Don Basilio, o il finto Signor

ドン・バジリオ、または偽りの殿様

オペラなひと♪千夜一夜 ~第六十一夜/パリの伊達男~

なんといいますか目次をみると、特に最近の傾向を鑑みるとあんまり信じてもらえないような気がするのですが、結構仏国の歌手や演目好きなんですよ(本当ですよ!笑)
と言いつつも確かにこれまで扱った人の中で、仏ものでの活躍が目覚ましかった人ってブランとゴール、それにゲッダぐらい…これは流石にちょっとと思うので、ちょっと重点的に仏歌手をご紹介していこうと思っています(と息巻いてるけどあんまりたぶん続かんw)。
と言う訳で最初はこの方!

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ロベール・マッサール
(Robert Massard)
1925~
Baritone
France

仏国はポーに生まれたバリトン。
独学で歌を学び、地元南仏で研鑽を積んだ後、世界で一番有名な歌劇場のひとつであるパリ・オペラ座を中心にしながら国際的に活躍しました。既にご紹介しているブラン、そして今後登場する予定のバキエと共にオペラ座三大バリトンと言われていたと言う話も。3人の中では録音が多く、現在ではあまり顧みられることがない仏もののマイナーなオペラやオペレッタを含め膨大な音源を残しており、そういったものが発掘されて新譜として登場すると結構彼が登場していたりします。

とは言っても録音で楽しんでいる我々の世代に於いて彼の最も有名な音盤は何かと言われれば、プレートル盤『カルメン』(G.ビゼー)即ち“カラスのカルメン”でしょう。しかし、この音盤も多くの例に漏れず、カラスが出ているとなった途端ほかの出演者はなかったことにされ彼女のみが称賛されると言う偏った紹介をされがちで、マッサールに言及している記事はあまり見かけません。また同じく彼の代表盤であるボニング盤『ファウスト』(C.F.グノー)でも、サザランドやコレッリ、ギャウロフという残りの超有名メンバーに隠れがちになってしまっています(若きギャウロフは兎も角、必ずしもベスト・フォームとは言い難いサザランドやコレッリの方が話題になるとはこはいかに、と思うのですが)。

そんな訳で、今回は知られざる名歌手マッサールに焦点を当てて行きたいと思います。

<ここがすごい!>
仏音楽には独特の世界があります。軽やかで爽やか、そしてどこか洒落っ気があり、機智に富んでいます。或いは都会的な洗練、磨きがかかっているという言い方もできそうです。それは作曲家個人の人物の如何に拘わらず(ベルリオーズとかお世辞にも洒落た人物じゃないでしょうw)、どことなく仏国の作品全体から感じられるものであり、大らかな伊国とも峻嶮な独国とも土臭い露国とも異なる独特の世界だと言えそうです。録音史上、仏国の香気にどっぷり浸かり、その流儀で歌っていた歌手を挙げるなら、既に登場しているブラン、ゴール、それに今回のマッサールは上位に喰い込んできそうです。

颯爽とした口跡も華やかで粋な歌も、如何にも大都会パリで好まれそうな伊達な二枚目です。このあたりブランと共通している部分もかなりありますが、ブランがたっぷりとした深い美声でノーブルで貴族的なキャラクターを感じさせるのに対し、マッサールのくすんだ音色はより人臭い感じを与えます。或る意味で彼の方がコミカルなものからニヒルなものまでいろいろなものに向いているようで、それは残された録音からも伺えます。美男子、道化者、悪役のいずれを演じるにしても、武骨さや或る種のグロテスクさからは離れたすらっとした凛々しい姿に仕上げる彼のスタイルは、パリの流儀を如実に体現したものだと言えるでしょう。時にそれは、現代のリアリズム重視の目にはそぐわないところもあるようで、彼のもっとも有名な録音であるエスカミーリョについても、「軟弱」、「ひよわ」、「力強さが足りない」、「何か勘違いしてイケメンぶってる」なんていう批判がネット上では散見されます。でも僕はそうした批判に対して、エスカミーリョが登場する『カルメン』という作品が生まれ育った時代や環境を誤解してないですか?と問いたい。もちろんリアルな『カルメン』も魅力的だけれども、この作品が醸成された仏流のスタイルには、それはそれで敬意を払うべきだと思うのです。何でもインターナショナルにリアリズムも尊ぶのが一番ええんじゃぁという今の潮流には納得しかねる部分があります。武骨で野暮ったいというリアルさしかないエスカミーリョ?勘弁してください。“パリで生まれた”エスカミーリョは華麗で気障でなければ。マッサールやブランのエスカミーリョにはそれがあります。

