Don Basilio, o il finto Signor

ドン・バジリオ、または偽りの殿様

かはくの展示から~第4回/アパトサウルス~

このblogは国立科学博物館の公式見解ではなくファンの個人ページですので、その点についてはご留意ください。

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アパトサウルス・アジャックス
Apatosaurus ajax
(地球館地下1階)
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※本来ならラテン語読みに即した「アパトサウルス・アヤクス」か英語読みに即した「アパトソーラス・アジャックス」かにすべきところですが、かはくの展示での表記に倣い、慣例表現としました。

全長18m。
かはくの常設展の展示物の中でも最大級のものです。しかし、この全身骨格の凄いところは単純に大きさだけではなく、その保存状態の良いことにあります。
通常博物館や恐竜展に展示されている恐竜の全身骨格は、多くの場合レプリカ(複製)や復元骨格であり、本物の化石が組まれていることは余りありません。本物が組み込まれているものでもその本物の割合は、言ってしまえばぴんからきりまでで、3~4割でも本物の化石が組まれていれば御の字と言って良いでしょう。
そんな中この全身骨格はなんと全体の8割が本物の化石で組まれています!
世界中の博物館を観てもこれほどのものが常設展に展示されているのは珍しいものです。

ただ、ここで改めて強調しておきたいのは、それだけ化石を発見するのは難しいし、それ以上に生き物が化石になるのは難しいということです。我々が見ている古生物の化石は、ほんの一部の生き物の身体のほんの一部分の化石です。私たちは、古生物についてほんの不確かな情報しか持ち合わせていないのです。
また、レプリカ等の重要性については、デイノテリウムの回でお話ししましたね^^

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それだけのものだということもあり、写真のとおりしっかり鉄骨が組まれています。
研究者ではない私たちが、全身骨格が本物の化石かどうかを見分ける一番簡単なポイントは実はここだったりします。本物の化石は当然ながら一点ものですし、非常に重たいですから、安全性を考えると鉄骨を組まない展示は基本的にはありません。
なお、このアパトサウルスの鉄骨は特別仕様で、研究のために骨1つ1つを取り外しできるようになっています。

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これはアパトサウルスの足許にあるカマラサウルスの頭蓋骨です。
実は19世紀にいたマーシュという大変有名な古生物学者は、このカマラサウルスの頭蓋骨をアパトサウルスの身体にくっつけてブロントサウルスと言う名前で呼んでいました。そう、アパトサウルスと言う名前は聞きなれないかもしれませんが、実はブロントサウルスのことなのです。そういった事情があり且つアパトサウルスの名前が先についていたこともあり、ブロントサウルスと言う名前は非常に有名ではありますが、現在では使われていません。
今は使われていないこの名前は、実は20世紀初頭の段階(!)で無効とする論文が出ていたにも拘らず無視され、どういう訳だか世界中でかなりの市民権を持ってしまっています(響きがカッコいいしね^^;)。日本語の「雷竜」「かみなり竜」もこれを語源とするもの(「ブロント」は雷、「サウルス」は竜・蜥蜴)。宮沢賢治の傑作『楢ノ木大学士の野宿』にも雷竜は登場します。

2015年4月、アパトサウルスを含むグループを再整理する論文が発表されました。
これによってかなりいろいろな変動があったのですが、中でも一般向けに大きな話題となるのは、使用されなくなっていた「ブロントサウルス」という学名を復活させている点!ブロントサウルスと名づけられていた標本を再度精査した結果、別属とすべきという結論になったようです。もちろん、これはあくまでひとつの論文が発表されたというレベルの話なので、今後どういう議論がなされるのか、注目したいところです。(2015.4.9追記)

ちなみに、アパトサウルスやカマラサウルスを含む体が大きくて頸や尾の長いタイプの恐竜(竜脚類と言います)は、頭と首を繋ぐ関節が脆く、死ぬとすぐ取れてしまったと考えられ、頭が見つかるということは極めて稀です。かはくのアパトサウルスも、実は頭はレプリカです。今回は写真用意していませんが、アパトサウルスとカマラサウルスでは、かなり顔が違います。是非、展示室に足をお運びいただき、ご確認いただければ。

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<参考>
世界恐竜発見史 ――恐竜像の変遷そして最前線――/ダレン・ネイシュ著/伊藤恵夫監修/株式会社ネコ・パブリッシング/2010
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