Don Basilio, o il finto Signor

ドン・バジリオ、または偽りの殿様

アッティラ

アッティラ
Attila
1846年初演
原作:ツァハリウス・ヴェルナー
台本:テミストクレ・ソレーラ、フランチェスコ=マリア・ピアーヴェ

<主要人物>
アッティラ(B)…史実上のフン族の大王アッティラ。史実では欧州を席巻して当時住んでいたゲルマン民族の大移動を引き起こし「神の鞭」と恐れられた人物。フン族の子孫とされる洪人の間では未だに人気があり「アッティラ」は一般的なファースト・ネームとなっている。が、この作品の中では台本上はなよなよくよくよしていてなんだかなぁと言う感じ^^;アリアでは幻影に魘され、その後のフィナーレで恐れ慄くところはそれはそれでいいと思うし作品中出来のいい部分だとは思うんだけど、折角ならもう少し暴君ぶりを発揮して呉れても良かったんじゃないかしら。とはいえ、音楽面では主役らしい堂々たる楽曲が当てられており、バスとしては一度はやってみたい役かも。特に上述した不安に苛まれるアリアから豪快なカバレッタ、或種の狂乱場面と言ってもいいフィナーレの当たりなんかは表現力のあるバスに演じて欲しいところ。また、同じ王でもフィリッポのように老年の貫禄を感じさせるよりは豪快な若々しさがある方が個人的にはいいと思う。
オダベッラ(S)…アクイレイアの領主の娘。主要人物の中では数少ない史実にはない人物で、原作ではヒルデグンテという思いっきりゲルマンな感じのお名前。ヴェルナーはゲルマン大移動を意識した設定なんでしょうが、この作品の初演はヴェネツィアですから、そこはやっぱりサービスして伊女にしているんでしょうね。戀人に対して情熱的な愛を注ぐ一方で、父を殺したアッティラに復讐を誓う男勝りな猛女として描かれる。アッティラの求婚を受けながらも、最後には彼を刺殺する(一般的にはアッティラは急病で死んだとされるが、妻に殺されたという説もある)。音楽的にはアビガイッレの流れを汲みマクベス夫人へと繋がる役であり、ドラマティコで上から下までゴリゴリ転がしを入れて行かなくてはいけない超難役。
エツィオ(Br)…ローマの将軍であり、アッティラとは旧知の仲でもある英雄。史実では「最後のローマ人」と称されたフラウィウス・アエティウス(伊語ではアエティウスがエツィオとなる)で、カタラウムヌの戦いでアッティラを潰走させた。彼の有名なカバレッタの中には「最後のローマ人の死に、全伊国が涙するだろう」という歌詞があるあたりは当然狙っているし、アッティラと交渉する重唱の中で「全世界をそなたにそなたに委ねよう、しかし伊国だけは私に残して欲しい」なんていう歌詞なんかも含めるとリソルジメントに燃えていた当時の伊人の熱狂をもろに狙っている。こういうあたりソレーラの手腕はかなり見るべきものがあるように思う。途中で仕事投げたけど。実際今日の耳からしてもこの役に与えられている音楽は骨太でカッコいいものばかりであり、声量のあるヴェルディ・バリトンにこそ歌って欲しい役。とはいえ、カッコいいことをカッコいい音楽に乗って歌う割には、実際の台本上の決めどころはオダベッラに持って行かれてしまっている感はあるのだが…。
フォレスト(T)…オダベッラの戀人。原作のヒルデグンテの戀人はアッティラとの戦いにより既にこの世にいないことになっているが、歌劇的な効果を考えて登場しているオリジナル・キャラ。とは言えこの人単なるオリジナルではなくアッティラの侵攻から逃れアドリア海にヴェネツィアを築いたという伝説から取られた人物で、彼と伊人に設定し直したヒロインを戀仲にするあたり初演の地ヴェネツィアの人々の心を擽る工夫をしっかりしていてソレーラの手腕は以下略。途中で仕事以下略。ただ、台本上はあんまりカッコいい見せ場がある訳ではない所謂フツーのテノール役で、正直オダベッラの尻に敷かれそう。与えられている音楽もそれなりにカッコいいんだけど、対決する英雄たちや隈取りのヒロインと較べちゃうと分が悪い。
レオーネ(B)…ローマ在住の謎のおじいちゃん。アッティラの夢に現れたのち、現実でも登場して彼を怯えさせる。この作品だけ見てると何故このおじいちゃんがこんなに不吉でおぞましいのか皆目わからないが、実は彼の正体は史実でアッティラと会談し和平を結んだ教皇レオ1世。当時は聖職者を舞台に登場させられなかったりとかっていうことがあったんで、こんなことになるんですね^^;登場場面はその預言の部分だけで、印象的なフレーズも1ヶ所だけなんだけど、そこが作品の中で超重要なところなので、しっかりとした厚みと迫力のあるバスにやって欲しいところ。そういう意味じゃモンテローネ伯爵や修道士と同系統ですね。けど、実際ないものねだりよねー。
ウルディーノ(T)…アッティラの忠臣。と思いきや伊人たちと繋がっていて、アッティラに毒を盛ろうとする。が、オダベッラに阻まれる。劇作品的にはこういう人は舞台装置みたいな役割になってしまうが、現実にはこういう人がいるのは大事っていう、まあなんというか美味しくない役回りの人ですよね。あ、でも結構歌うし目立つよ!