もう上記の文脈を読めば言うまでもないことですが、その良さが最も引き立つのはやはり仏ものでしょう。ブランほど重たい声ではないと言うこともあってか、様々な国の作品を演じたと言うよりは仏ものの中でのレパートリーの広さに目が行きます(と言ってももちろんリゴレット(G.F.F.ヴェルディ『リゴレット』)やファーニナル(R.シュトラウス『薔薇の騎士』)はじめ他国の演目にも登場していますが)。既に何度か触れていますが、それらの中には現在あまり上演されていない作品もかなりありますし、そういう意味でも貴重な録音をたくさん残して呉れているのは嬉しいところです。
あとはそれに、もっと光が当たればいいのですが…。

<ここは微妙かも(^^;>
やっぱり土俵は仏ものなのかな、とは思います。仏流エレガンスに彩られた伊ものも、ぱらぱら聴く限り悪くはないのですが、バスティアニーニやカプッチッリの耳で聴くと脂控えめ低カロリーかも。逆にもちろん彼らの仏ものはエレガンスに欠けると言うことも言えますしね笑。
あと、他国ものをやってもほぼ仏語歌唱です。時代柄あまり驚かないところですが、原語がどうしてもいい!という向きの方はご注意を。

<オススメ録音♪>
・エスカミーリョ(G.ビゼー『カルメン』)
プレートル指揮/カラス、ゲッダ、ギオー、ベルビエ、マルス共演/パリ・オペラ座歌劇場管弦楽団、ルネ・デュクロ合唱団&ジャン・ぺノー児童合唱団/1964年録音
>超名盤。マッサールのベスト・フォームを楽しめる盤であり、一番入手しやすい録音です。上でも述べましたが非常に華麗で気障なエスカミーリョで、特にジョゼとの決闘前後の歌いぶりは見事。この余裕のある雰囲気だけでジョゼ完敗を思わせます。こういうエレガントな伊達男でなければ、カルメンは靡かないだろうなぁとも。色男ぶりで言えばブランと双璧で、闘牛士の歌を暑苦しいと思っている向きには見方が変わるんじゃないでしょうか。プレートルの指揮ぶりは豪快でありながらオケの響きは美しく、こちらも暑苦しくならない爽やかな快演!オケと合唱の巧さも光っています。共演陣で文句なく素晴らしいのはギオーで、やわらかでクリーミーな美声は誠に仏もの向き。淑やかで純真な印象で、大変可憐なミカエラ。もっと評価されていいでしょう。ベルビエ、マルスなど脇の仏勢も自家薬籠中の歌唱で安心して聴けます。ゲッダは立派な演唱なのですが、あんまり合ってない印象。彼ならもっと痺れる歌が聴ける役が他にあるので、まあ無理にジョゼじゃなくても笑。ヴァンゾーとかでも良かったかも。取り沙汰されるカラスは声の衰えは隠せないものの、歌の巧さ、表現力とことばのセンスは卓越しています。ただ、彼女に合った役かと言うと…どちらかと言えばカラスがカルメンを歌ったことに価値がある感じ。また、演奏全体が仏流の華やかで軽やかな中、独りねっとりこってりなリアリズムで押してくるカラスは良くも悪くも異質で、ゴールやロードあたりに歌ってもらって、仏流の演奏の真髄を残しても良かったような気もします。

