Don Basilio, o il finto Signor

ドン・バジリオ、または偽りの殿様

かはくの展示から~第18回/モシリュウ~

このblogは国立科学博物館の公式見解ではなくファンの個人ページですので、その点についてはご留意ください。

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モシリュウ
Moshi-ryu
(日本館3階北翼)

今回の主役はなかなか目立たない小さな展示です。

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ココですよココ!この横たわっている1個の岩です(笑)
うっかりすると見過ごしてしまいそうな地味な岩ですが、ただの岩ではありません。
何といっても日本国内で最初に発見された恐竜化石なのですから。
フタバスズキリュウ発見から遅れること10年、1978年に東北の茂師という場所で発見されたことからモシリュウという愛称がついています。

それではご尊顔(?)を拝してみましょう。
130518_1055~01
はい、ぼろぼろですね(^^;
ここまでぼろぼろだと新種なのかどうかはもとより一体何サウルスと一緒なのかもわからないということで、愛称以上の名称をつけるのは難しいようです。これが例えば化石がたくさん見つかる北米とかモンゴルだったら顧みられることのなかった化石だったかもしれません。そういった地域と較べると保存状態のいい大型の生き物の出づらい日本の、しかも恐竜化石第1号でなければ、こうして展示されることはないものと言ってもいいでしょう。

しかしこうした保存状態であったとしても、この化石の重要性は全く薄れません。
科学博物館にとってはもちろん研究に於いて意義深い「資料」も大事ですが、研究史に於いて意義のある「史料」もまた重要であるからです。どんなにぼろぼろであったとしても、モシリュウが日本産恐竜第1号であるという厳然たる事実に変わりはありません。この標本がなければ、その後の日本での恐竜の発掘や研究は、或いはなかったかもしれない。そういう意味ではやはり重要な標本です。
だからこそ、この標本を発掘し、保存し、そして研究していくために多くの人が尽力しているのです。

エピソードも沢山ありますが、有名なのはその発掘の時のもの。
発見された段階で非常に脆くなっていたモシリュウを掘り出すのはかなり難しく、発掘を行った発見者の加瀬友喜はかなりの苦心をします。人手もものもない状況である一方、放っておけば化石はすぐに風化して崩れてしまうかもしれない状況。何とか早く化石を固めて掘り出さねばならないということで、行ける範囲の文房具屋(と言ってもバスで2時間かかるようなところまで向かったとか)の接着剤を買占めて発掘を続け、どうにか事なきを得たと言います。まさに涙ぐましい努力です。
※保存状態が悪く、そのまま発掘すると化石がぼろぼろになってしまう場合には、接着剤を使ってひとまず化石そのものを固定することは珍しくありません。

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ものとしては頸と尾が長くて体が大きいアパトサウルスの仲間の上腕骨だと考えられています。
その中での位置づけについても、現在かはくに所属している真鍋真先生はじめさまざまな方の努力によって1991年に論文が発表されています。

モシリュウ発見から35年が経った今日、日本でも各地から恐竜が発見されています。2013年5月20日現在日本で発見されて名前がついた恐竜は4種類、いずれも福井産です。
またこの国は意外とアパトサウルスの仲間に縁があるのか、兵庫県の篠山層群からは彼らの仲間のタンバリュウが発見されており、研究が続けられています。タンバリュウは国内で発見された恐竜としてはかなりの保存状態で、脳の入っていた部分の骨や頸の骨の一部も出てきています。今はまだ愛称だけですが、直に正式な名前もつくと思います
※タンバリュウの研究風景は兵庫県立人と自然の博物館の恐竜ラボや丹波竜化石工房で見ることができます。

日本の恐竜研究の原点と言える標本です。
そうした背景に思いを馳せて、是非本物を観に足をお運びください^^

<参考>
ニッポンの恐竜/笹沢教一/集英社新書/2009
丹波竜 太古から未来へ/兵庫県立人と自然の博物館監修/神戸新聞総合出版センター編/2010
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