<音楽>
・前奏曲
○プロローグ
・導入の合唱
・オダベッラのカヴァティーナ
・アッティラとエツィオの2重唱
・フォレストのカヴァティーナ

○第1幕
・オダベッラのロマンツァ
・オダベッラとフォレストの2重唱
・アッティラのアリア
・フィナーレ

○第2幕
・エツィオのアリア
・フィナーレ

○第3幕
・フォレストのロマンツァ
・オダベッラ、フォレストとエツィオの3重唱
・アッティラ、オダベッラ、フォレストとエツィオの4重唱フィナーレ

<ひとこと>
仕事としては依頼されたものですが題材としてはヴェルディ自身がやりたいと言って出来た初期のもの。何故だか理由はよくわかりませんが、近年人気が出てきていてあちこちでかかっているようです。
よく言われているように、台本を当初ヴェルディはピアーヴェと検討しますが途中でソレーラに依頼します。ソレーラとはナブッコでも仕事をしていますし、題材に合うと思ったのかもしれません。ところがソレーラが途中で仕事を投げて愛人と国外へ行ってしまいました。仕方がないので慌てて残りをピアーヴェに任せたので、曲目リストを見るだけでもその竜頭蛇尾っぷりがよくわかる残念な感じになってしまいました^^;これを以てこの台本やソレーラやピアーヴェは非難をよく浴びているし、その気持ちは僕も良くわかります。特にソレーラはあれだけ壮大に始めたんだから、壮大に完結させて欲しかった。
とは言え、ソレーラがやった部分の仕事を純粋にみると、このひと全体の一貫性は兎も角舞台の盛り上げ方をよく知ってるなあと玄人っぽさを感じるのも事実です。特に上述したようなリソルジメントが活発となっていた時代のヴェネツィアで初演と言うことを考えたキャラの改編や科白などは本当にいいところを狙っているなと。まあだからこそ完結しろよ、という気分にもなる訳ですが^^;一方、ソレーラとは持ち味が大分違うのに、彼が拡げるだけ広げた大風呂敷の回収を命ぜられたピアーヴェも気の毒な気がします。

このやっつけ台本につけられたヴェルディの音楽は、全体的には初期ヴェルディの中にありながらも、いろいろなことを試している感じがします。そして作品を通して見たときには、台本がああですからまあしょうがない気はしますが、やはり前半の方が勢いがある充実した音楽で、2幕後半から急激に失速する印象は否めません(とか言いながら、個人的には3幕フィナーレの4重唱は結構好きだったりするんですが。終わりがあっけなさすぎるけど)。

