Don Basilio, o il finto Signor

ドン・バジリオ、または偽りの殿様

かはくの展示から~第9回/アロデスムス~

このblogは国立科学博物館の公式見解ではなくファンの個人ページですので、その点についてはご留意ください。

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アロデスムス
Allodesmus sp.
(日本館3階北翼)
121208_1104~01
この生き物の全身骨格をぱっと見せられて、何の仲間だと思いますか?

「アシカ!」と思った人、「アザラシ!」と思った人いると思います。
実はどちらでもありません。アシカとアザラシの中間ぐらいの立ち位置にいるのではないかと言われている生き物で、絶滅したグループです。

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アシカ的な印象を齎すのがこの前肢。これがアザラシだともっと短い感じで、こういう翼みたいな大きな前肢があるとやっぱりアシカっぽく見える。1980年代までは、実際アシカに近い生き物だと考えられていたようです。

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対して後肢はこんな感じ。
アシカとアザラシを見分ける非常に簡単な違いは後肢の向きで、ざっくりいえば頭の方向に後肢が向いているのがアシカ、尾の方向に後肢が向いているのがアザラシですがこうして見てみると、尾の方向に足が関節しているのが良くわかります。それだけではなく、実際にアザラシの後肢の骨格を見ていると、アロデスムスの後肢が如何にアザラシに酷似しているかがわかります。それ以外の身体のつくりもアザラシと似ている部分が多く、分岐分類学的な調査の結果、1990年代以降はアザラシにより近いグループと言うことになっています。

これらのグループに於いて非常に面白いのは、何故アシカとアザラシとアロデスムスがいるのかということが良くわかっていないということです。
もう少し詳しく説明すると、現在の古生物学ではアシカもアザラシもアロデスムスも近い生き物から進化したと考えられています。その上で、例えばアシカが遠洋で生活していてアザラシは近海で生活しているというようなことであれば問題なく説明ができる訳ですが、現生のアシカとアザラシはどちらも似たようなところで似たような生活を送っており、アロデスムスも恐らくそうだっただろうと考えられています。つまり、近い生き物からそれぞれかたちのちょっとずつ違う同じような生き物が同じような環境に進出して3パターンも進化したということで、これはちょっとした異常事態です。加えて、何故かアロデスムスの仲間のみ絶滅してしまっています。
このあたり、いったいどういう事態が起こっていたのかを解決する鍵が、ひょっとすると絶滅してしまった“あいのこ”アロデスムスにあるのかもしれませんし、逆に話をややこしくしているのかもしれません。

ちなみにこの全身骨格は、複製ではありますが非常に良心的なもの。
実際に観ていただければすぐにお分かりになるかと思いますが、化石っぽくしてある部分と割と綺麗な部分があります。これは化石が発見されている部位のみを化石らしく作ることで、実際にどれぐらいの部位をもとに復元されているのかを知ることを可能にする手法で、実骨をもとに作成されることもあります。どこまでがわかっていて、どこからが推測なのかをはっきりさせるのは古生物学のように証拠の少ない学問にとっては重要なことであり、こうした展示が将来的には増えていけばいいな、と思います。

なお、アロデスムスについてはafragiさんのこちらの記事も。

<参考>
新版絶滅哺乳類図鑑/冨田幸光:文/伊藤丙雄・岡本泰子:イラスト/丸善株式会社/2011
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