってもいい(や、メインが多過ぎるという話もありますが笑)、蒙国を代表する植物食恐竜です。展示してある化石もたくさんありますが、ほぼ実骨です。

この個体は割と有名で福井県立恐竜博物館などにレプリカもありますが、そのおおもととなったもの。ということで実骨です!これだけ巨大な恐竜の全身実骨組立骨格はなかなか観る機会がないので、その点のみを取っても貴重です。素晴らしい見ごたえ!

ただしこの子、頭はレプリカです。ご覧のとおり頭の骨は非常に大きくて重たいですが、一方で位置関係的には全身の中でも上の方にあります。実骨での全身骨格を観るときに本物かどうかを判定するポイントは鉄骨の有無だというお話は以前アパトサウルスの回でしましたが、その理窟で行くと頭にはかなり多くの鉄骨を入れねばなりません。当然ちょっとカッコ悪いし、位置的なリスクはどうしても出てくる。と言う訳で、「全身実骨の組立骨格」と言っても頭だけはレプリカと言うのはよくある話です。


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上の写真は入ってすぐのところにありますが、これがまたたまげるほどデカいwww今回展示されているサウロロフスの中でも最大ではないかと思います。下の写真のも十分でかいですし、こちらは反対側に破損がありますが美観を保っています。

目立つ骨の鶏冠があるのが特徴です。有名なパラサウロロフスなどはこの鶏冠に鼻から管が通っており、トロンボーンのような音が出せたというような話がありますが、サウロロフスの場合はもっと単純な骨の突起だったようです。
また、サウロロフスに近いグループには頭に骨の突起のないものもいます。そうした骨の突起のないものについては、頭に装飾がないものとして長いこと復元されてきた訳ですが、ごく最近突起がないと考えられていたエドモントサウルスのミイラ化石の頭にニワトリのような鶏冠があることが判明しました。殆ど見つからない、骨以外の体の特徴がこうしてわかるのは非常に珍しいこと。このあたり、今後の復元像に注目が集まるところです。

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こちらは歯の化石。一塊りのように見えますが、よく見るとヒマワリの種のような形の小さな歯をたくさん並べていることが分かります。これは実はゾウの歯と較べると非常に面白いところで、この塊とゾウの歯は印象として非常によく似ています。

恐竜を含む爬虫類は基本的には同じ形の歯を並べることはあっても、前歯・糸切り歯・奥歯と言うような異なる形の歯が生えている例はごくごく僅かです(糸切り歯=犬歯=牙ですから、つい言ってしまいがちな「恐竜の牙」という表現は誤り)。一方で哺乳類の多くは様々な形の歯を持っています。
そうなったときに、爬虫類のサウロロフスと哺乳類のゾウが、そもそもは全く別の特徴のある歯から、植物を食べるという目的に向かって最終的に同じような形の歯(または歯の集合)を進化させたというのは、実に興味深いところです。植物を食べるという段になった時に、植物は栄養を含んだ細胞を堅い殻(「細胞壁」というのは高校理科でやった人もいるのでは?)に包んでいるので、ここから栄養を取りだすのはかなり大変。如何にして磨り潰すかを突きつめると、こういう形なるのかと。
本当は顎の動きの話も考えなきゃですが、長くなるのでまたの機会に笑。

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今回また面白いのが、彼らの皮膚印象化石が来ています。
化石として残るのは大凡が身体の堅い部分で、皮膚・内臓・筋肉と言ったやわらかい部分と言うのは滅多にありません。だから、恐竜が鱗で覆われていたのかvs羽毛で覆われていたのか論争があったり、恐竜の色はわからないよなんて話が出てくる訳です。今回の場合は、要は手形みたいなもの。砂なり泥なりに押しつけられた彼らの「皮膚」の「印象」が残ったもので、こういうものも「化石」と言います。What's 化石?という話は、今日はトピックが多いのでまた改めてにしましょう^^

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肉食恐竜タルボサウルスに齧られた痕のあるサウロロフスの前脚。齧られた痕は向かって左側の端っこと下側にあります。それぞれの歯形は違う形状を示しており、タルボサウルスがどのようにサウロロフスの肉を食べたのかが推測できるそうです。そういう意味でこの化石はサウロロフス視線から見れば通常の身体化石、タルボサウルス視線から見れば彼らがどのように餌を食べたのかと言う「行動」を示唆する生痕化石と観ることができます。また、齧られた痕は全身のうちこの部分のみからしか見つかっていないことから、初めにサウロロフスの死体が砂か泥に埋もれたものの、前脚のみそこから飛び出していて、それをタルボサウルスが齧ったのではないかと考えられています。そうした視線からすれば、この生き物がどのように化石になったのかということについても調べることができる標本だと言えます。

「齧られた跡」ひとつで、学術的にはこれだけ広がりがあるのです。

<参考>
・「大恐竜展 ゴビ砂漠の脅威」図録/国立科学博物館/2013
・ナショナル・ジオグラフィックニュース 「恐竜に軟組織の“トサカ”を発見」
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20131213002
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