・ヴァランタン(C.F.グノー『ファウスト』)
ボニング指揮/コレッリ、ギャウロフ、サザランド共演/LSO&アンブロジアン・オペラ合唱団/1966年録音
>上記の盤と同じく彼の録音では比較的手に入りやすい音盤。演奏そのものは割と普通ですが、通常演奏されない部分が収録されていたりして結構面白い録音です(ボニングの趣味だな)。上述のとおり主役級ではサザランドがいまひとつ、コレッリは何で録音したよ(ってか仏語の発音大丈夫なのか彼^^;)、若いギャウロフは流石の迫力で圧倒と言う中で、マッサールは独り仏もののエレガンスを聴かせている感があります。スタイリッシュな歌いぶりで、大男で力強い武人と言うよりは小兵ながら俊敏な騎士といった印象を与えます。アリアをはじめとして如何にも騎士道精神を重んじそうな誇り高さがそこはかとなく感じられ、豪放でゴージャスな悪魔を演じるギャウロフとは好対照をなしています。ファウストたちに決闘をしかける場面での怒り方も、気位が高そうで◎彼らしく華やかな存在感があるのも美点でしょう、ヴァランタンは非常にいい歌が与えられているものの出番が必ずしも多い訳ではないですし、地味な歌手がやるといなかったことになりかねないので^^;物語としてもヴァランタンが弱いとマルグリットの苦悩が目立たなくなっちゃって問題があるし。総合的に考えて、録音で楽しめるヴァランタンの中ではかなり上位に入ってくるのではないかと思います。
ベンツィ指揮/ランス、ソワイエ、An.エスポージト共演/グルート放送管弦楽団&合唱団/1972年録音(2014.6.13追記)
>上記ボニング盤での不満を解消させて呉れる名盤を入手しました!オケと合唱こそ仏国ではありませんが、指揮者と主要4役がみな仏人(ランスは濠州出身ながら仏国籍も持っている)という布陣ですから、これぞ仏流グラントペラというべきエレガンスに満ちた演奏を楽しむことができます。マッサール自体はここでもボニング盤同様の身のこなしの軽い洒落た歌いぶりで颯爽としたヴァランタンを演じています。しかし、仏色の薄いメンバーの中での孤軍奮闘よりも、やはり一段と活き活きと感じられるのは嬉しいところです。ソワイエはギャウロフの強烈な悪魔とは一線を画し、都会的で品のあるメフィスト。そしてだからこそセレナーデでの本性の顕れっぷりが効いていて堪りません。エスポージトは可憐でキャラクターにあった歌唱で、珍しいアリアも歌っていてちょっと嬉しいところ。ランスはやや時代がかった印象で細めな声なのが残念ですが、颯爽とした雰囲気は流石。いまどき聴けないざっつ仏もの!と言う演奏で、『ファウスト』が好きなら必聴でしょう。

・ブン大将(J.オッフェンバック『ジェロルスタン女大公殿下』)
プラッソン指揮/クレスパン、ヴァンゾ、ビュルル、メローニ、ルー、メスプレ共演/トゥールーズ・キャピトール管弦楽団&合唱団/1976年録音
>これ、知名度ないですが不滅の名盤です。浅草オペラ時代に『ブン大将』として親しまれ非常に人気があったにも拘わらず、現在顧みられることもあまり無い演目ですが、全編に亘って楽しい音楽に彩られており、個人的には総合的な完成度では『天国と地獄』より上だと思います。で、その名作を仏国の香気そのままに再現しているのが本盤。ここでのマッサールはコミカルな敵役であるブン大将を演じていますが、小回りの利く歌唱が実に小気味よい!上記の2役のイケメンぶりとは全く異なる愉快な道化役ぶりは大変見事。伊国のブッフォのような大げさな笑いには寸止めでならず、仏国らしいエスプリに富んだ趣味の良い喜劇の世界にしている当たりの匙加減は流石です(もちろん伊国のそこぬけに笑えるブッフォも僕は大好きですが、この演目でそれやっちゃうとちょっと^^;)敵役だからやっぱり嫌なやつなんだけど、コミカルでどこか憎めない雰囲気が素敵で、陰謀のアンサンブルなんかは同じく仏ものの名手ビュルル、メローニのふたりがまた達者なのもあって、悪役どもの歌なのに愉快でしょうがないwww題名役の名花クレスパンが色気たっぷりの歌唱で僕が知る限りこの人のベストの歌唱、ヴァンゾの主人公も爽やかな優男ぶりが堪りません。チョイ役でのメスプレの登板も嬉しいところですし、ルーもいい。やはりプラッソンの軽妙洒脱な音楽づくりがこの音盤の魅力を支えています。

