Don Basilio, o il finto Signor

ドン・バジリオ、または偽りの殿様

オペラなひと♪千夜一夜 ~第四十夜/おお、我が祖国よ~

第三十夜のフルートに続き歌劇で楽器が活躍する名曲を。
今回はオーボエ(コーラングレ含む)です。

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フルートよりは知名度が無いんで楽器の説明を…途中まで書きましたがめんどくさくなったんでやめましたwや、今の世の中google大先生でなんとなくどんな感じかはわかるし、youtube大先生を使えば演奏も聴ける訳で、私のへたくそな解説をここで述べるまでもないでしょう、ということです(^^;
敢えて言うならチャルメラの類です(雑)

さてそんなこんなでフルートに比べると知名度では劣るものの、クラシックの曲の中ではひょっとするとフルート以上にオイシいところを受け持っています。有名なところで言うとП.И.チャイコフスキーのバレエ『白鳥の湖』の情景(ちゃ~ららららちゃ~らちゃ~らっていうあれ)、コーラングレならA.ドヴォルジャークの交響曲第9番『新世界より』の第2楽章Largo(と~おき~や~まに~ひ~はお~ちて~♪っていうあれ)あたりでしょうか。器楽曲における存在感は抜群です。オペラに於ける器楽曲、となるとまずパッと思い浮かぶのは序曲や前奏曲ではないでしょうか。

・序曲(G.F.F.ヴェルディ『ナブッコ』)

独特の哀感のある音色は、郷愁や望郷といった想いに訴えかけるところが大きいのか、それこそドヴォルジャークの楽曲などではよく使われています。オペラの世界でそうした感情を表した名曲としては、何といっても『ナブッコ』の合唱“行け、我が想いよ金色の翼に乗って”ですが、この名旋律は序曲でも登場しています。そして、もうお分かりかと思いますが、ここでその音楽を受け持っている楽器こそオーボエであります。
郷里を想うヘブライの人々の歌を奏でるにはまさにうってつけ。序曲から作品の肝の部分を垣間見ることができます。

・韃靼人の踊り(ポロヴェツ人の踊り)(А.П.ボロディン『イーゴリ公』)
・バッカナール(C.サン=サーンス『サムソンとデリラ』)

哀愁漂う雰囲気とはまた別の側面として、エキゾチックな空気を掻き立てる面もあります。上記2曲はいずれも非常にエキゾチックであり、なおかつオーボエ及びコーラングレが奏でる音楽としては最も有名なものです。
前者は囚われの身となったイーゴリ公をもてなすためにポロヴェツ人(慣例的に“韃靼人”と呼ばれてきましたが、韃靼はタタールなので厳密には別の民族。まあ曲名の方はわかりやすく慣例に従った方がいいかなと)の長であるコンチャク汗が人々に踊らせる場面の音楽で、欧州とも露国とも違う東洋的な彩のあるバレエ音楽。冒頭の旋律はうっとりするほど魅力的で、CMなどでもあちこちで引用されています(カップヌードルのCMでチーズ星人が歌ってましたが…もうでもあれも10年ぐらい前か^^;)この部分は合唱を伴うオーボエとコーラングレの聴かせどころです。や、これが吹けるのは羨ましいですよ笑。
後者は旧約聖書の物語。サムソンを倒したペリシテ人たちがどんちゃんやる場面(どうでもいいですがダゴンの大祭司がペリシテ人たちの宗教的リーダーなのになんでバッカスを讃えるバッカナールなんだろ^^;)のこちらもバレエ音楽です。これは地方としてのエキゾチックさを感じると言うより、むしろ原初的で呪術的な力強さを感じると言う方がより正しいかもしれません。冒頭のオーボエ・ソロは何とも妖しげで、サン=サーンスさん、楽器の使い方よくわかってるなぁという感じ。

・ドン・ジョゼの花の歌“お前が投げたこの花は”(G.ビゼー『カルメン』)

この楽器の持つ音色の雰囲気としてもうひとつ、どことなく気だるく悩ましげな感じがあります。花の歌(本来はカルメンとの2重唱の一部)はそうした空気を醸し出す音楽の最右翼と言っていいでしょう。前奏のコーラングレのソロは何とも物憂げで、律儀な自分と奔放なカルメンの間で揺れながらも、それでも彼女への慕情に憑かれているジョゼのもやもやとした感情をよく表しています。そしてこの旋律は作中に繰り返し現れるカルメンの運命の主題ですから、非常に強い印象を残します。

・アイーダのロマンツァ“おお、我が祖国よ”(G.F.F.ヴェルディ『アイーダ』)

そしてここまでの3つの側面の全てを体現していると言っていいと思うのがこの曲。
故郷エチオピアと愛するエジプト人との間で揺れるアイーダ…もう郷愁もエキゾチシズムも愛の憂いもテンコ盛りです(笑)数あるオペラの楽曲の中でもこれだけオーボエの持ち味をフルに活かした楽曲もそうそうないと思います。ゆらゆらと揺らめくようなオーボエが、アイーダの揺れ動くこころを非常によくあらわしており、苦しい状況に悩むアイーダの姿が凝縮されています。といってアリアですからオーボエが主になってしまうのではなく、絶妙なバランスで歌と絡んでいきます。個人的には有名なもう一つのロマンツァ“勝ちて帰れ”よりも完成度高いんじゃないかと感じています。

・フロレスタンのアリア“神よ、何という暗さだ!”(L.v.ベートーヴェン『フィデリオ』)

最後にもうひとつ、オーボエの活躍する曲を。
これはここまで出てきたオーボエの魅力とはまた違う、音楽としては非常に健康的に歌うオーボエです。今回はどちらかというと憂愁のメロディで活躍する部分に焦点を当てた訳ですが、W.A.モーツァルトやG.ロッシーニ、オペラ以外ではJ.S.バッハ御大の楽曲では明るく華やかな旋律を受け持つことも多く、ここでもそうした傾向の旋律(最高音を含む超難曲らしい)を奏でています。ただ、この曲ではフレーズの華やかさとは裏腹に獄中のフロレスタンが妻の幻影を見る場面ですから、真に明るい場面の描写と言うよりはフロレスタンの朦朧とする意識の中での優しき妻レオノーラの姿を表現していると考えた方がよさそうです。

意外とオーボエは器楽での活躍に比べて声楽との絡みではたくさんは出てきませんね^^;
こんなところで今回はおしまい。
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