題名役の蛮王アッティラの人物像が、全体としてぱっとしないと言いますか弱々しいものになってしまっているのがこの作品の最も残念な点だと思います。豪快な英雄らしさに溢れているのがプロローグぐらいになってしまっているのは誠に勿体ない。個人的には1幕の不安なアリア、一転して豪放なカバレッタ、独り震えて別のパートを歌うアンサンブルというあたりの出来は凄くいいと思っていて、これでそれ以外の場面で暴君ぶりが発揮されていれば、多面的な人物になって凄く良かったのではないかと思うのです。当のアリアからアンサンブルまでの流れは気持ちの変化が激しい部分なので、歌手にはかなりの表現力が求められるところです。アリアはこの後『マクベス』でのバンクォーの大シェーナに繋がる音楽であり、漠然とした不吉な気配を恐れる様子をしっかり出して欲しいし、台本上の展開はやや唐突な感じはあるものの、そのあとローマに侵攻することを考えると、カバレッタは一転して勢いを以て決然とした豪快な歌を求めたいところ(古い録音だと時々カバレッタがカットされていますが、これは流れを考えるとあった方がいいと思う)。その後のアンサンブルはやはり恐れ慄いていますが、ここでは予知夢が的中した恐ろしさですから、アリアとは区別をつけなければならない、となるとやはりこのあたり要求が多いですね。また、全体にキャラクターがなよっとしてしまっているので、数少ないパワフルさが見せられる場所としてプロローグの重唱では堂々たる歌唱が期待されます。ここでのアッティラとエツィオの会話は、А.П.ボロディン『イーゴリ公』のイーゴリ公とコンチャク汗の会話と並ぶオペラでの英雄の対決ですから、序盤ではありますがぶっ飛ばして欲しいですね^^もうひとつ、キャラの弱さを補うために、逆説的ではありますが立派な声の堂々たるバスが演じるのが好ましいと思います。並みの歌手ではなよなよへろへろっぷりが強調されてしまいますから(苦笑)加えて言うなら、この役はフィリッポのような或る面枯れた人物ではないので、若々しい声の人の方が合うように、個人的には思います。

オダベッラは久々の強烈な女声キャラでまさに女傑という言葉がふさわしい人物造形で、アビガイッレの延長線上にあると言っていいでしょう。実際本編の主人公は彼女でしょう。とは言えこのひとも描き込みが非常にしっかりしているとは言い難い部分があって、祖国の敵である以上に父の敵であるアッティラが憎い、というところまではいいと思うのですが、そこからどうしても我が手で殺したい、というところにはちょっと隔たりが大きいような。どう考えてもフォレストの毒杯で殺してしまう方が正常な判断で、このあたりが彼女をエキセントリックにしていると言いますか、悪く言えば現実味に乏しい人物にしてしまっている気がします。フォレストはこんな女性が戀人では長生きできないんではないかと余計なことが心配になってしまうレベルです^^;が、彼にはぞっこんっぽいのでそのあたりの二面性をうまく織り込めるひとでないと厳しいのかなと。音楽的にはアビガイッレ、マクベス夫人と並ぶ厄介なもので、上から下まで鳴るドラマティックな声と転がしの技巧が要求されています。開幕早々のカヴァティーナはテンポも速く溌溂としたもので、カバレッタが2個続くようなもの。2幕のロマンツァは一転して静かでロマンティックですが、これも芯の強い声の方が栄えるでしょう。

フォレストは他のキャラクターに較べると言いますか相方が隈取り異常人のオダベッラですから存在感が薄い気がしますが、そうは言っても彼女との絡みが2回もありますし独唱も2つもありますから、力量のある人にやって欲しいところです。テノールにはありがちな戀人のことで一喜一憂させられる人物ではあるものの、彼の場合は武人としてやることはやっている気がしますし、何より相手があのオダベッラですからまあ振り回されても仕方ないですね笑。後のヴェネツィアを興した人物のカメオ出演でもありますし、ロブストな歌手の方が個人的にはキャラクターにあっているように思います。一方で、当てられている音楽はやはりまだベル・カントの匂いのするものなので、様式感はしっかり出して欲しいです。

アッティラと対峙するもう一方の英雄エツィオは、話の筋上は美味しいところをオダベッラに持って行かれてしまっている感はあるものの、力強い声のヴェルディ・バリトンにやって欲しい役です。史実ではアッティラをカタラウヌムで撃破した人物でもあり、プロローグでは互いに認める人物として彼と語り合う訳ですから、堂々たる存在感がなければ務まりません。当然ながら大前提として歌が確かである必要はあって、この役もまた様式感が欲しいところです。音楽的にはベル・カントの匂いのする、ややあっけらかんとした嫌いはあるものの、アッティラよりむしろ豪傑然としたもので、主な見せ場であるアッティラとの重唱もアリアも聴き応えがあります。楽曲としてはそうした派手な見せ場がある割に台本としては活躍も少なく一面的な人物になってしまっている感も否めないので、ソレーラが実際後半をどうするつもりだったのかはわかりませんが、想像するに多分彼が仕事を投げたせいで一番割を喰ってしまったキャラクターではないかと思います。アッティラやオダベッラとの絡みがもう少しあったらもっと面白い役になったのではないかという気がしますし、愛国者的な面とは違う一面を見せる内面的なアリアがあったら深みが増したような。とは言え作品自体がリソルジメントものですし、そういうキャラですから(笑)、ちょっと厳しかったのもわからなくはなく…ただちょっと勿体ない気はしていたりします。

