Don Basilio, o il finto Signor

ドン・バジリオ、または偽りの殿様

『楢ノ木大学士の野宿』

1396661446838.jpg

『楢ノ木大学士の野宿』

博ふぇすに出展する賢治の特集展示用のもの。
ちなみに賢治の特集展示も名前を決めました!『イーハトーヴの旅』という名前で連作していきます^^
それから、出展者紹介にも出ました!♪

『楢ノ木大学士の野宿』は、『注文の多い料理店』『銀河鉄道の夜』に比べると知名度の低い作品なので、ちょっと多めに解説を。
地学ヲタクだった賢治は地学ネタの作品をたくさん書いていますが、その中でも最高傑作であり幅広い内容を取り扱っているのが童話『楢ノ木大学士の野宿』です。とりもなおさずそれは、日本語で書かれた地学ネタの童話の中での最高傑作と言っても良いでしょう。散文で書かれる科白部分と、韻文で書かれる語り部分とを組み合わせた文体は、音楽の世界で言うソナタ形式との関係を指摘する向きもあります。確実に言えるのは、賢治が凝りまくって作った作品だということ。

貝の火兄弟商会の赤鼻の支配人の依頼を受けた楢ノ木大学士は、ごくごく上等のプレシアス・オーパルを探しに向かいます。そこで三夜の野宿を営むのですが、毎夜毎夜魅力的で不思議な出来事に遭遇するのです。一夜目は元は熱いマグマでできた山である岩頸のラクシャン四兄弟の会話を盗み聞き、二夜目は枕元にあった小さなみかげ即ち花崗岩に含まれる鉱物たちのやり取りに耳を欹てます。三夜目には恐竜の世界にタイムスリップし、雷竜と鉢合わせ。はてさて大学士はお目当てにたどりつけるのか。それは読んでのお楽しみというところです^^

1396661458092.jpg

で、もうお分かりかと思いますが、ここではその三夜目に出てくる雷竜氏をモチーフにしました。
今回は旧作の雷竜今昔(これも博ふぇすの特集企画『復元今昔物語』で展示予定)をほぼベースにしましたが、若干手を入れました。作中出てくる「小さな赤い眼を光らせ」という言葉を踏まえて、インサイド・アウトで赤い眼が出るようにしました。併せて旧作よりしっかりと頭を作り、どことなくユーモラスな雷竜に仕立て上げています。

1396661468686.jpg

本当は賢治は地学の中でも鉱物が好きだった人なので何か鉱物を作品にしたかったのですが、僕の技術では難しく断念。その代りにこの作品には、科博と神奈川県博で展示されていた標本の写真を中心に鉱物の写真で全身を覆いました。探せばファイア・オパールの写真もあります。写真は写真用の紙とかもっといい紙に印刷しても良かったのですが、古びた感じを出したかったので、敢えてあまりいい紙を使いませんでした(これは『銀河鉄道の夜』も同様)。

鉱物が中心ではありますが、一部違うものも。
左上の部分には上腕骨しか見つかっていないモシリュウの骨を入れています。これそのものには賢治は全く関係ないのですが、まあ一つのネタということで^^(ちなみにモシリュウが東北から出たもんだから、「賢治は恐竜発見を予見した!」なんていう人もいるみたいですが、個人的にはそうやって賢治をただひたすらあげまくるのもどうかと思う)。化石ではほかにも、賢治が日本では最初に見つけた人物だということでも有名なオオバタグルミも。

鉱物というよりは岩石というべき花崗岩が入っているのは、当然第二夜を念頭に置いています。

他に風景の写真が4枚入っていますが、これらはいずれも花巻で撮影してきたもの。
作中第一夜で出てくる葛丸川と岩頸のモデルの一つと考えられる山々が1枚ずつ。残りは地名がずばりそのままタイトルになっている台川、賢治の地学的な活動では外せないイギリス海岸。

なるべく作品世界が垣間見えるように努力はしたはず。。。
スポンサーサイト

折り紙 | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<『セロ弾きのゴーシュ』 | ホーム | 『銀河鉄道の夜』その2>>

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |