Don Basilio, o il finto Signor

ドン・バジリオ、または偽りの殿様

オベルト、サン=ボニファーチョの伯爵

既にしてシリーズものが飽和しつつあるこの状況下で更にシリーズを増やすのは愚策なような気もするけどw、これはどうしてもやりたいので。

2013年はヴェルディ及びヴァーグナーの生誕200年ということで世界中のオペラファンが湧いています♪
私自身はヴァーグナーはどうでもいいのですが(←こら)、ヴェルディの生誕200年はやはり祝わねばならない!ということで、ヴェルディの歌劇作品+1を頭から順に追って聴いてみよう!という無謀なことを始めました。本当は今年の頭からやるつもりだったんだけど、積ン聴が溜まりすぎてやっと始められるというこのグダグダさwwwたぶん年内に終わんないけど、気長におつき合い下さい(笑)

基本情報は頑張って書くつもりですが、このご時世ヴェルディなら粗筋はちょっと探せばマイナー作でも結構簡単に見つかるんで許して(笑)

* * * * *

オベルト、サン=ボニファーチョの伯爵
Oberto, Conte di San Bonifacio
1839年初演
台本:アントニオ・ピアッツァ&テミストクレ・ソレーラ

<主要人物>
オベルト(Bs)…サン=ボニファーチョの伯爵だが今は落ちぶれている。
レオノーラ(S)…オベルトの娘。リッカルドと相思相愛だったが捨てられる。
リッカルド(T)…サリングェルラの伯爵でオベルトの政敵。クニーザの婚約者。
クニーザ(Ms)…ヴェローナの領主でオベルトの政敵であるエッツォーリーノの妹。

<音楽>
・序曲
○第1幕
・導入の合唱
・リッカルドのアリア
・レオノーラのアリア
・レオノーラとオベルトの2重唱
・合唱
・クニーザとリッカルドの2重唱
・レオノーラとクニーザ、オベルトの3重唱
・フィナーレ

○第2幕
・クニーザのアリア
・合唱
・オベルトのアリア
・レオノーラ、クニーザ、リッカルド及びオベルトの4重唱
・騎士の合唱
・リッカルドのロマンツァ
・レオノーラのロンド・フィナーレ

<ひとこと>
一応公式にヴェルディの処女作とされている作品(本当は『ロチェステル』という作品をほぼ完成に近い状態まで持って行っていたらしいのですが、それは破棄されたとか転用されてこのオベルトになったとか。いずれにせよこうして全曲楽しむことのできるものとしては現存する最古のもの)。何度か改訂や差替えも行っており、上記の曲の流れの中では2幕の4重唱は後に書かれたもののようです。
上演されることは余りありませんが、20世紀後半からのマイナー作品発掘の機運に乗って実は意外と録音されているようで、パネライ主演ベルゴンツィ、ディミトローヴァの豪華なガルデッリ盤やレイミー主演のマリナー盤、エステス主演のものに、弟アブドラザコフ主演の映像もあります。どれも持ってないけど^^;

どこでも述べられていることですが実際に聴いてみると、ロッシーニやドニゼッティ、ベッリーニ、メルカダンテといった先輩たちの影響が顕著に表れています。個人的にはドニゼッティやメルカダンテっぽいな~と思うところが多かったかな。ロッシーニほど技巧的でなく、ベッリーニよりは力強く。
そう思って見てみると、全体の構成だけでもこの作品がヴェルディの諸作の中ではやはり古い形を残しているように思います。彼の作品で1幕あたりが長い2幕で書かれているのは、この『オベルト』と次作『一日だけの王様』だけです。一般的な傾向として、聴衆の志向が同じ長大な作品でも休憩の少ない2幕ものより、多いものへと変化していたと言われているので、そういう意味ではこの特徴はいかにも古めかしい。また、これは意外なことですが、ヴェルディの作品のなかで、技巧的なソプラノのロンド・フィナーレで終わるのはこれだけです。また、主役がバスであることから後のヴェルディのバリトン志向が述べられることが多く、確かにテーマ的にはそうした側面も無きにしも非ずとは思いましたが、音楽を聴いてみるとバスのオベルトの扱いが必ずしも大きいとは言えず、どちらかといえばまだ古いプリマ・ドンナ・オペラ的な匂いを感じました。初演された1839年の段階で言えば、ドニゼッティは既に『サン=ドミンゴ島の狂人』(1833)、『トルクァート・タッソー』(1833)、『マリーノ・ファリエーロ』(1835)、『ランメルモールのルチア』(1835)、『ベリザリオ』(1836)などバリトンやバスの比重のより大きい優れた作品を発表しており、この内容から進取の精神を見て取るのはやや厳しいように思いました(というかこうして並べてみると、ドニゼッティはヴェルディがやったことをやりたかったんだろうな、などとも思う訳ですが)。

さてそうしてみると先輩たちの影響は色濃いわ、ヴェルディの個性はまだそこまで出ていないわであまり面白くなさそうな印象を持たれる方もいるかもしれませんが、ベル・カントの作品として聴いたとき、この作品は決して聴き劣りしない、立派なものだと思います。4人の主役が入れ代わり立ち代わり優美で技巧的な歌を歌い、歌手さえきちんとした人が揃えば楽しめること請け合いです。ただし、この作品に於いて歌手に求められるのは、上述した内容からいけば当然ですが、ドラマティックな迫力ではなく細やかな音をこなしていく技術であり美しい発声ですから、所謂ヴェルディの作品とはちょっと趣が異なるかと思います。

<参考音源>
○ダニエレ・カッレガーリ指揮/オベルト…ミケーレ・ペルトゥージ/レオノーラ…ジョヴァンナ・デ=リーゾ/リッカルド…ファビオ・サルトリ/クニーザ…ガブリエラ・コレッキア/マルキジャーナ・フィル管弦楽団/ヴィンチェンツォ・ベッリーニ・マルキジャーノ歌劇合唱団
>上記のようにベル・カントの作品として聴くと、この録音は大変優秀なものだと思います(というかこの録音を聴いて上記のようにこの作品を捉えた訳でそういう意味ではいささかトートロジカルではあるのですが)。カッレガーリの音楽は軽やかで、作品に良く合っています(こういうので重ったるくやられたりオケをばかすか鳴らされたりすると本当に興ざめですからね^^;)歌手ではやはりペルトゥージの存在感がお見事。ベル・カント的にやっていながら復讐に燃えるところで感じさせる凄味など、まさにこのジャンルの第一人者と言うべきところ。次いでサルトリの優美な歌が大変結構です。『アンナ・ボレーナ』のペルシがいまいちだったので正直期待していなかったのですが、役に合った声も見事ですし、折り目正しく歌っているのにも好感が持てます。プリマのデ=リーゾはやや癖のある声が気になりますが、飛んだり跳ねたり技巧的で厄介なこの役をこれだけ軽やかにこなして呉れれば文句はありません。コレッキアも淑やかな感じのする声でデ=リーゾと区別もしっかりつきますし、難しいパッセージも良く歌っています。作品を理解するためにも、楽しむためにも水準以上の佳盤と言えるでしょう。
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