・ウリアス(C.F.グノー『ミレイユ』)
エチェヴリー指揮/ドーリア、セネシャル、ミシェル、レグロス共演/パリ交響楽団&合唱団/1962年録音
>グノーの歌劇の中では『ファウスト』、『ロメオとジュリエット』に次ぐ佳作です。のどかな田舎町で起きる哀しい悲劇だということもあり、物語の起伏や劇的さからいうともうちょっとではあるし、この内容で5幕もあるんかい!というところもあるんですが、兎に角全曲美しい音楽で彩られた名作です。そんなに音盤は多くないですが、この録音は代表的名盤のひとつと言えるでしょう。ここではマッサールは話を展開させる敵役(と言っても彼も可哀そうな役なのですが)を演じており、若々しく力強く、作品の美観を損なわない範疇で荒々しさも見せた絶妙な歌唱です。比較的良く歌われる登場の歌よりも、決闘のあと後悔に苛まれるアリアの苦みの効いた表現が素晴らしいと思います。物語をより盛り立てるカッコいい敵役ぶりで、彼の面目躍如と言うべきでしょう。可憐なドーリアや演技功者なセネシャルをはじめ共演にも恵まれています。

・ランボー(G.ロッシーニ『オリ伯爵』)
グイ指揮/セネシャル、バラバーシュ、カンネ=マイヤー、アリエ、シンクレア共演/トリノRAI交響楽団&合唱団/1957年録音
>『ランスへの旅』から転用された音楽が母胎となっている作品の、古い時代の名録音。ロッシーニとはいえ仏国向けに書かれた作品を、仏らしい趣味の中で演奏した印象のある音源で、ふわりと軽くやわらかな喜劇に仕上がっています。彼が演じる悪役オリー伯爵の部下であり悪友であるランボーは、出番そのものは必ずしも多くないものの伯爵とのコンビの良さを示したいところですが、伯爵のセネシャルともども藝達者で愉しいです^^そして何より早口アリア!ランボーが自らの冒険を自慢する場面ですが、鼻高々に己惚れ満載で自慢する様は実にコミカルで、ランボーの得意顔が目に浮かぶようです。スタイルの良さも素敵!

・フィエラモスカ(H.ベルリオーズ『ベンヴェヌート・チェッリーニ』)
デイヴィス指揮/ゲッダ、エッダ=ピエール、バスタン、ベルビエ、ソワイエ、ロイド、ヘリンクス共演/BBC交響楽団&コヴェント・ガーデン王立歌劇場合唱団/1972年録音
>不滅の名盤。演奏機会こそ多くないですが、ベルリオーズの傑作だと思います。荘厳な音楽の大伽藍が、デイヴィスの手により精緻に組み上げられており、普通のオペラを聴いた時とは違う快感を得ることができます。シリアスな敵役、藝術家であり、コミカルな役どころでもあると言う複雑なキャラクターを、持ち前の仏的なエスプリで知的に表現しています。登場人物の多い作品ではありますが、その中でも鍵になってくる存在であることをしっかり印象付ける優れた歌唱だと言えるでしょう。ゲッダに対しても格落ちしません。仏ものを良く心得た共演陣は鉄壁で、最高のキャスティングと言えるのではないかと。

・ドン・エルネスト(G.ビゼー『ドン・プロコーピオ』)
アマドゥッチ指揮/バスタン、ヴァンゾ、ギトン、ブラン、メスプレ共演/リリック放送管弦楽団&合唱団/1975年録音
>ビゼーの若き日の秀作。後の『カルメン』とはだいぶ異なる軽い喜劇で、物語的にはG.ドニゼッティ『ドン・パスクァ―レ』とよく似たものですが、明るい雰囲気は共通なれどドニゼッティの世界観とは異なります。マッサールはここではドットル・マラテスタ的な味方側の智慧袋役。ここでも小回りが利くことがプラスに働いていて、非常に頭の回転の良さそうな人物造形になっています。アリアでは甘い頭声と力のある胸声を巧みに使いわけて聴き手を魅了しますが、バスタン、ブランと共に仏国を代表する低声3人で歌う快速3重唱が見事な快演!それ以外の部分でもヴァンゾはじめ仏ものを代表する名歌手らによる優美な演奏を楽しめます。