レオーネは脇役ではありますがキーロールでしょう。上述のとおりモンテローネ伯や修道士を彷彿とさせます。迫力と深みのあるバスに演じて欲しいところですが、なかなかそこまで手の回っている録音はありません。近年の上演では史実に即して教皇の姿で登場させる演出もあるようですが、個人的にはもう史実なんて全然関係ない台本ですし、敢えて元設定に戻さないで謎のおじいちゃんの方が迫力があるように思います。

<参考音源>
バスが主役なので(笑)、知名度の割にいろいろ聴いてますw今回は取り上げませんでしたが、アッティラなら異民族らしい迫力のあるガルデッリ新盤のネステレンコ、エツィオならいくつか音源のある荒ぶる猛将G.G.グェルフィ、フォレストならパタネ盤のロブストなルケッティもそれぞれおススメです。オダベッラはなかなかいい歌唱に出会えないなぁという印象ですが、ムーティ盤のステューダーは声のリッチさと色合い、迫力、技術等すべてひっくるめた上でベストの歌唱と言ってもいいかもしれません。是非に。

○ジュゼッペ・シノ―ポリ指揮/アッティラ…ニコライ・ギャウロフ/オダベッラ…マーラ・ザンピエリ/エツィオ…ピエロ・カプッチッリ/フォレスト…ピエロ・ヴィスコンティ/レオーネ…アルフレード・シュラメク/ウルディーノ…ヨーゼフ・ホプファヴァイザー/ヴィーン国立歌劇場管弦楽団 & 合唱団
>『アッティラ』と言えばこれ!という不滅の名盤。切れば血が出るのではないかと言う熱く滾った凄演だということで、このblogでも繰り返しご紹介してきました。今回改めて聴いてみて、何と言ってもやはりカプッチッリを聴くための録音だと再認識しました。入りがずれたりとかライヴらしい疵がないかと言えば嘘になりますが、これが劇場でのヴェルディだ!と言わんばかりの熱血歌唱で、これで興奮しないならヴェルディに関心がないかバリトンに関心がないかのどちらかだと思います(笑)カバレッタでのハイBと喝采に応えてのBisが取り沙汰されますが、格調高いカヴァティーナやギャウロフとの丁々発止のやり取りも必聴です。そのギャウロフは声に衰えがあり、圧倒的な迫力で押してくる演奏を期待するとちょっと拍子抜けしてしまうかもしれません。しかしその歌のスケールの大きさは稀有のもので、台本上のずっこけぶりを忘れさせてくれる史上の英雄らしい力強いキャラクターを感じさせます。いつもながら表現力に秀でており、一番の見せ場であるアリアから1幕フィナーレまでも天晴な歌唱。懐の深さ、老獪さで行けば一番でしょう。シノーポリの采配もお見事で、ハイテンションな演奏ながら、テンションだけの演奏ではない理知的な印象も受けます。ウルディーノに脇の名手ホプファヴァイザーも嬉しいところ。一方でザンピエリとヴィスコンティについてはあまり褒めちぎったことは書けないなと思いました。ザンピエリは声質がやや可愛らしいのには目を瞑るにしても迫力がもう一声で、この役の強烈さが表現できていないと思います。また、細かい音符が流れてしまっているのもいただけません。ヴィスコンティはちゃんと歌ってはいると思うのですが、ちょっと線が細い印象なのとちょっとなよなよし過ぎな感じ。シュラメクは自分の仕事はしていると思いますが、如何せん他の低音陣が強すぎて印象が薄い(^^;

