Don Basilio, o il finto Signor

ドン・バジリオ、または偽りの殿様

かはくの展示から~第8回/ツチブタ~

このblogは国立科学博物館の公式見解ではなくファンの個人ページですので、その点についてはご留意ください。

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ツチブタ
Orycteropus afer
(地球館1階)
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地球館1階のジャイアント・パンダの隣りにいる風変わりながらも、少し地味な哺乳類です。
「ツチブタ」という名前ではありますが、ブタの仲間ではありませんし、そもそもあんまりブタにも似てません(^^;どっちかというと『たのしいムーミン一家』のスニフでしょうか(笑)
なんだか知らないですが17世紀にアフリカに入植した蘭人たちが“aardvark”、日本語にすると即ち「土の豚」なんて名前を付けてしまったので、和名もこんなことになっています。
ひょっとするとジャイアント・パンダだけをご覧になって満足されて素通り、なんて方もいらっしゃるんじゃないかと思うのですが、それではあまりにも勿体ない、非常に面白い生き物です。

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こちらが前足、
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そしてこちらが後ろ足ですがいずれも大変力強く、そして鋭いかぎづめを持っています。
これを何に使うかと言えば、基本的には穴掘りです。
ツチブタは爪以外には武器と言えるようなものは持っていませんし、ご覧のとおりあまり闘って強い生き物でもありませんから、外敵に襲われた時には手近な穴に逃げ込んだり、その場で穴を掘って隠れたりします。そのときに役立つのがこの足で、この決して小さくもない体を隠すための穴をものの数分で掘ってしまいます。

またこれらの足、特に前足はアリ塚を突き崩すのにも使われます。
彼らはこの非常に強固な前肢を使って、鶴嘴でも壊せないアリ塚をいともたやすく破壊します。

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そのアリ塚のシロアリたちを探すために大きくて立派な耳を持っていますし、細長い吻部からは45cmもある細長い舌が出て、舐めとるように食事をします。但し、その食事に於いては、歯は使っていません。食物をすりつぶすのも消化器でやってしまいます。
といってこいつらには実は歯がない訳ではなく、むしろ奥歯にかなりユニークな特徴を持っています。
この奥歯の特徴をはじめ諸々のかなり変わった特徴によって、彼らはかなり特殊なグループとされています。

18世紀の瑞典の生物学者カール・フォン=リンネが築き、今もって使われる生物の分類に於いては生物は界・門・綱・目・科・属・種という7つの段階に分けられます。
例えばヒトで言えば「動物界脊椎動物門哺乳網霊長目ヒト科Homosapience※1」といった具合です。これは要するに、生物が分類上のどの位置にいるかと言うのを示す住所のようなものだと考えていただければいいかと思います。「東京と言う都の、台東という区の、上野公園」という住所と同じように「ヒトという科の、Homoという属の、sapience種」なのです。

さてツチブタの場合、少なくとも現生動物では、この分類段階で言うところの目の単位でツチブタしか含まれていません。つまり、わかりよりやすく言うと、ツチブタの所属する管歯目という目には、ツチブタ科というたった1つの科しかなく、そのツチブタ科の中にはツチブタという生き物※2しか入っていないということです。
目の単位というのはかなり大きなくくりです。例えば同じ哺乳網の偶蹄目などを見るとその仲間にはウシ、シカ、イノシシ、カバ、ラクダ、キリン、プロングホーン、クジラといった生き物が含まれています。そう考えてみると、如何にツチブタが変わり者かということも何となくわかっていただけるのではないかと思います。

そんなちょっと変わり者のツチブタ君、科博の剥製は近くでじっくり見ることができます。生きているものが見たくなったら隣りの上野動物園で見ることもできます(大抵寝てますが笑)。
地味ですが、素通りしないでちょっと立ち止まって見てみてください。

※1.例として挙げましたが、厳密に言うと各分類段階の間の段階もいろいろあるため、この書き方は問題があります。ここではあくまで一つの例示として考えていただければと思います。ヒトのきちんとした分類は、ちょっと調べれば簡単に出てくるかと思いますので、探していただければ。
※2.より正確にはツチブタ科の中には唯一Orycteropus属という属しかなく、更にその属の中には唯一afer種しかいない、ということになります。


<参考>
世界珍獣図鑑/今泉忠明著/桜桃書房/2000
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