・カルナック(V.A.E.ラロ『イスの王』)
デルヴォー指揮/ロード、ギオー、ヴァンゾ、バスタン、トー共演/リリック放送管弦楽団&合唱団/1973年録音
>ラロの唯一の歌劇で壮大な悲劇もの。これも余り音源がない中では優秀な演奏。カルナックは話の筋上非常に損な役回りの上、出番が多い割にはいい音楽も当てられていないと言うなんだか可哀そうな役ではあるのですが、ここではマッサールはむしろ演技力で以てその存在感を示しています。ロードとともに陰謀を企てる場面でのやり取りの緊迫感はなかなかのもの。仏ものとして恵まれたメンバーでの演奏ですが、中でも主役と言うべきロードの出来が優れていると思います。

・ボニファース(J.E.F.マスネー『ノートル・ダムの曲芸師』)
デルヴォー指揮/ヴァンゾ、バスタン共演/リリック放送管弦楽団&合唱団/1973年録音
>女声を好んだマスネーが何を考えたか残した男声のみが登場する静謐な佳作。甘さを抑えた穏やかな音楽は神秘的であり、この人にこんな顔もあったかと思わせる作品です。マッサール演じるボニファースはジャンを実質的に導く、珍しくいい人役です(笑)慈愛に満ちた優しい歌は、非常に印象的。奇跡の主人公を演じるヴァンゾーのスタイリッシュな歌と、脇を〆るバスタンもお見事。

・ダゴンの大祭司(C.サン=サーンス『サムソンとデリラ』)2015.1.5追記
プレートル指揮/ショーヴェ、コッソット、バスタン、ルロー共演/パリ・オペラ座歌劇場管弦楽団&合唱団/1975年録音
>長いこと探していたマッサールの大祭司を聴くことができました。いつもながらエレガントでノーブルですが、ここで感じられるノーブルさは高貴というよりも気位の高い感じで、傲慢な空気を纏った異教という風情が感じられるのが実によいです。また、陰謀の場面での策士ぶりも優れており、性格俳優の面目躍如といったところ。プレートルはスタジオ録音の方がいいようですが、思いのほか出来のいいコッソット、デル=モナコのような輝きとハリのある響きとリリックな歌い回しが見事なショーヴェと共演も揃っています。脇も不穏なムードをよく出しているバスタンや立派な声が勿体ないぐらいのルローと秀逸。

・リッカルド・フォルト(V.ベッリーニ『清教徒』)2015.3.5追記
リヴォーリ指揮/クラウス、エダ=ピエール、トー、デュパイ共演/マルセイユ歌劇場管弦楽団&合唱団/1974年録音
>所謂ベルカントなメンバーではなく、クラウスと仏国の愉快な仲間たちと言った趣のキャストですがこれが大変素晴らしい!やはり仏国の洗練された歌い口はベルカントものとの親和性が高いんだなあと思わせる演奏です。マッサールはここでは色仇リッカルド、貴族的な品格の高さをしっかりと感じさせてくれる歌です。やわらかな響きがベッリーニの優美な旋律にもしっくり来ますし、一方2幕フィナーレのようなパワフルな場面でも力強さはそのままに目鼻立ちの整った歌を聴かせています。エダ=ピエール、トーともに仏国勢の力量を感じさせる歌唱。ただ、この演奏全体では主役はクラウスでしょう。特に終幕は圧倒的!

・アタナエル(J.E.F.マスネー『タイス』)2016.9.1追記
エチェヴリー指揮/ドーリア、セネシャル、セルコヤン共演/パリ国立音楽院管弦楽団&合唱団/1961年録音
>瞑想曲はたぶんマスネーの作品の中でも最も有名にも関わらず、全曲演奏は珍しい本作、仏国勢で固めた録音があるのは嬉しいところ。アタナエルは頑なな聖職者だったはずが、気づけば愛に惑う男になっていくという変化が大きい役ですが、マッサールは見事に演じています。序盤での怒りの滲む歌い口は融通の効かない若い修道士の姿を彷彿とさせるものですし、豊かな声でロマンティックな表現もお見事です。
出番は少ないながらきらびやかなセネシャルと安定感あるセルコヤンも素晴らしい。題名役のドーリアの調子がいまひとつなのが惜しいです。
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