○ランベルト・ガルデッリ指揮/アッティラ…ルッジェーロ・ライモンディ/オダベッラ…クリスティーナ・ドイテコム/エツィオ…シェリル・ミルンズ/フォレスト…カルロ・ベルゴンツィ/レオーネ…ジュール・バスタン/ウルディーノ…リッカルド・カッシネッリ/ロイヤル・フィルハモニー管弦楽団 & アンブロジアン・オペラ合唱団
>非常に平均点の高い演奏で、アッティラがどういう演目なのかを知るにはこちらの方がいいかもしれません。後年のガルデッリはテンポがたるみがちになったり、緊張感がいまひとつな演奏が多くなりますが、このころはまだベスト・フォームではないでしょうか。初期ヴェルディをよくわかった実直な指揮ぶりだと思います。全盛期のライモンディの若々しい声が大変素晴らしいです。スケール感や野性味こそ他よりも劣るかもしれませんが、精悍で雄弁な歌いぶりは実にスタイリッシュで、耳に心地いいです。野蛮な異民族の王と言うよりは、誇り高い君主と言うイメージです。他のキャストとの声のバランスもあらまほしきもので、音楽的な歌唱と言う意味では最も範とすべき演奏だと思います。スタイリッシュと言う点で行けばベルゴンツィもまた、彼らしい真摯な歌唱。声は衰えたかなとも思わなくはないですが、格調の高さで行けばベストのフォレストと言っていいでしょう。特に登場のカヴァティーナでのpを多用した繊細な表現にはうっとりします。前述のとおりこの役はロブストな声の方がいいとは思うのですが、こういう絶妙な味付けもできればなおよしです。ま、ベルゴンツィだからできるという説もありますが…笑。ミルンズもいつもながらたっぷりとした豊麗なバリトンで恰幅のいい将軍です。彼の藝風はより理知的な印象を与える歌唱ですから、燃える闘将という風情だったカプッチッリやパワフルなG.G.グェルフィに較べるとよりクールな雰囲気です。エツィオのキャラクターを考えるとこういうのもありかと。そしていつも思いますが、彼の声はライモンディと非常に相性がいいですね!このコンビで歌っているときは実に気分がいいです。で、オダベッラのドイテコムなんですが、この人がね~好き嫌いが分かれるかなと思うんです。技術的には全く問題ありませんし、迫力と言う面でも充分かなとは思います。ただ、ジゼルダの時もそうでしたが彼女の硬質で澄んだ声質がこの熱気の初期ヴェルディに合うのかと言われると、躊躇するところがあります。例えて言うなら、赤い色が欲しいところに黄色を塗ってしまって、それもまあ悪くはないんだけどなんとなくちぐはぐな感じと言いますか。純粋に歌唱技術でいったらピカイチなのですが。バスタンは藝の幅が広くて私自身大好きなバスなのですが、レオーネには流石に声が明る過ぎ・軽過ぎ。珍しくこの役にしては大物起用なんですけどね^^;

○ブルーノ・レンツェッティ指揮/アッティラ…フェルッチョ・フルラネット/オダベッラ…ディミトラ・テオドッシュウ/エツィオ…アルベルト・ガザーレ/フォレスト…カルロ・ヴェントレ/レオーネ…ダニエル・トニーニ/ウルディーノ…アレッサンドロ・コンセンティーノ/トリエステ・ヴェルディ歌劇場管弦楽団 & 合唱団
>比較的最近の演奏です。レンツェッティの指揮は多少の粗っぽさを感じなくもないですが、勢いがあり快活で悪くないで。初期ヴェルディの熱っぽさがよく出てる。とは言え一番の聴きものは野性味溢れるフルラネットでしょう!かなり大胆に荒々しさを前面に出した歌唱なので乱暴さが気になる向きもあるかと思うのですが、だからこそ異民族の猛者らしさが余すところなく表現されていて、スラヴ系の歌手たちよりもむしろそれっぽさを感じます笑。近年の彼のヴェルディに感じるところですが、崩しの絶妙さが功を奏していると言えそうです。これだけ荒ぶって呉れれば暴君的側面も際立ち、台本の弱さも補われるように思います。ついでテオドッシュウのド迫力歌唱が印象に残ります。やや転がしがもたつくところもあるものの、これだけパワフルな声でこれだけ歌って呉れれば文句なしと言うところで、オダベッラのちょっと異常なキャラクターが際立つ理想的な歌でしょう。まさに気迫の歌唱です。この2人の大迫力大相撲歌唱に較べるとガザーレ、ヴェントレは丁寧な歌唱ではあるものの印象が薄いです。ヴェントレはまあ悪くない一方、ガザーレは声自体は立派だと思うのですがどうものぺっとした歌い口でちと残念。フルラネットとの対決では完全に力負けしています。
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